あかいふねでのおはなし
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その日の夜、あの子は酒場に来た。
「おじさん、これ、鹿肉」
「おー!いい肉だ、レイラちゃん!」
「2万ベリーでどう?」
「それじゃあ安すぎるくらいだよ。今週の夕飯もつけよう」
「ありがとう」
そうか、あいつの名前レイラって言うのか。
マスターから晩飯を受け取ったレイラがカウンターに座る。
「なに食ってんだよ」
「パスタ」
「おっさん、俺も同じの」
*
「らしくねェなァ、頭」
「なんだよ」
「今回はあのお嬢ちゃんにご執心か」
「ハハッ、お頭もついに禁断の領域に突入だな」
「ちげーよ、そんなんじゃねえ」
頭を掻きながら酒を呷る、この男。
普段なら村の女を一通り試しているところだが、今回は様子が違う。
「あの嬢ちゃんの何がそんなに気になるんだ」
「…あいつ自身っていうかよ、まあそれも気になるんだけどよ」
瞳に映る光はふざけているときすら真剣だ。
「俺にはこの村そのものがあの子に掛かった呪いに思える」
「…呪い?」
「いやあ、俺に解けるかねェ」
*
ある日、熊を見つけた。
お兄ちゃんが刺した左目の傷だ、間違いない。
心音も、心境も、やけに静かだった。
ものすごく時間をかけてじっくり引き付けて、左のわきの下に照準を合わせる。
{頭が左に見えるときは、わきを下から狙って一発で心臓を打ち抜くのが確実だ。}
お兄ちゃんの声を思い出して、ひとつ、静かに息を吐く。
もう一度狙いを定めて、一気に引き金を引いた。
弾はまっすぐ飛んで、熊の脇腹に突き刺さる。
熊が雪原に倒れて、赤い花びらのようななにかが飛び散り、動かなくなった。
一気に、体から力が抜けた。
不意に頭の芯が何かを聞く。
左の遠くから強くて獰猛な気配。
―しまった、熊、2頭いたんだ。
構え直そうにも、力の抜けた体では、避けられる自信がない。
目測で、熊の足なら2秒。
仕方ない、一撃目は受けるしかない、二撃目に、私は生きてるかな。
銃を構えたまま向き直って、突っ込んでくる熊に焦点が合った、その瞬間。
視界に赤い何かが揺れた。
お腹のあたりに感じる力強い腕。
次の瞬間、強い威圧感が辺りを支配した。
熊がひと鳴きして縮こまる。
赤髪-シャンクスだった。
「おい、大丈夫か!」
「うん、」
体が10倍重く感じる、と思いながら、ひるんだ熊のあごの下に照準を合わせる。
{正面を向いているときは、あごの下を狙う。のどや肺を壊すのが一番早いから。}
瞬きを止めて、引き金を引く。
「おじさん、これ、鹿肉」
「おー!いい肉だ、レイラちゃん!」
「2万ベリーでどう?」
「それじゃあ安すぎるくらいだよ。今週の夕飯もつけよう」
「ありがとう」
そうか、あいつの名前レイラって言うのか。
マスターから晩飯を受け取ったレイラがカウンターに座る。
「なに食ってんだよ」
「パスタ」
「おっさん、俺も同じの」
*
「らしくねェなァ、頭」
「なんだよ」
「今回はあのお嬢ちゃんにご執心か」
「ハハッ、お頭もついに禁断の領域に突入だな」
「ちげーよ、そんなんじゃねえ」
頭を掻きながら酒を呷る、この男。
普段なら村の女を一通り試しているところだが、今回は様子が違う。
「あの嬢ちゃんの何がそんなに気になるんだ」
「…あいつ自身っていうかよ、まあそれも気になるんだけどよ」
瞳に映る光はふざけているときすら真剣だ。
「俺にはこの村そのものがあの子に掛かった呪いに思える」
「…呪い?」
「いやあ、俺に解けるかねェ」
*
ある日、熊を見つけた。
お兄ちゃんが刺した左目の傷だ、間違いない。
心音も、心境も、やけに静かだった。
ものすごく時間をかけてじっくり引き付けて、左のわきの下に照準を合わせる。
{頭が左に見えるときは、わきを下から狙って一発で心臓を打ち抜くのが確実だ。}
お兄ちゃんの声を思い出して、ひとつ、静かに息を吐く。
もう一度狙いを定めて、一気に引き金を引いた。
弾はまっすぐ飛んで、熊の脇腹に突き刺さる。
熊が雪原に倒れて、赤い花びらのようななにかが飛び散り、動かなくなった。
一気に、体から力が抜けた。
不意に頭の芯が何かを聞く。
左の遠くから強くて獰猛な気配。
―しまった、熊、2頭いたんだ。
構え直そうにも、力の抜けた体では、避けられる自信がない。
目測で、熊の足なら2秒。
仕方ない、一撃目は受けるしかない、二撃目に、私は生きてるかな。
銃を構えたまま向き直って、突っ込んでくる熊に焦点が合った、その瞬間。
視界に赤い何かが揺れた。
お腹のあたりに感じる力強い腕。
次の瞬間、強い威圧感が辺りを支配した。
熊がひと鳴きして縮こまる。
赤髪-シャンクスだった。
「おい、大丈夫か!」
「うん、」
体が10倍重く感じる、と思いながら、ひるんだ熊のあごの下に照準を合わせる。
{正面を向いているときは、あごの下を狙う。のどや肺を壊すのが一番早いから。}
瞬きを止めて、引き金を引く。