白い船での話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
レイラがいない。
って言っても大体の居場所は特定できてる。
「おい、イゾウ、入るぞ」
イゾウと銃の手入れをしてるか、
「レイラ探しならハズレだぞ」
「サッチ、なんか食うモン!あとレイラいるか?」
キッチンで皿洗いしてるか、
「てめぇに食わせる夜食はねェ!レイラちゃんもいねェ!」
「マルコー、レイラ来てるか?」
マルコの部屋で事務作業手伝ってるか。
「…オメェ、自分の隊の報告書「いねェのか」」
「…」
ナースたちとパジャマ会してるか、
「エース隊長、今日はレイラ渡さないからね!」
「なんてったって今日はお泊り会だから!」
「…だそうです」
「…お邪魔しました」
甲板に出る。
モビーにいる時、いつだってレイラは俺を見つけると駆け寄ってくる。夜は必ず同じベッドで眠る。それを当然のことだと思ってた。
…よく考えたら、あいつにもあいつの都合があって、やりたいことがあるはずなのに、特別なことだと気づかせないくらい自然に、俺を優先する。
俺がいることで、あいつの毎日はつまらなくなってるんじゃないか。本当なら、あいつは、毎日もっと好きなことして、色んな奴と喋って、書類の面倒見たり、後始末に追われることもなく過ごせるのかもしれない。俺が居なければ、
「エース!」
突然の後ろからの衝撃に、一瞬海に落ちそうになってゾッとした。
我に返るのと同時に、レイラの手が胴体に巻き付いていた。
「…お泊り会じゃなかったのかよ」
「うん、まあ、ちょっと抜けてきた」
背中が温かい。
「…海、見てたの?」
「…あァ」
「なかなか渋い後ろ姿だったよ」
「…」
「エースの大きさの入れ墨だと、肩甲骨でマークに影が入って特にカッコいいのよね」
「…そうなのか、自分じゃ見えねぇけど」
「ふふ、それもそうか」
「戻らなくていいのか」
「うーん、…もうちょっと」
「…お泊り会ってどんな話すんだ」
「女の子が集まったらそりゃあ恋の話になるよ」
「…お前もすんのか」
「うん、私は…惚気させられるかな」
「…俺のことをか?」
「他に誰がいるの」
「まァ、そうだな」
背中の、ちょうどオヤジのマークのあたりにレイラが頭を擦り付ける。
「こんな素敵な人と一緒に居られてハッピーだなって自慢する」
「…」
「あと、他の人の話聞くと、エースがしてくれることが当たり前じゃないんだなって思う」
「…そうか」
さっきまで腹の底に溜まっていた鉛のようななにかが、一気に散っていくのが分かった。体から力が抜ける。
「細かい夜の事情については聞く専門になってるから安心して」
「…聞く専門ってことは、」
「あ、その話題は辞めといたほうがいいわね」
ひとしきり笑って、レイラの腕がほどけた。
「眠れなかったら迎えに来てもいいよ」
「ガキか。心配いらねぇよ」
「そっか、じゃあ戻るね」
ひらひら手を振りながら船室に戻る後姿を見送って、海に目を戻す。あいつが来る前とは海の色が違って見えた。
って言っても大体の居場所は特定できてる。
「おい、イゾウ、入るぞ」
イゾウと銃の手入れをしてるか、
「レイラ探しならハズレだぞ」
「サッチ、なんか食うモン!あとレイラいるか?」
キッチンで皿洗いしてるか、
「てめぇに食わせる夜食はねェ!レイラちゃんもいねェ!」
「マルコー、レイラ来てるか?」
マルコの部屋で事務作業手伝ってるか。
「…オメェ、自分の隊の報告書「いねェのか」」
「…」
ナースたちとパジャマ会してるか、
「エース隊長、今日はレイラ渡さないからね!」
「なんてったって今日はお泊り会だから!」
「…だそうです」
「…お邪魔しました」
甲板に出る。
モビーにいる時、いつだってレイラは俺を見つけると駆け寄ってくる。夜は必ず同じベッドで眠る。それを当然のことだと思ってた。
…よく考えたら、あいつにもあいつの都合があって、やりたいことがあるはずなのに、特別なことだと気づかせないくらい自然に、俺を優先する。
俺がいることで、あいつの毎日はつまらなくなってるんじゃないか。本当なら、あいつは、毎日もっと好きなことして、色んな奴と喋って、書類の面倒見たり、後始末に追われることもなく過ごせるのかもしれない。俺が居なければ、
「エース!」
突然の後ろからの衝撃に、一瞬海に落ちそうになってゾッとした。
我に返るのと同時に、レイラの手が胴体に巻き付いていた。
「…お泊り会じゃなかったのかよ」
「うん、まあ、ちょっと抜けてきた」
背中が温かい。
「…海、見てたの?」
「…あァ」
「なかなか渋い後ろ姿だったよ」
「…」
「エースの大きさの入れ墨だと、肩甲骨でマークに影が入って特にカッコいいのよね」
「…そうなのか、自分じゃ見えねぇけど」
「ふふ、それもそうか」
「戻らなくていいのか」
「うーん、…もうちょっと」
「…お泊り会ってどんな話すんだ」
「女の子が集まったらそりゃあ恋の話になるよ」
「…お前もすんのか」
「うん、私は…惚気させられるかな」
「…俺のことをか?」
「他に誰がいるの」
「まァ、そうだな」
背中の、ちょうどオヤジのマークのあたりにレイラが頭を擦り付ける。
「こんな素敵な人と一緒に居られてハッピーだなって自慢する」
「…」
「あと、他の人の話聞くと、エースがしてくれることが当たり前じゃないんだなって思う」
「…そうか」
さっきまで腹の底に溜まっていた鉛のようななにかが、一気に散っていくのが分かった。体から力が抜ける。
「細かい夜の事情については聞く専門になってるから安心して」
「…聞く専門ってことは、」
「あ、その話題は辞めといたほうがいいわね」
ひとしきり笑って、レイラの腕がほどけた。
「眠れなかったら迎えに来てもいいよ」
「ガキか。心配いらねぇよ」
「そっか、じゃあ戻るね」
ひらひら手を振りながら船室に戻る後姿を見送って、海に目を戻す。あいつが来る前とは海の色が違って見えた。