ひとりで海に出てから
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「ンマー、素晴らしい効果だったよ、あの薬」
「光栄です。アイスバーグさん」
「初めて噂を聞いた時は魔女みたいな人を想像したが、こんなにかわいいお嬢さんだとは意外だったな」
「ご期待に添えているといいのですが」
「期待以上だ。君、いくつだい?」
「17になります」
「ンマー、若いな。カクと同じくらいか」
ノックと同時にドアが開いて鼻の長い男の人が入って来た。
「おっと、お取込み中か。こりゃすまなかった」
「いや、ちょうどいい。お前今いくつだっけ?」
「18じゃ」
「あら、じゃあ私が一つ年下ですね」
「わしはカク、船大工じゃ」
「初めまして。薬師のレイラと申します」
握手の時に、手を握ったまま少しだけ膝を折る挨拶をする。
どこかの国の歌い手や踊り子のあいさつで、一度見かけてからマネしている。
その動作の分、長く手を握っていられるから。
流れ込んできた風景は異質だった。
子供に交じって、おそらくまだ幼い彼自身が、武闘演武をしている。
小さい頃から強くなることだけを求められてきた。
そして今、船を作る技術を磨く日々。
つながりが、よくわからない。
不自然にならないくらいにゆったりと元の姿勢になって見上げると、
背の高いその人はゆでだこのような色になっていた。
*
「せっかくなのでしばらく滞在するつもりです」
「それなら宿を手配しよう」
「あ、いえ、それは申し訳ないので」
「すでに手配済みです」
「さすがだなカリファ」
「恐れ入ります」
銀縁メガネの女の人は、くるりとこちらを振り返って言った。
「ここから歩いて5分ほどの場所にあります。
ウォーターセブンは治安のよい都市ですが、念のため誰かを付き添わせましょう」
正直、それは一人で大丈夫、と思ったのだけれど、
自分の力を知られるのはリスクが大きいので黙っていた。
「ンマー、それがいい。カク、彼女を送って差し上げろ」
「あ、ええと、」
「遠慮は無用です」
「女子一人じゃと危ないじゃろ」
*
「なあアンタ、この後時間あるか?」
「はい、ありますけど」
「ちょっと寄らんか?うまい店があるんじゃ」
「…じゃあ、ぜひ」
その日を境に、私は彼と何百回と食事をすることになる。
「光栄です。アイスバーグさん」
「初めて噂を聞いた時は魔女みたいな人を想像したが、こんなにかわいいお嬢さんだとは意外だったな」
「ご期待に添えているといいのですが」
「期待以上だ。君、いくつだい?」
「17になります」
「ンマー、若いな。カクと同じくらいか」
ノックと同時にドアが開いて鼻の長い男の人が入って来た。
「おっと、お取込み中か。こりゃすまなかった」
「いや、ちょうどいい。お前今いくつだっけ?」
「18じゃ」
「あら、じゃあ私が一つ年下ですね」
「わしはカク、船大工じゃ」
「初めまして。薬師のレイラと申します」
握手の時に、手を握ったまま少しだけ膝を折る挨拶をする。
どこかの国の歌い手や踊り子のあいさつで、一度見かけてからマネしている。
その動作の分、長く手を握っていられるから。
流れ込んできた風景は異質だった。
子供に交じって、おそらくまだ幼い彼自身が、武闘演武をしている。
小さい頃から強くなることだけを求められてきた。
そして今、船を作る技術を磨く日々。
つながりが、よくわからない。
不自然にならないくらいにゆったりと元の姿勢になって見上げると、
背の高いその人はゆでだこのような色になっていた。
*
「せっかくなのでしばらく滞在するつもりです」
「それなら宿を手配しよう」
「あ、いえ、それは申し訳ないので」
「すでに手配済みです」
「さすがだなカリファ」
「恐れ入ります」
銀縁メガネの女の人は、くるりとこちらを振り返って言った。
「ここから歩いて5分ほどの場所にあります。
ウォーターセブンは治安のよい都市ですが、念のため誰かを付き添わせましょう」
正直、それは一人で大丈夫、と思ったのだけれど、
自分の力を知られるのはリスクが大きいので黙っていた。
「ンマー、それがいい。カク、彼女を送って差し上げろ」
「あ、ええと、」
「遠慮は無用です」
「女子一人じゃと危ないじゃろ」
*
「なあアンタ、この後時間あるか?」
「はい、ありますけど」
「ちょっと寄らんか?うまい店があるんじゃ」
「…じゃあ、ぜひ」
その日を境に、私は彼と何百回と食事をすることになる。