巨大な猛獣の背中の上で
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ジャラリという音で目が覚める。
その音が私の手の先から聞こえていることに気づき、見聞色を巡らせた。
両手と両足に拘束具、ご丁寧に体幹までベルトで抑制されている。
あとは…全身何か所にも刺さっている点滴の針から…
「目が覚めたか、レイラ」
「…ペンギン…」
「どうだ、気分は」
最悪よ、と答えて点滴のパックに目を向ける。
色、表記、滴下スピード。これは…
「…筋弛緩剤をメインに沈静系が3種?」
「…あァ」
「ローのシナリオかしら」
「そうだ」
「ご丁寧なことで」
「…正直おれも最初見た時は殺す気かと思ったが、今となっては納得だ」
「…」
「お前、覇気使いで薬屋だもんな。拘束だけでも薬剤だけでも突破しちまうよな」
鎮静剤のおかげで思考が鈍くなっている。
「なんであんなに必死だったんだ?」
必死。そうだった。
「…ローの…腕が無くなる夢を見たの」
「腕が?」
「昔、育ての親が腕を失ったことがあって」
「…」
「肉親は二人とも熊に食い殺されて命を落とした」
涙が目尻を流れる。
「私、死神なの」
私にとっては運命といえるほど確定した”事実”だ。
「近くにいる人、みんな死んじゃう」
背中に穴の開いた死に顔。
「だから、ローに何かある前に離れなきゃいけなかった」
涙腺が壊れたように涙が止まらず、耳元を濡らして気分が悪い。
「…おれがそんなことねえって言っても、どうしようもねえんだろうな」
「…」
「ひとまず事務的な話だけ伝える。お前が逃げようとした場合、この状態にして最大3ヶ月間引き留めろと船長命令を受けていた」
「…心臓も預けてあるのに?」
「そうだ」
心臓だけなら私が逃げ出せることをあの人は分かっていたんだ。
「じゃあなんで心臓まで持っていったの。これだけでいいじゃない」
「…さぁな」
✳
おれが言える話じゃねェよ。
キャプテンが何か言ってた訳でもねェけどな。
キャプテン、レイラの心臓をポケットに入れてあいつと話しに行くんだよ。
で、触って確認してんだ。心臓の動き。
自分と話して脈が早くならねェか調べてるんだって気づいた時は腰を抜かすかと思ったねぇ。
余裕ぶって見えてそういうとこあんだよ、あの人は。
「メシは3食運ばせる。1度この状態になるとしばらくは解いてやれねぇんだ。分かってくれ」
「…そう」
諦めたようなレイラの顔に心の中で謝罪した。
うちのキャプテンが悪ぃな、って。
その音が私の手の先から聞こえていることに気づき、見聞色を巡らせた。
両手と両足に拘束具、ご丁寧に体幹までベルトで抑制されている。
あとは…全身何か所にも刺さっている点滴の針から…
「目が覚めたか、レイラ」
「…ペンギン…」
「どうだ、気分は」
最悪よ、と答えて点滴のパックに目を向ける。
色、表記、滴下スピード。これは…
「…筋弛緩剤をメインに沈静系が3種?」
「…あァ」
「ローのシナリオかしら」
「そうだ」
「ご丁寧なことで」
「…正直おれも最初見た時は殺す気かと思ったが、今となっては納得だ」
「…」
「お前、覇気使いで薬屋だもんな。拘束だけでも薬剤だけでも突破しちまうよな」
鎮静剤のおかげで思考が鈍くなっている。
「なんであんなに必死だったんだ?」
必死。そうだった。
「…ローの…腕が無くなる夢を見たの」
「腕が?」
「昔、育ての親が腕を失ったことがあって」
「…」
「肉親は二人とも熊に食い殺されて命を落とした」
涙が目尻を流れる。
「私、死神なの」
私にとっては運命といえるほど確定した”事実”だ。
「近くにいる人、みんな死んじゃう」
背中に穴の開いた死に顔。
「だから、ローに何かある前に離れなきゃいけなかった」
涙腺が壊れたように涙が止まらず、耳元を濡らして気分が悪い。
「…おれがそんなことねえって言っても、どうしようもねえんだろうな」
「…」
「ひとまず事務的な話だけ伝える。お前が逃げようとした場合、この状態にして最大3ヶ月間引き留めろと船長命令を受けていた」
「…心臓も預けてあるのに?」
「そうだ」
心臓だけなら私が逃げ出せることをあの人は分かっていたんだ。
「じゃあなんで心臓まで持っていったの。これだけでいいじゃない」
「…さぁな」
✳
おれが言える話じゃねェよ。
キャプテンが何か言ってた訳でもねェけどな。
キャプテン、レイラの心臓をポケットに入れてあいつと話しに行くんだよ。
で、触って確認してんだ。心臓の動き。
自分と話して脈が早くならねェか調べてるんだって気づいた時は腰を抜かすかと思ったねぇ。
余裕ぶって見えてそういうとこあんだよ、あの人は。
「メシは3食運ばせる。1度この状態になるとしばらくは解いてやれねぇんだ。分かってくれ」
「…そう」
諦めたようなレイラの顔に心の中で謝罪した。
うちのキャプテンが悪ぃな、って。