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本編

「…なあ、ゾロ」
「なんだ」
「…しといてもらってこんなこと言うのあれなんだけどさ、こういうの男子にやったらホモだと思われるから気をつけろよ」
「は!?しねェよ野郎には!!」
「え、マジ?」

…そうか、生物学的に女だと認めてんのか。
それこそ思わせぶりで罪な男だろうに。

「…ならなおのこと、気軽に女子にこういうことしちゃダメだって」
「あ?」
「誤解させんだろ、『この人私のこと好きなのかしら!』って」
「あァ」

ゾロの顔を見上げる。
どっか遠くを見てるみたいだった。

「お前以外にはしない」
「…?」
「それにお前に限っては誤解じゃねえ」

このひとわたしのことすきなのかしら
おまえにかぎってはごかいじゃねえ

「…ゾロ、…あたしのこと、好きなの?」
「……言わすなよ…」

横顔が赤くなる。
そっか。ゾロ、あたしのこと好きなのか。
…え!?

「…お前は?」

ゾロがこっちを覗き込んだ。
なんだよ、その目。
試合前だって、そんな心細そうじゃねえだろ。

「…よくわかんない、考えてみたこともなかった。…けど」
「…」
「…なんか…けっこう、嬉しい…かも」

なんでだろーな。
他の男が好きだって言ってくるよりずっと嬉しい。

急にゾロの胸板に押し付けられる。

「わっ、」
「しばらくこっち見んな」
「え、ひどくね?」
「うるせぇ」

押し付けられた先で、力強い心臓が、早鐘のように鳴っていた。
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