あかいふねでのおはなし
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次起きた時には朝だった。
ベックマンが起こしに来て、シャンクスは「もうすっかりいつも通り」の顔をして
食堂に歩いて行った。
私はもう少し寝たいって言ってゆるしてもらった。
相変わらず左腕はジンジンするけど、動かさなければだいじょうぶ。
ご飯を食べるのも右手だし。
ただ、洗濯物を運ぶのとお皿を洗うのは、すごくつらい。
出てったはずのベックマンが帰ってきた。
「なァレイラ」
「ん?」
「左手、どうしたんだ」
「…あんまり人に言っちゃいけない」
「誰かに言われたのか」
「…おばあちゃんに、人に話しちゃいけないって言われた」
「…それは、なんでだろうな」
「…海軍が攻めてくるって」
「それなら心配いらねぇ」
ベックマンが私の頭をクシャっとなでた。
「俺達は海賊だ。海軍が攻めてきたら戦うし、その必要がなければ逃げるからな」
に、って笑った顔に安心する。
おばあちゃんは、この人のためになら死んでもいいって人には言ってもいいよって言った。
私はベックマンのために死んでもいいのかな。
シャンクスのためならいいな、でもベックマンのためでもいいかな。
それなら話してもいいよね。
すこし体の力を抜いて、なんていったらいいか考える。
「あのね、夢の中でね、シャンクスの腕の痛みとけがをもらうの」
「けがを、もらう?」
「しろいもやの中にシャンクスが立ってて、まだ腕があるの。
頭が腕を治そうとするんだけど、もう、腕はないから、
いろんなことが暴走して、それで熱が出るんだとおもう。
だから、シャンクスの腕と頭にくっついて、頑張んなくていいよ、
腕は私が引き受けるよ、って話しかける。
そしたら、だんだん私の腕が痛くなって、シャンクスの腕はけがの後の形になって、
それで傷口がちょっとずつきれいになる。
夢ではまだ塞がってないから、塞がったのは見た目だけで
内側はまだくっついてないのかもしれない。」
ベックマンは黙って聞いてくれる。
「そういう夢を見るのは、初めてか」
「ううん、小さいころから何回もあるよ、お兄ちゃんが崖から落ちた時も、
お兄ちゃんと私が一緒にお昼寝して痛みをもらって、
夜は私とおばあちゃんが一緒に寝ておばあちゃんが治してくれて、
最初寝たきりだったけど三カ月くらいでまた走れるようになってた」
あのときは私の力がなくて、一人じゃ治し切れなかった。
今回は、私一人でがんばるんだ。
「その代わりお前自身の体が痛くなると」
「…うん、トウカコウカンだって」
「なにと交換するんだ?」
「うーん、わかんない。トウカコウカンってなに?」
「たとえば、リンゴを買うためにはリンゴと同じくらい価値のあるものを出すだろ?
金なら金で、物々交換なら何かほかのもの」
「…そっか」
「意味わかんねぇで使ってたのか?」
「うん」
「お。じゃあこれで一つ賢くなったな」
同じくらい価値のあるもの。
たぶんそれは、思い出だ。
シャンクスの腕を直そうと思う度、流れ込んでくる昔の話。
ベックマンが起こしに来て、シャンクスは「もうすっかりいつも通り」の顔をして
食堂に歩いて行った。
私はもう少し寝たいって言ってゆるしてもらった。
相変わらず左腕はジンジンするけど、動かさなければだいじょうぶ。
ご飯を食べるのも右手だし。
ただ、洗濯物を運ぶのとお皿を洗うのは、すごくつらい。
出てったはずのベックマンが帰ってきた。
「なァレイラ」
「ん?」
「左手、どうしたんだ」
「…あんまり人に言っちゃいけない」
「誰かに言われたのか」
「…おばあちゃんに、人に話しちゃいけないって言われた」
「…それは、なんでだろうな」
「…海軍が攻めてくるって」
「それなら心配いらねぇ」
ベックマンが私の頭をクシャっとなでた。
「俺達は海賊だ。海軍が攻めてきたら戦うし、その必要がなければ逃げるからな」
に、って笑った顔に安心する。
おばあちゃんは、この人のためになら死んでもいいって人には言ってもいいよって言った。
私はベックマンのために死んでもいいのかな。
シャンクスのためならいいな、でもベックマンのためでもいいかな。
それなら話してもいいよね。
すこし体の力を抜いて、なんていったらいいか考える。
「あのね、夢の中でね、シャンクスの腕の痛みとけがをもらうの」
「けがを、もらう?」
「しろいもやの中にシャンクスが立ってて、まだ腕があるの。
頭が腕を治そうとするんだけど、もう、腕はないから、
いろんなことが暴走して、それで熱が出るんだとおもう。
だから、シャンクスの腕と頭にくっついて、頑張んなくていいよ、
腕は私が引き受けるよ、って話しかける。
そしたら、だんだん私の腕が痛くなって、シャンクスの腕はけがの後の形になって、
それで傷口がちょっとずつきれいになる。
夢ではまだ塞がってないから、塞がったのは見た目だけで
内側はまだくっついてないのかもしれない。」
ベックマンは黙って聞いてくれる。
「そういう夢を見るのは、初めてか」
「ううん、小さいころから何回もあるよ、お兄ちゃんが崖から落ちた時も、
お兄ちゃんと私が一緒にお昼寝して痛みをもらって、
夜は私とおばあちゃんが一緒に寝ておばあちゃんが治してくれて、
最初寝たきりだったけど三カ月くらいでまた走れるようになってた」
あのときは私の力がなくて、一人じゃ治し切れなかった。
今回は、私一人でがんばるんだ。
「その代わりお前自身の体が痛くなると」
「…うん、トウカコウカンだって」
「なにと交換するんだ?」
「うーん、わかんない。トウカコウカンってなに?」
「たとえば、リンゴを買うためにはリンゴと同じくらい価値のあるものを出すだろ?
金なら金で、物々交換なら何かほかのもの」
「…そっか」
「意味わかんねぇで使ってたのか?」
「うん」
「お。じゃあこれで一つ賢くなったな」
同じくらい価値のあるもの。
たぶんそれは、思い出だ。
シャンクスの腕を直そうと思う度、流れ込んでくる昔の話。