光を失ってから取り戻すまで
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目が覚めると隣にローが寝ていて、太腿に妙な不快感が貼り付いていた。
…この男、やりやがったな。
あの人にだって、されたことなかったのに。
そして、ひとつ胸がきしむ音がした。
途中、泣きだした私を見てローが誤解したのが分かった。
たぶん、私がエースを思い出して泣いたと思ったんだろう。
そのあとは人が変わったように執着してきた。
違うのに。
ローの過去が、あまりに痛くて、泣いていたのに。
国が焼かれ、全てが無くなり、死体に隠れた日々。
死期を測りながら、それでも未来を想う日々。
最愛の恩人との別れ。
痛かった。
胸の底から抉られるような。
光景が頭の中に蘇って、体に力が入った。
ひとつ息を吐いて、目の前のローを見る。
いつも通り、濃いクマだ。
眠りの先があんな世界なら、それは不眠症にもなるだろう。
少し上へずり上がって、裸の胸にローの頭を抱える。
せめて今日は幸せな夢が見られますように。
意識を半分、彼の中に滑り込ませる。
*
「おい」
振り返った拍子に髪が宙を舞う。
ローが立っていた。
顔を戻して、洗濯物を干しながら横顔で微笑む。
「…いってらっしゃい」
「…あ?」
「私、今日の午後から1週間いないから、帰ってきた時にはローいないんでしょ?」
「…そうだな」
「気を付けてね。応援してるから」
「ハッ、ずいぶん淡白な餞 じゃねえか」
「…そうね」
また、何か月か後には会うだろうし。
「…この船では主にペンギンを頼れ」
「うん」
「あいつは頭も切れるし口も堅い」
「そうだね」
「お前の体のことも簡単にだが伝えてある。何かあれば力になるはずだ」
「ありがとう」
「…あと、」
「わかってる、月に20万ベリーだよね?」
「あァ」
「いつ帰ってくる?」
「最低半年だな」
「じゃあ120万ベリー…高い治療代ね」
「それ以上の価値があんだろ」
「…まあ、そうだけど」
目を合わせると、ローの目にほんの少し寂しそうな色が翳っていた。
「死の外科医」がそんな顔をするものではないわよ、と言いたくなる。
でも本人に自覚はないんだろう。
人の思惑には聡いくせに、自分の感情にはとことん鈍い、アンバランスな人。
ちょっとだけ、情が湧いちゃったかもしれないな、と思いながら、にっこり笑いかける。
…この男、やりやがったな。
あの人にだって、されたことなかったのに。
そして、ひとつ胸がきしむ音がした。
途中、泣きだした私を見てローが誤解したのが分かった。
たぶん、私がエースを思い出して泣いたと思ったんだろう。
そのあとは人が変わったように執着してきた。
違うのに。
ローの過去が、あまりに痛くて、泣いていたのに。
国が焼かれ、全てが無くなり、死体に隠れた日々。
死期を測りながら、それでも未来を想う日々。
最愛の恩人との別れ。
痛かった。
胸の底から抉られるような。
光景が頭の中に蘇って、体に力が入った。
ひとつ息を吐いて、目の前のローを見る。
いつも通り、濃いクマだ。
眠りの先があんな世界なら、それは不眠症にもなるだろう。
少し上へずり上がって、裸の胸にローの頭を抱える。
せめて今日は幸せな夢が見られますように。
意識を半分、彼の中に滑り込ませる。
*
「おい」
振り返った拍子に髪が宙を舞う。
ローが立っていた。
顔を戻して、洗濯物を干しながら横顔で微笑む。
「…いってらっしゃい」
「…あ?」
「私、今日の午後から1週間いないから、帰ってきた時にはローいないんでしょ?」
「…そうだな」
「気を付けてね。応援してるから」
「ハッ、ずいぶん淡白な
「…そうね」
また、何か月か後には会うだろうし。
「…この船では主にペンギンを頼れ」
「うん」
「あいつは頭も切れるし口も堅い」
「そうだね」
「お前の体のことも簡単にだが伝えてある。何かあれば力になるはずだ」
「ありがとう」
「…あと、」
「わかってる、月に20万ベリーだよね?」
「あァ」
「いつ帰ってくる?」
「最低半年だな」
「じゃあ120万ベリー…高い治療代ね」
「それ以上の価値があんだろ」
「…まあ、そうだけど」
目を合わせると、ローの目にほんの少し寂しそうな色が翳っていた。
「死の外科医」がそんな顔をするものではないわよ、と言いたくなる。
でも本人に自覚はないんだろう。
人の思惑には聡いくせに、自分の感情にはとことん鈍い、アンバランスな人。
ちょっとだけ、情が湧いちゃったかもしれないな、と思いながら、にっこり笑いかける。