拠点の船を変えたあと
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夢の中を進むと、もやの中に人影が見える。
「お兄ちゃん!」
「オウ、天使チャン」
「立てるようになったんだね!」
「まァな、この通りよ」
あれから4週間。
見た目には金属部分が多いけど、動けるようになったこと自体を奇跡って言うんだろう。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「お別れです」
スッ、と目が細くなった。
「なんで、と聞きてェところだが、本当はそうじゃねェんだろ」
「え?」
「なんでこれまで俺のところに来てくれてたんだ?」
夢の中の移動は体力を使う。
損傷を受け取ったり栄養を分けることで、目覚めた時はいつもボロボロだった。
なんで。
あなたが生きようとしていたから。
後ろを向いている私に、前を向くことを教えてくれたから。
一度かかわって放り出すのは後味が悪かったから。
どれも正解で、どれも少しずつ違う。
「…気が向いたから」
このぐらいの重さが、ちょうどいいと思った。
*
ソファにレイラを座らせて、オレは床に座った。
両手を床に着く。
「ちょっとフランキー、」
「レイラ」
息を呑んで黙るレイラに頭を下げた。
「あん時は本当に助かった。ありがとう」
「…そんな、」
「オメェが力を貸してくれなかったら、オレは間違いなく死んでた。
子分たちと出会うことも、こいつらと仲間になることもなかった」
「…」
「オメェのおかげで今がある。恩に着る、レイラ」
「…どういたしまして」
微笑んだ声がして顔を上げる。
「こちらこそ、大切な弟とその仲間を助けてくれて、ありがとう」
「いやァ、イイってことよ」
互いにニッと笑い合う。
レイラが隣をポンポンとたたくのでそっちに座りなおした。
「気づいてたんだろ?廃船島で会った時から」
「うん。でも、あの時はまだ仲間じゃなかったから」
「まァ、そりゃそうなるわな」
ふと、船長の声が頭をよぎった。
“あいつ、たまに変なケガしてんだよなァ、血は出てねぇのに内側だけ大ケガしてたりよ”
「なァ、オメェよ」
「うん?」
「あの時、俺のケガをどうした?」
「…どうって?」
「あとからケガが戻るってことは、治したのとは違うだろ。
もしかしてオメェ、自分の体の中にケガを引き取ってたんじゃねェのか?」
レイラの顔から表情が消えた。廃船島で会った時と同じ顔だ。
「…驚きを隠すのがうめェな」
ビク、と限界まで目が見開かれた後、ふっと力が抜けた。
「隠してるのがバレてる時点で、上手くはないでしょ」
「お兄ちゃん!」
「オウ、天使チャン」
「立てるようになったんだね!」
「まァな、この通りよ」
あれから4週間。
見た目には金属部分が多いけど、動けるようになったこと自体を奇跡って言うんだろう。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「お別れです」
スッ、と目が細くなった。
「なんで、と聞きてェところだが、本当はそうじゃねェんだろ」
「え?」
「なんでこれまで俺のところに来てくれてたんだ?」
夢の中の移動は体力を使う。
損傷を受け取ったり栄養を分けることで、目覚めた時はいつもボロボロだった。
なんで。
あなたが生きようとしていたから。
後ろを向いている私に、前を向くことを教えてくれたから。
一度かかわって放り出すのは後味が悪かったから。
どれも正解で、どれも少しずつ違う。
「…気が向いたから」
このぐらいの重さが、ちょうどいいと思った。
*
ソファにレイラを座らせて、オレは床に座った。
両手を床に着く。
「ちょっとフランキー、」
「レイラ」
息を呑んで黙るレイラに頭を下げた。
「あん時は本当に助かった。ありがとう」
「…そんな、」
「オメェが力を貸してくれなかったら、オレは間違いなく死んでた。
子分たちと出会うことも、こいつらと仲間になることもなかった」
「…」
「オメェのおかげで今がある。恩に着る、レイラ」
「…どういたしまして」
微笑んだ声がして顔を上げる。
「こちらこそ、大切な弟とその仲間を助けてくれて、ありがとう」
「いやァ、イイってことよ」
互いにニッと笑い合う。
レイラが隣をポンポンとたたくのでそっちに座りなおした。
「気づいてたんだろ?廃船島で会った時から」
「うん。でも、あの時はまだ仲間じゃなかったから」
「まァ、そりゃそうなるわな」
ふと、船長の声が頭をよぎった。
“あいつ、たまに変なケガしてんだよなァ、血は出てねぇのに内側だけ大ケガしてたりよ”
「なァ、オメェよ」
「うん?」
「あの時、俺のケガをどうした?」
「…どうって?」
「あとからケガが戻るってことは、治したのとは違うだろ。
もしかしてオメェ、自分の体の中にケガを引き取ってたんじゃねェのか?」
レイラの顔から表情が消えた。廃船島で会った時と同じ顔だ。
「…驚きを隠すのがうめェな」
ビク、と限界まで目が見開かれた後、ふっと力が抜けた。
「隠してるのがバレてる時点で、上手くはないでしょ」