ひとりで海に出てから
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血管の縫合が終わり、止めていた血流を解放する。
一気に血が回って、さっきまでのどす黒かった損傷部位の色合いが鮮やかさを取り戻す。
これで、助かるだろう。
あとは、考えなくてもできる体表の縫合。
ちらりと部屋の隅に目をやる。
毛布に埋まるようにしてレイラが床で寝ている。
この緊迫した状況下で、普通寝られるもんか?
「ペンギン」
「はい」
「レイラを見てこい」
「わかりました」
*
床で白い毛布にくるまって寝ているレイラに近づく。
「…おいお前、よくこんなとこで」
肩に手をかける。ずるりと力の抜ける体。
毛布が外れてあらわになった顔は、毛布に負けないくらい真っ白だった。
「っレイラ!?」
抱き起こして顔を覗き込む。唇の色が肌の色とほとんど変わらないくらいだ。
体も氷のように冷たい。
キャプテンが一瞬、素早い動きでこちらに来ようとしかけて踏みとどまる。
ひとつ深呼吸して、シャチの縫合をスピードアップする。
「ペンギン、状態は」
「自発呼吸はありますけど、体温低下してて顔色不良です」
首と手首で脈をとる。
「頸動脈は触れますけど橈骨動脈は微弱ですね。…大量出血のような」
「ベポ!」
「アイアイ!」
「レイラの輸血の準備!」
「アイアイ!…いや、誰かレイラの血液型知ってる!?」
空気が凍り付く。
戦闘の機会も多いクルーは全員がお互いの血液型を把握しているが、
少しの間しか乗らない客人の血液型なんてわざわざ聞かない。
血液型がわからないとなると、造血剤か、でも間に合うか、と焦る頭で考える。
その時、だらりと脱力していた体に力が戻る。
「…輸血するほどじゃないわ」
「…レイラ!!!」
「女の子の事情なの、こんなの慣れてる」
浅く頻回な呼吸。
どう見ても「女の子の事情」レベルではない。
「お前、血液型は」
縫合の仕上げをしながら、恫喝するような低い声でキャプテンが尋ねる。
「…私自身も知らないの」
「そんなわけねえだろ!」
「本当よ、私の故郷には、医者が居なかったから」
「…」
「でも、大丈夫、喋れてるし」
「…ペンギン、造血剤2本フルスピードで」
「アイアイ、キャプテン」
一気に血が回って、さっきまでのどす黒かった損傷部位の色合いが鮮やかさを取り戻す。
これで、助かるだろう。
あとは、考えなくてもできる体表の縫合。
ちらりと部屋の隅に目をやる。
毛布に埋まるようにしてレイラが床で寝ている。
この緊迫した状況下で、普通寝られるもんか?
「ペンギン」
「はい」
「レイラを見てこい」
「わかりました」
*
床で白い毛布にくるまって寝ているレイラに近づく。
「…おいお前、よくこんなとこで」
肩に手をかける。ずるりと力の抜ける体。
毛布が外れてあらわになった顔は、毛布に負けないくらい真っ白だった。
「っレイラ!?」
抱き起こして顔を覗き込む。唇の色が肌の色とほとんど変わらないくらいだ。
体も氷のように冷たい。
キャプテンが一瞬、素早い動きでこちらに来ようとしかけて踏みとどまる。
ひとつ深呼吸して、シャチの縫合をスピードアップする。
「ペンギン、状態は」
「自発呼吸はありますけど、体温低下してて顔色不良です」
首と手首で脈をとる。
「頸動脈は触れますけど橈骨動脈は微弱ですね。…大量出血のような」
「ベポ!」
「アイアイ!」
「レイラの輸血の準備!」
「アイアイ!…いや、誰かレイラの血液型知ってる!?」
空気が凍り付く。
戦闘の機会も多いクルーは全員がお互いの血液型を把握しているが、
少しの間しか乗らない客人の血液型なんてわざわざ聞かない。
血液型がわからないとなると、造血剤か、でも間に合うか、と焦る頭で考える。
その時、だらりと脱力していた体に力が戻る。
「…輸血するほどじゃないわ」
「…レイラ!!!」
「女の子の事情なの、こんなの慣れてる」
浅く頻回な呼吸。
どう見ても「女の子の事情」レベルではない。
「お前、血液型は」
縫合の仕上げをしながら、恫喝するような低い声でキャプテンが尋ねる。
「…私自身も知らないの」
「そんなわけねえだろ!」
「本当よ、私の故郷には、医者が居なかったから」
「…」
「でも、大丈夫、喋れてるし」
「…ペンギン、造血剤2本フルスピードで」
「アイアイ、キャプテン」