ひとりで海に出てから
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「キャプテン、手紙が来てるよ」
「置いておけ」
「キャプテン今日は朝も昼も抜いてるんでしょ?もうちょっとで出来るから、夕飯ぐらいは食べてよ!」
「あァ」
もうそんな時間かと気怠く思う。
本来の自分に戻っただけだ。
この間までは時計かと思うほど正確に空腹を訴える奴がいたから毎食摂っていただけで。
机の端に置かれた白い封筒に目を落とす。差出人欄に名前はない。
封筒を軽く振る。紙の音しかしないことを確認してから封を開けた。
”ローへ
こんにちは。久しぶり。
ちゃんと封筒振ってから開けた?
封筒に粉状の毒を仕込んで相手を殺せるって話、頭のいいローなら憶えててくれてると思うけど。
きっと怒ってるだろうなと思いながらこの手紙を書いています。
突然飛び出してきてごめん。
でも、一か所にずっといることが私にはどうしてもできない。
今回はなかなかスリリングな脱走劇でした。
顔を出さなきゃいけない場所があるって、詳しく話したことはなかったよね。
その場所って言うのが四皇の船なので、あんまり長く顔を出さないと迎えが来てしまって、ローにも迷惑をかけると思ったの。
ひとまず腕も順調に回復しているので安心して。
たまにどこかの港で会うこともあると思います。
その時にはまた医術のこと教えてください。
船に乗せてくれて、腕の治療してくれて、ありがとう。
またね。
レイラ”
「怒ってると思います」と書くわりには、淡々と進む文章があいつの性格をよく表している。
たかが薬師だ。
確かにこの船に居れば処置は回りやすくなるし、”稀代の”と枕詞が付く当たり貴重な人材には他ならないが、それでもあいつである必然性はない。
ないのだが。
あいつについて考えることを辞められない。
四皇の船に繋がりがあるということは、新世界を拠点にしているのだろうか。
ひとつ確実に言えることは、あいつが薬師でおれが医者であるということ。おそらく立ち寄る島は似通っている。手紙にあった通り、いつかどこかの島で合う可能性は他の海賊に比べて高い。
次会った時のために鳥かごでも用意しておくか、などと考えている自分は愚かなんだろうか。
この執着の理由が思いつかないまま、読みかけの医学書に再度目を落とす。
「置いておけ」
「キャプテン今日は朝も昼も抜いてるんでしょ?もうちょっとで出来るから、夕飯ぐらいは食べてよ!」
「あァ」
もうそんな時間かと気怠く思う。
本来の自分に戻っただけだ。
この間までは時計かと思うほど正確に空腹を訴える奴がいたから毎食摂っていただけで。
机の端に置かれた白い封筒に目を落とす。差出人欄に名前はない。
封筒を軽く振る。紙の音しかしないことを確認してから封を開けた。
”ローへ
こんにちは。久しぶり。
ちゃんと封筒振ってから開けた?
封筒に粉状の毒を仕込んで相手を殺せるって話、頭のいいローなら憶えててくれてると思うけど。
きっと怒ってるだろうなと思いながらこの手紙を書いています。
突然飛び出してきてごめん。
でも、一か所にずっといることが私にはどうしてもできない。
今回はなかなかスリリングな脱走劇でした。
顔を出さなきゃいけない場所があるって、詳しく話したことはなかったよね。
その場所って言うのが四皇の船なので、あんまり長く顔を出さないと迎えが来てしまって、ローにも迷惑をかけると思ったの。
ひとまず腕も順調に回復しているので安心して。
たまにどこかの港で会うこともあると思います。
その時にはまた医術のこと教えてください。
船に乗せてくれて、腕の治療してくれて、ありがとう。
またね。
レイラ”
「怒ってると思います」と書くわりには、淡々と進む文章があいつの性格をよく表している。
たかが薬師だ。
確かにこの船に居れば処置は回りやすくなるし、”稀代の”と枕詞が付く当たり貴重な人材には他ならないが、それでもあいつである必然性はない。
ないのだが。
あいつについて考えることを辞められない。
四皇の船に繋がりがあるということは、新世界を拠点にしているのだろうか。
ひとつ確実に言えることは、あいつが薬師でおれが医者であるということ。おそらく立ち寄る島は似通っている。手紙にあった通り、いつかどこかの島で合う可能性は他の海賊に比べて高い。
次会った時のために鳥かごでも用意しておくか、などと考えている自分は愚かなんだろうか。
この執着の理由が思いつかないまま、読みかけの医学書に再度目を落とす。
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