巨大な猛獣の背中の上で
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あの時以来だ。
毎日、毎日、エースが死ぬ夢を見ていた、2年半前。
でもあの時の方が楽観視していたように思う。
親父様も、マルコも隊長のみんなもいたし。
眠りたくない。
けれど眠らないのは不可能で、いつもギリギリまで起きて、気絶するように夢の世界に墜ちる。
これを不眠症というのかと知った。
ローの眠りはいつもこんな感じなのか。
「立て、ロー。死ぬのはまだ早いぞ」
海兵に成りすましたドンキホーテファミリーの幹部がローを痛めつける。
これは前の島での出来事だと、頭では分かっているのに抜け出せない。
もう倒したはずの相手に蹂躙されるローの夢を見る。
薬漬けで拘束されてからというもの、すごく昔の夢や知らない人の夢を見たり、真っ暗な闇に閉じ込められる夢を見たりしていた。
夢の世界へのアクセスが混乱している。
薬のせいかもしれないし、私の精神面の混乱がそのまま夢に現れているだけかもしれない。
体は動けないから疲れも溜まらないはずなのに、全身を泥のような疲労が覆っていた。
不意に、変装してどこかのカフェに居座るローを見た。
めくるめく彼の記憶の洪水と、今朝ペンギンが新聞を見ながら話していた情報を合わせると、たぶんそこはドレスローザで、これは“現在”の話のようだった。
どうやらローの腕は今くっついた状態らしい。
この前のあれは、なんだったんだろう。
見聞色に、頼りすぎたのかも知れない。
昔から見聞色の方が得意だった。
でも、使いすぎた時は決まって未来の夢を見た。
未来の夢は、怖い。
大きな流れを変えようとすれば、思っても無いところに歪みが生じる。
ルフィを助けようとしてシャンクスが腕を失うように。
エースを助けようとしてルフィが寿命を削るように。
変えようと動く力そのものが私の大切なものに牙を剥く。
変えたい。
変えたいのに。
足元に絡みつく泥のように、過去の後悔が私の行く手を塞ぐ。
ローの腕。
幾度となく仲間を、弱った誰かを救った腕。
ルフィの命を、繋ぎ止めた腕。
それから。
考えるのをやめた。
今の私の精神に感傷に浸る余裕はない。
ただ襲い来る夢の洪水に自分が流されないように立っているので精一杯だった。
毎日、毎日、エースが死ぬ夢を見ていた、2年半前。
でもあの時の方が楽観視していたように思う。
親父様も、マルコも隊長のみんなもいたし。
眠りたくない。
けれど眠らないのは不可能で、いつもギリギリまで起きて、気絶するように夢の世界に墜ちる。
これを不眠症というのかと知った。
ローの眠りはいつもこんな感じなのか。
「立て、ロー。死ぬのはまだ早いぞ」
海兵に成りすましたドンキホーテファミリーの幹部がローを痛めつける。
これは前の島での出来事だと、頭では分かっているのに抜け出せない。
もう倒したはずの相手に蹂躙されるローの夢を見る。
薬漬けで拘束されてからというもの、すごく昔の夢や知らない人の夢を見たり、真っ暗な闇に閉じ込められる夢を見たりしていた。
夢の世界へのアクセスが混乱している。
薬のせいかもしれないし、私の精神面の混乱がそのまま夢に現れているだけかもしれない。
体は動けないから疲れも溜まらないはずなのに、全身を泥のような疲労が覆っていた。
不意に、変装してどこかのカフェに居座るローを見た。
めくるめく彼の記憶の洪水と、今朝ペンギンが新聞を見ながら話していた情報を合わせると、たぶんそこはドレスローザで、これは“現在”の話のようだった。
どうやらローの腕は今くっついた状態らしい。
この前のあれは、なんだったんだろう。
見聞色に、頼りすぎたのかも知れない。
昔から見聞色の方が得意だった。
でも、使いすぎた時は決まって未来の夢を見た。
未来の夢は、怖い。
大きな流れを変えようとすれば、思っても無いところに歪みが生じる。
ルフィを助けようとしてシャンクスが腕を失うように。
エースを助けようとしてルフィが寿命を削るように。
変えようと動く力そのものが私の大切なものに牙を剥く。
変えたい。
変えたいのに。
足元に絡みつく泥のように、過去の後悔が私の行く手を塞ぐ。
ローの腕。
幾度となく仲間を、弱った誰かを救った腕。
ルフィの命を、繋ぎ止めた腕。
それから。
考えるのをやめた。
今の私の精神に感傷に浸る余裕はない。
ただ襲い来る夢の洪水に自分が流されないように立っているので精一杯だった。