巨大な猛獣の背中の上で
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ちょうど半年。
宣言通り。
「ざまァねぇな」
「誰のせいよ」
1ヶ月間拘束されていた手足は、自分でも見たことがないくらい細くなっていた。
ガチャリと鍵が外されて、自由を与えられる。
…与えられる?
おかしいな。
私はもともと自由だったはずなのに。
この人も海賊だ。
お互い自由なはずなのに。
私は、この人は。
何に縛られていたんだろうか。
でもいまは、それよりも。
勢いよく身を起こす。
言いたいことがたくさんあった。
なんでこんな拘束したのとか、心臓取る必要なかったでしょとか、お金は払ってたんだからとか。
「っ、」
「起立性低血圧か…廃用だな」
眩暈がすることも想定内で、それでもローにしがみつけるように計算していた。
胸板に顔を埋める。
「言いたいこと、たくさんあるけど」
「そうか」
でも、いまは。
「無事で良かった…」
手を伸ばして右腕をさする。
前と変わらずそこにあった。
“昔、育ての親が腕を失ったことがあって”
「ロー」
「なんだ」
「ありがとう、ちゃんと帰って来てくれて」
「何故お前が礼を言う」
「…確かに変かな」
顔を上げた。
変わらない冷静な表情が、それでも幾分疲れて見えて、同時にどこかすっきりとしていた。
「おかえり、ロー」
一瞬目を見開いたあと、彼は私の頭を胸元に押し込んだ。
「…あァ。いま帰った」
その声がほんの少し掠れていたのは、私の聞き間違いかもしれない。
そのまま意識を手放した私は、何ヶ月かぶりに穏やかな夢を見た。
何の夢を見たかは覚えていない。
でも、こんな夢なら醒めなくていい、そう思えるような夢だった。
宣言通り。
「ざまァねぇな」
「誰のせいよ」
1ヶ月間拘束されていた手足は、自分でも見たことがないくらい細くなっていた。
ガチャリと鍵が外されて、自由を与えられる。
…与えられる?
おかしいな。
私はもともと自由だったはずなのに。
この人も海賊だ。
お互い自由なはずなのに。
私は、この人は。
何に縛られていたんだろうか。
でもいまは、それよりも。
勢いよく身を起こす。
言いたいことがたくさんあった。
なんでこんな拘束したのとか、心臓取る必要なかったでしょとか、お金は払ってたんだからとか。
「っ、」
「起立性低血圧か…廃用だな」
眩暈がすることも想定内で、それでもローにしがみつけるように計算していた。
胸板に顔を埋める。
「言いたいこと、たくさんあるけど」
「そうか」
でも、いまは。
「無事で良かった…」
手を伸ばして右腕をさする。
前と変わらずそこにあった。
“昔、育ての親が腕を失ったことがあって”
「ロー」
「なんだ」
「ありがとう、ちゃんと帰って来てくれて」
「何故お前が礼を言う」
「…確かに変かな」
顔を上げた。
変わらない冷静な表情が、それでも幾分疲れて見えて、同時にどこかすっきりとしていた。
「おかえり、ロー」
一瞬目を見開いたあと、彼は私の頭を胸元に押し込んだ。
「…あァ。いま帰った」
その声がほんの少し掠れていたのは、私の聞き間違いかもしれない。
そのまま意識を手放した私は、何ヶ月かぶりに穏やかな夢を見た。
何の夢を見たかは覚えていない。
でも、こんな夢なら醒めなくていい、そう思えるような夢だった。
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