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ひとりで海に出てから

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ここはセント・ポプラがある島の森の中。
島の名前は聞いたけど忘れた。
みんな島全体を指してセント・ポプラって呼ぶから、知らなくても不便はない。

カクの記憶の中で見た空中を歩く技術を試す。
地面を1秒に10回以上蹴るイメージ。
5mくらいを2段階に分けて飛び上がって、保持できずに落ちる。

「…まだ脚力が足りないな…」

カクがウォーターセブンで有名人だというのはすぐに知った。
「山嵐」、街の上空を自由に飛び回る驚異的な身体能力の持ち主。

ウォーターセブンにいる間は毎日のように一緒にご飯を食べる。
最近は話しながら手を握ってくるようになった。
手から送られてくる好意を避けて記憶を覗き見ると、
六式という体術が元になっていることがわかった。
その中でも「月歩」と「嵐脚」は私にも使えそうで重宝しそうな技だったので盗むことにした。

繰り返し空中に飛び上がりながら、写し取った感覚をなぞっていく。
その最中、否が応でもカクの好意を思い出す。

…すごく好かれているみたいだ。
もちろん、女として。
キラキラしたものとして愛でられている感じと、男の人の欲望が入り混じった感情。

こういうものを向けられた時、今までは問答無用で拒絶していたのだけれど、何故かこの人なら少し様子を見てみてもいいかなあと思った。



「今回はなにか面白いことはあったか?」
「うん!今回はねえ、」

月歩で落ちなくなったよ、と本当は言いたいけどそれは心にとどめる。

「珍しい薬草を見つけたの!
 セント・ポプラは温暖だから色んな草が生えてていいね」
「そりゃよかったな」
「また新しい薬が作れそう」
「仕事がはかどるのう」

カクと出会って1年が過ぎ、私は月歩と嵐脚を使いこなしつつある。
子供の頃に森や山の中で鍛えられた体がこんなところで活きていた。
あとはもっと少ないエネルギーで効率よく動けるように。

でも、私は思い違いをしていた。
体術のやり方よりも、それを持ち合わせる彼がどんな人間かの方が大切だということを。
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