光を失ってから取り戻すまで
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家に戻ると、ベッドの上に包みが置いてあった。
開けて中身を見る。
「…アイツ…本当に食えない奴だよい…」
目頭を押さえる。
数枚の写真がシーツの上に散らばった。
*
あの戦争が起こる前の年のオヤジの誕生日。レイラは親父にカメラを送った。
「オヤジ様、今年は私からもプレゼントがあるの」
「グラララ、オメェもかレイラ」
「なんだなんだ?」
包みを開く。
「カメラか!?」
「そう!」
「ずいぶん高価なもん買ったな!」
「あーそれで最近ずっと出稼ぎ行ってたのか!」
「エースお前知ってたか?」
「いや知らねぇ」
「オヤジ様、これでみんなの写真を撮って、写真をプレゼントしたいの!」
「グララララ!これ以上ねェ送りもんだ!」
*
数枚の写真をめくる。
見聞色は磨き上げると未来が見えるようになるという。
俺は頂上戦争直後のイゾウとの会話を思い出していた。
「なァイゾウ、」
「あァ?」
「オレはレイラにはこうなること、わかってたんじゃねェかって思うよい」
「…そりゃまたなんでだ」
「昨日赤髪が、レイラの持ち物に大量の写真があるって言って来たんだよい。レイラのカメラ、結局オヤジは使わねぇでレイラが使ってただろ。で、残ってた写真見たらどうでもいい日常ばっか写ってんだよい。オヤジが酒飲んで大笑いしてるとことか、エースが食事中に寝てるとことか、サッチがフライパン振ってるとことかよい」
「…見てェな」
オヤジを中心に、16人の隊長が並ぶ写真。一人一人が米粒にも満たない大きさで写る全体の集合写真。
あの日撮られたそれらの写真以外は、本当になんてことない日常だった。
甲板で毎日のように起きる喧嘩。
洗濯物干しの風景。
昼食時の殺気立った調理場。
何かと理由を付けて開かれる宴の笑顔。
陸で起きる海軍との戦闘。
そういう日常が恋しくなることが、わかっていたかのような。
「見るなら部屋で一人で見るんだねい」
「なんだ、マルコ、泣いたのか」
「…泣くわけねェだろ!!」
もしかしてあいつには全部見えていたんじゃないだろうか。一度湧いた疑念は消えることなくずっと燻っていた。だけど今回、聞かなかった。聞いたところで何が変わるわけでもねェってこと、ようやく納得したからだ。
一枚一枚をめくる。
斜め下から見たオヤジの横顔。
エースとサッチの殴り合い。
その二人を正座させて説教するおれと、後ろで爆笑する兄弟たち。
宴でいつも自然発生した腕相撲。
飲み疲れて死屍累々の甲板。
「…ありがとよい、レイラ…」
開けて中身を見る。
「…アイツ…本当に食えない奴だよい…」
目頭を押さえる。
数枚の写真がシーツの上に散らばった。
*
あの戦争が起こる前の年のオヤジの誕生日。レイラは親父にカメラを送った。
「オヤジ様、今年は私からもプレゼントがあるの」
「グラララ、オメェもかレイラ」
「なんだなんだ?」
包みを開く。
「カメラか!?」
「そう!」
「ずいぶん高価なもん買ったな!」
「あーそれで最近ずっと出稼ぎ行ってたのか!」
「エースお前知ってたか?」
「いや知らねぇ」
「オヤジ様、これでみんなの写真を撮って、写真をプレゼントしたいの!」
「グララララ!これ以上ねェ送りもんだ!」
*
数枚の写真をめくる。
見聞色は磨き上げると未来が見えるようになるという。
俺は頂上戦争直後のイゾウとの会話を思い出していた。
「なァイゾウ、」
「あァ?」
「オレはレイラにはこうなること、わかってたんじゃねェかって思うよい」
「…そりゃまたなんでだ」
「昨日赤髪が、レイラの持ち物に大量の写真があるって言って来たんだよい。レイラのカメラ、結局オヤジは使わねぇでレイラが使ってただろ。で、残ってた写真見たらどうでもいい日常ばっか写ってんだよい。オヤジが酒飲んで大笑いしてるとことか、エースが食事中に寝てるとことか、サッチがフライパン振ってるとことかよい」
「…見てェな」
オヤジを中心に、16人の隊長が並ぶ写真。一人一人が米粒にも満たない大きさで写る全体の集合写真。
あの日撮られたそれらの写真以外は、本当になんてことない日常だった。
甲板で毎日のように起きる喧嘩。
洗濯物干しの風景。
昼食時の殺気立った調理場。
何かと理由を付けて開かれる宴の笑顔。
陸で起きる海軍との戦闘。
そういう日常が恋しくなることが、わかっていたかのような。
「見るなら部屋で一人で見るんだねい」
「なんだ、マルコ、泣いたのか」
「…泣くわけねェだろ!!」
もしかしてあいつには全部見えていたんじゃないだろうか。一度湧いた疑念は消えることなくずっと燻っていた。だけど今回、聞かなかった。聞いたところで何が変わるわけでもねェってこと、ようやく納得したからだ。
一枚一枚をめくる。
斜め下から見たオヤジの横顔。
エースとサッチの殴り合い。
その二人を正座させて説教するおれと、後ろで爆笑する兄弟たち。
宴でいつも自然発生した腕相撲。
飲み疲れて死屍累々の甲板。
「…ありがとよい、レイラ…」