拠点の船を変えたあと
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あの頃、フーシャ村を飛び出して、海軍の船に乗せてもらって、グランドラインのどこかの島に向かっていた時のこと。
夢の中で、血まみれの男の人に出会った。
満月の夜だったと思う。
こういう日は夢の世界での“引き”が強くなる。
丁度早く寝て、夢の中を歩き回っているときに、声を聴いた。
<――は、まだ、――いかねェんだ!>
遠くから聞こえたその声を辿っていくと、全身を血に染めた男の人が倒れていた。
*
気絶していたんだと思う。
ふと気が付くと、白いもやの中にいて、頭の横に誰か立っていた。
頭を動かして相手を見る。
かすむ目に金の長い髪が映る。白い肌、白い服。
「オイ、天使かよ」
びく、と目を見開いてこっちを見た。
「まだ、連れてくなよ。オレにはやることがある」
「…やること?」
「恩人に、船づくりを教わんなきゃなんねェし、そうだ、その人を迎えにいかねェと…!!」
体を動かそうとして激痛が走る。
「…そのまま動くと、死にそう、あなた」
「…っクッソ、」
年は14・15才だろうか。
少女と呼べる年代のそいつは、俺の顔の横に膝をついた。
*
生きたいらしいその人は、放っておけば3日で望みが立たれるような状態に見えた。
顔の横に膝をついて頬に触れる。
流れ込むダメージの情報。致命的なのが左肩から腹部にかけての大きな損傷と両手の機能。
尖ったものを全身で受け止めた記憶がちらっと見えた。
「…もし私が、ひとつだけ頼みを聞けるとしたら」
「…?」
「あなたは何を頼む?」
荒い息遣いの中、私を見ていた目の光が強くなった。
「…右手を動かしてくれ」
「…どうして?」
「右手さえ動けば、この傷を塞げる。俺は船大工だ。廃材で、立て直してみせる」
廃材で、体を修繕する?
痛くはないのだろうか。
自分で自分の体を切って、木や金属と繋げるつもりなんだろうか。
そこまでして、生きたい、と。
「わかった」
「…?」
「1週間、あなたの右手は無傷の状態になる。それが過ぎると元に戻る。」
「…な、」
「目、つぶって」
覆いかぶさるように額に口づけた。
損傷の激しい右手は触れないで、手をかざすだけに。
一緒に、7日分の体力とか、栄養とかを一気に流して、私の側には損傷だけが残るように。
そして、少しだけ、この人の無事を祈った。
夢の中で、血まみれの男の人に出会った。
満月の夜だったと思う。
こういう日は夢の世界での“引き”が強くなる。
丁度早く寝て、夢の中を歩き回っているときに、声を聴いた。
<――は、まだ、――いかねェんだ!>
遠くから聞こえたその声を辿っていくと、全身を血に染めた男の人が倒れていた。
*
気絶していたんだと思う。
ふと気が付くと、白いもやの中にいて、頭の横に誰か立っていた。
頭を動かして相手を見る。
かすむ目に金の長い髪が映る。白い肌、白い服。
「オイ、天使かよ」
びく、と目を見開いてこっちを見た。
「まだ、連れてくなよ。オレにはやることがある」
「…やること?」
「恩人に、船づくりを教わんなきゃなんねェし、そうだ、その人を迎えにいかねェと…!!」
体を動かそうとして激痛が走る。
「…そのまま動くと、死にそう、あなた」
「…っクッソ、」
年は14・15才だろうか。
少女と呼べる年代のそいつは、俺の顔の横に膝をついた。
*
生きたいらしいその人は、放っておけば3日で望みが立たれるような状態に見えた。
顔の横に膝をついて頬に触れる。
流れ込むダメージの情報。致命的なのが左肩から腹部にかけての大きな損傷と両手の機能。
尖ったものを全身で受け止めた記憶がちらっと見えた。
「…もし私が、ひとつだけ頼みを聞けるとしたら」
「…?」
「あなたは何を頼む?」
荒い息遣いの中、私を見ていた目の光が強くなった。
「…右手を動かしてくれ」
「…どうして?」
「右手さえ動けば、この傷を塞げる。俺は船大工だ。廃材で、立て直してみせる」
廃材で、体を修繕する?
痛くはないのだろうか。
自分で自分の体を切って、木や金属と繋げるつもりなんだろうか。
そこまでして、生きたい、と。
「わかった」
「…?」
「1週間、あなたの右手は無傷の状態になる。それが過ぎると元に戻る。」
「…な、」
「目、つぶって」
覆いかぶさるように額に口づけた。
損傷の激しい右手は触れないで、手をかざすだけに。
一緒に、7日分の体力とか、栄養とかを一気に流して、私の側には損傷だけが残るように。
そして、少しだけ、この人の無事を祈った。