あかいふねでのおはなし
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そう遠くには行っていないと探し始めた俺の記憶に、初日に通った薄暗い路地が浮かぶ。
男女が品定めをするような場所だったが、今のあいつの状態を考えると、
なぜかそこしかないと思えた。
近づくにつれて心臓の鼓動が大きくなる。
細い路地を曲がった時、金色の頭が見えた。
対峙する男が肩に手をかける。
カッと頭に血が上る音がした。
「なにを、しようとしてるんだ!!!」
自分が怒鳴った声で我に返る。
レイラは地面に横倒しになって頬を抑えていた。
俺が力任せに引きずり戻して頬に平手を張ったらしかった。
「だって。足りないんだもん」
路地にいた男が泡を吹いて倒れているのが見える。
覇気を使っちまったか。
冷静になるためにそんなことを考えていたら、レイラが目を上げた。
「だけど、それをシャンクスに頼んだら、前みたいにいられなくなるでしょ?」
たしかにその通りだ。
こいつを壊すまいと最後の一線だけは守った。
それはレイラではなく、レイラとの関係性が壊れることを危惧したのかもしれない。
でも、他の、誰かもわからねぇ男に奪られるくらいなら。
覚悟を、決めた。
「…俺が、埋めてやる」
*
{もっと、…もっと}
{ごめんね、こんなこと、させて}
{でも、シャンクスが、いいの}
レイラの体から薬の影響が消えるのに5日かかった。
あいつは、繰り返し俺を求めて、泥のように眠り、そして6日目の朝、姿を消した。
{シャンクスへ
かってに船を出てごめんなさい。
もう体は大丈夫そうです。
その分、心がこわれそうなので、出ていくこと、ゆるしてください。
わたしは、じぶんが何を言って、何をしたか、ぜんぶちゃんとおぼえています。
それが、どんなにいけないことなのかも、ちゃんとわかっているつもり。
わたしがかってに船を出て、シャンクスが探しに来てくれた日から、
わたしはわたしがだいきらいになりました。
こんなこと、どうして、したいって思ってしまうんだろう。
それはきっと、わたしが悪い子だから。
こんな、だいきらいで悪い子なわたしのまま、みんなといっしょにいることはできない。
ごめんなさい。
でもやくそくだからがんばって生きます。
今まで2年間ありがとう。
レイラ}
同じ日、レイラと思われる子供が海軍に保護されたという情報が入った。
恐ろしく賢い子だから、俺達が一番手を出しにくい相手と考えての事だろう。
その上、当日中にこの島を離れ、海軍本部へ向かう船に乗ったと。
「お頭、レイラの事どうするんだ」
「…」
「この街で少女が行方不明になる事件が多発していたが、
どのケースもすべて全て被害者の自殺、もしくは自殺と思われる死亡で幕を閉じてる」
俺は海賊だ、欲しいもんは力づくでも奪う。だが。
大切なものが、自分の手元にあることで壊れるなら。
あの日の路地裏で、こうなることも覚悟していた。
「あの子は強い。
いつか、自分で傷を癒して、顔を見せに来てくれる日が、きっと来る。
それまでは、待つことにする」
男女が品定めをするような場所だったが、今のあいつの状態を考えると、
なぜかそこしかないと思えた。
近づくにつれて心臓の鼓動が大きくなる。
細い路地を曲がった時、金色の頭が見えた。
対峙する男が肩に手をかける。
カッと頭に血が上る音がした。
「なにを、しようとしてるんだ!!!」
自分が怒鳴った声で我に返る。
レイラは地面に横倒しになって頬を抑えていた。
俺が力任せに引きずり戻して頬に平手を張ったらしかった。
「だって。足りないんだもん」
路地にいた男が泡を吹いて倒れているのが見える。
覇気を使っちまったか。
冷静になるためにそんなことを考えていたら、レイラが目を上げた。
「だけど、それをシャンクスに頼んだら、前みたいにいられなくなるでしょ?」
たしかにその通りだ。
こいつを壊すまいと最後の一線だけは守った。
それはレイラではなく、レイラとの関係性が壊れることを危惧したのかもしれない。
でも、他の、誰かもわからねぇ男に奪られるくらいなら。
覚悟を、決めた。
「…俺が、埋めてやる」
*
{もっと、…もっと}
{ごめんね、こんなこと、させて}
{でも、シャンクスが、いいの}
レイラの体から薬の影響が消えるのに5日かかった。
あいつは、繰り返し俺を求めて、泥のように眠り、そして6日目の朝、姿を消した。
{シャンクスへ
かってに船を出てごめんなさい。
もう体は大丈夫そうです。
その分、心がこわれそうなので、出ていくこと、ゆるしてください。
わたしは、じぶんが何を言って、何をしたか、ぜんぶちゃんとおぼえています。
それが、どんなにいけないことなのかも、ちゃんとわかっているつもり。
わたしがかってに船を出て、シャンクスが探しに来てくれた日から、
わたしはわたしがだいきらいになりました。
こんなこと、どうして、したいって思ってしまうんだろう。
それはきっと、わたしが悪い子だから。
こんな、だいきらいで悪い子なわたしのまま、みんなといっしょにいることはできない。
ごめんなさい。
でもやくそくだからがんばって生きます。
今まで2年間ありがとう。
レイラ}
同じ日、レイラと思われる子供が海軍に保護されたという情報が入った。
恐ろしく賢い子だから、俺達が一番手を出しにくい相手と考えての事だろう。
その上、当日中にこの島を離れ、海軍本部へ向かう船に乗ったと。
「お頭、レイラの事どうするんだ」
「…」
「この街で少女が行方不明になる事件が多発していたが、
どのケースもすべて全て被害者の自殺、もしくは自殺と思われる死亡で幕を閉じてる」
俺は海賊だ、欲しいもんは力づくでも奪う。だが。
大切なものが、自分の手元にあることで壊れるなら。
あの日の路地裏で、こうなることも覚悟していた。
「あの子は強い。
いつか、自分で傷を癒して、顔を見せに来てくれる日が、きっと来る。
それまでは、待つことにする」
10/10ページ