光を失ってから取り戻すまで
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そろそろ船を降りて半月が経つ。
完全に鈍っていた。
「おっと、思ったよりいい女じゃねえか」
「こいつは高値で売れるな」
「その前にヤッちまおうぜ?」
「ああ、ちゃんと使い物になるか調べてから売らねえとな」
こういうの、10代の時にも一回引っかかったことがある。ご丁寧に海楼石の手錠を嵌められているけど、残念ながら私には普通の手錠と変わりない。
不意に、建物の外で戦闘が始まる音がした。動きのある場所に意識を集中する。
その瞬間、鳩尾を鷲摑みにされたような感覚が過ぎった。
戦闘の中で一番強い、その人を。
私は、知ってる。
*
人身売買組織は末端だが、情報の切り口になりやすいこともあって、近くに寄ったついでに壊滅させておこうと手を回していた。奇襲がきまって、最小の労力で建物内に侵入する。
この類の組織は女を主に扱うが、中には優秀な兵士の素質がある男達もいて、人材のスカウトにはもってこいだった。手前の部屋から順に捕まってた奴らを保護して、一番奥の部屋に向かう。扉を開けると女一人に男数名が群がっていた。
「自由を奪わないと相手にされないんだな、あんたら」
男たちがこちらを見る。
その瞬間、拘束されているはずの女が跳ね起きた。
手首に掛かった手錠で男の首を絞め気絶させる。
殴りかかろうとした隣の男目掛けて気絶した男を振り下ろす。
素早く手錠を男の首から外して、隣に突っ立っていた男の鳩尾に肘を打ち込む。
ものの10秒で男たちは全員床に沈んだ。
「…助けに来る必要、なかったか」
髪に隠れて女の顔は見えない。
「…あなた、私を知ってる?」
女が目を上げた。
金色の髪、大きな黒の瞳。
不意に子供のころの記憶が鮮烈によみがえる。
ゴルボ山で熊に照準を合わせる少女の後姿。
「まさか、…レイラ?」
女がにこ、と笑顔を浮かべた。
その表情が昔と変わらず、急に感情が沸点に達した。
目元から、じわりとなにかがあふれ出す。
「…生きてたんだね、サボ」
完全に鈍っていた。
「おっと、思ったよりいい女じゃねえか」
「こいつは高値で売れるな」
「その前にヤッちまおうぜ?」
「ああ、ちゃんと使い物になるか調べてから売らねえとな」
こういうの、10代の時にも一回引っかかったことがある。ご丁寧に海楼石の手錠を嵌められているけど、残念ながら私には普通の手錠と変わりない。
不意に、建物の外で戦闘が始まる音がした。動きのある場所に意識を集中する。
その瞬間、鳩尾を鷲摑みにされたような感覚が過ぎった。
戦闘の中で一番強い、その人を。
私は、知ってる。
*
人身売買組織は末端だが、情報の切り口になりやすいこともあって、近くに寄ったついでに壊滅させておこうと手を回していた。奇襲がきまって、最小の労力で建物内に侵入する。
この類の組織は女を主に扱うが、中には優秀な兵士の素質がある男達もいて、人材のスカウトにはもってこいだった。手前の部屋から順に捕まってた奴らを保護して、一番奥の部屋に向かう。扉を開けると女一人に男数名が群がっていた。
「自由を奪わないと相手にされないんだな、あんたら」
男たちがこちらを見る。
その瞬間、拘束されているはずの女が跳ね起きた。
手首に掛かった手錠で男の首を絞め気絶させる。
殴りかかろうとした隣の男目掛けて気絶した男を振り下ろす。
素早く手錠を男の首から外して、隣に突っ立っていた男の鳩尾に肘を打ち込む。
ものの10秒で男たちは全員床に沈んだ。
「…助けに来る必要、なかったか」
髪に隠れて女の顔は見えない。
「…あなた、私を知ってる?」
女が目を上げた。
金色の髪、大きな黒の瞳。
不意に子供のころの記憶が鮮烈によみがえる。
ゴルボ山で熊に照準を合わせる少女の後姿。
「まさか、…レイラ?」
女がにこ、と笑顔を浮かべた。
その表情が昔と変わらず、急に感情が沸点に達した。
目元から、じわりとなにかがあふれ出す。
「…生きてたんだね、サボ」