白い船での話
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今日の宴会はマルコとイゾウと飲んでいた。
この二人とだとゆっくり飲めて居心地がいい。
「オメェさんの言ってた相手ってあいつなんだろ?」
「うん」
「へェ…どんな色男かと思ったらよい」
「ただの暑苦しいガキだねェ」
「ふふっ、そうだね」
イゾウがゆるりとジョッキを傾ける。
つられてお酒の瓶を持ち上げた。彼はお酒を瓶から飲まない、数少ない常識人だ。
「ククッ、火拳にも酌してやるのか」
「したことないわ。あの人瓶から飲むから」
「へェ、じゃああいつが初めて飲んだ酒もお前は知ってるのかよい」
「…それは、知らない」
私が見たのはエースの記憶だ。
記憶は歪む。都合のいいようにねじ曲がったりするから、知っているとは言えない。
ただ、盃に込めるヒリヒリした思いだけを、私は知っている。
「最初はとんだ野犬が来たと思ったけどよい」
「ふふ、闘争心丸出しだったんでしょ」
「あァ、むき身のナイフみてぇだったな」
「お前はちょうどその時期はいなかったもんな」
あえて寄り付かないようにしていたのだ。
打ち入ったモビーに私がいたら、密告したと勘違いしてきっとエースは激昂する。
だから、エースがオヤジ様を慕い始めた頃を見計らって、こちらから出向いた。
私の姿を見て目を丸くした後、気まずそうに目を逸らしたエースに言ってやったんだ。「会いに来たよ」って。
*
「レイラさん彼氏は?」
「います」
「うわ!やっぱり!!」
「これぐらい美人だといない訳ねぇよな」
「彼氏は何してる人?」
「海賊です」
「え、ぶっちゃけ今でも好き?」
「おれら遊びでいいからさー」
やたら横柄な態度に閉口していると、どさりと隣に人が座った。
エースだ。けっこう酔ってる。
「こいつは俺の嫁だ」
『はあああああああ!?』
『えええええええええええ!?』
甲板は一瞬の沈黙ののち歓声と怒号に包まれた。
え、嫁?いつの間に?
マジかよ、とか、うらやましい、とか、いろいろな呟きでざわつく甲板の片隅から、キース、というコールが巻き起こった。
面倒なことになると判断し、瞬時にその場を立ち去ろうとしたけど、分厚い掌に腕を掴まれてそれが叶わない。
「おっと、逃がしゃしねぇよ」
力任せに引き寄せられて熱い唇が押し付けられる。
甲板がさらに大きな歓声に包まれるのを目を閉じて聞いていた。
あーあ、こんな大勢の前で。
でも説明が不要になったのは楽かな。
筋を通すとエースがいって、親父様にも私たちのことを話し理解してもらった。
こうして、私は白髭海賊団で初の「クルーの嫁」として船に出入りすることになったのだった。
この二人とだとゆっくり飲めて居心地がいい。
「オメェさんの言ってた相手ってあいつなんだろ?」
「うん」
「へェ…どんな色男かと思ったらよい」
「ただの暑苦しいガキだねェ」
「ふふっ、そうだね」
イゾウがゆるりとジョッキを傾ける。
つられてお酒の瓶を持ち上げた。彼はお酒を瓶から飲まない、数少ない常識人だ。
「ククッ、火拳にも酌してやるのか」
「したことないわ。あの人瓶から飲むから」
「へェ、じゃああいつが初めて飲んだ酒もお前は知ってるのかよい」
「…それは、知らない」
私が見たのはエースの記憶だ。
記憶は歪む。都合のいいようにねじ曲がったりするから、知っているとは言えない。
ただ、盃に込めるヒリヒリした思いだけを、私は知っている。
「最初はとんだ野犬が来たと思ったけどよい」
「ふふ、闘争心丸出しだったんでしょ」
「あァ、むき身のナイフみてぇだったな」
「お前はちょうどその時期はいなかったもんな」
あえて寄り付かないようにしていたのだ。
打ち入ったモビーに私がいたら、密告したと勘違いしてきっとエースは激昂する。
だから、エースがオヤジ様を慕い始めた頃を見計らって、こちらから出向いた。
私の姿を見て目を丸くした後、気まずそうに目を逸らしたエースに言ってやったんだ。「会いに来たよ」って。
*
「レイラさん彼氏は?」
「います」
「うわ!やっぱり!!」
「これぐらい美人だといない訳ねぇよな」
「彼氏は何してる人?」
「海賊です」
「え、ぶっちゃけ今でも好き?」
「おれら遊びでいいからさー」
やたら横柄な態度に閉口していると、どさりと隣に人が座った。
エースだ。けっこう酔ってる。
「こいつは俺の嫁だ」
『はあああああああ!?』
『えええええええええええ!?』
甲板は一瞬の沈黙ののち歓声と怒号に包まれた。
え、嫁?いつの間に?
マジかよ、とか、うらやましい、とか、いろいろな呟きでざわつく甲板の片隅から、キース、というコールが巻き起こった。
面倒なことになると判断し、瞬時にその場を立ち去ろうとしたけど、分厚い掌に腕を掴まれてそれが叶わない。
「おっと、逃がしゃしねぇよ」
力任せに引き寄せられて熱い唇が押し付けられる。
甲板がさらに大きな歓声に包まれるのを目を閉じて聞いていた。
あーあ、こんな大勢の前で。
でも説明が不要になったのは楽かな。
筋を通すとエースがいって、親父様にも私たちのことを話し理解してもらった。
こうして、私は白髭海賊団で初の「クルーの嫁」として船に出入りすることになったのだった。