光を失ってから取り戻すまで
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街を歩く訓練はたくさんしたから、サングラスさえかけていれば、私が盲目だと気づく人はまずいない。
見聞色がこんなに役に立つ日が来るとは思ってなかったけれど、おかげで人ごみを歩くのは問題ないし、建物を避けるのも注意すればできる。
この街に、探していた人が来る。
それを見越して、三日前から街に入っていた。
そして今日、久しぶりの気配が島の反対側についたのを感じた。
なんて言えばいいだろう。
怒られる気がする。
それでも、最終的には許してくれるはず。
そう思った瞬間、強く何かに引っ張られた。
空間に吸い込まれる感じ。
次の瞬間、長い腕に捉えられているのに気づいた。
「前は避けられたのになぁ」
「あ?」
「腕がなまってるわね」
まじまじと、男の視線が私の顔を通過するのがわかる。
「“スキャン”」
きっと、これでわかってしまうだろう、この人には。
息を呑む気配に、わずかに笑顔を向ける。
「お察しの通り、目が見えなくなったの。あなたの腕で、直してもらえないかしら」
「…レイラ」
「もちろん、お金は払うわ」
ほんの数秒、考え込むような沈黙ができる。
この短い時間で、彼の聡明な頭はどれだけの情報を処理するのだろう。
「…治療費という形では要らねぇな」
…それ以外の何かが必要ってことだ。
「なにが必要?」
「…それは、治療が完了してからだ」
*
5分ほど、目をつぶってじっとしてただけだった。
そのまま、気づいたら眠り込んでいた。
目が覚めた時、当たり前のように世界がうつったから、まだ夢を見ているのだと頭が勝手に解釈したくらいだった。
「この船に乗れ」
「…え?」
「治療費の代わりだ」
「それは、どういう役割で?」
「金を、稼いでもらう」
…この人、もしかして。
今この潜水艦の維持費は、船長が生み出す治療費と、七武海関連の収入で成り立っている。
私が維持費を稼がなければいけない状況になるとしたら。
冷たい頬に手を添える。
いつかの大人との二人旅、絶望、出来た仲間。
それから、彼自身が、この船を後にするイメージと、「七武海脱退」という新聞の見出し。
「なにを、する気?」
少し、声がかすれた。
「大切な人の、本懐を遂げる。」
見聞色がこんなに役に立つ日が来るとは思ってなかったけれど、おかげで人ごみを歩くのは問題ないし、建物を避けるのも注意すればできる。
この街に、探していた人が来る。
それを見越して、三日前から街に入っていた。
そして今日、久しぶりの気配が島の反対側についたのを感じた。
なんて言えばいいだろう。
怒られる気がする。
それでも、最終的には許してくれるはず。
そう思った瞬間、強く何かに引っ張られた。
空間に吸い込まれる感じ。
次の瞬間、長い腕に捉えられているのに気づいた。
「前は避けられたのになぁ」
「あ?」
「腕がなまってるわね」
まじまじと、男の視線が私の顔を通過するのがわかる。
「“スキャン”」
きっと、これでわかってしまうだろう、この人には。
息を呑む気配に、わずかに笑顔を向ける。
「お察しの通り、目が見えなくなったの。あなたの腕で、直してもらえないかしら」
「…レイラ」
「もちろん、お金は払うわ」
ほんの数秒、考え込むような沈黙ができる。
この短い時間で、彼の聡明な頭はどれだけの情報を処理するのだろう。
「…治療費という形では要らねぇな」
…それ以外の何かが必要ってことだ。
「なにが必要?」
「…それは、治療が完了してからだ」
*
5分ほど、目をつぶってじっとしてただけだった。
そのまま、気づいたら眠り込んでいた。
目が覚めた時、当たり前のように世界がうつったから、まだ夢を見ているのだと頭が勝手に解釈したくらいだった。
「この船に乗れ」
「…え?」
「治療費の代わりだ」
「それは、どういう役割で?」
「金を、稼いでもらう」
…この人、もしかして。
今この潜水艦の維持費は、船長が生み出す治療費と、七武海関連の収入で成り立っている。
私が維持費を稼がなければいけない状況になるとしたら。
冷たい頬に手を添える。
いつかの大人との二人旅、絶望、出来た仲間。
それから、彼自身が、この船を後にするイメージと、「七武海脱退」という新聞の見出し。
「なにを、する気?」
少し、声がかすれた。
「大切な人の、本懐を遂げる。」