白い船での話
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レイラが目を覚ました。船医を振り切って、オヤジのところに這って向かおうとしたから、担いで連れて行った。サッチの最期の言葉を伝える横顔。こいつの心も、限界だろう。
「…助け、られなくて、ごめんなさい」
「オメェが謝ることじゃねえだろ」
「でも、」
「オレが腹立ててんのはよォ、レイラ」
オヤジの目がわずかに細められる。
「なんですぐオレ達に言わなかった」
「…」
「どうして一人で乗り込んだ」
「…時間が、なかったの。それと、…」
視線を床に縫い付けたままレイラがつぶやく。
「…私は、私の立場を、わかってるつもり。」
嫁は、家の外の女。
このモビーで前例のない“息子の嫁”の立場を、レイラ自身が測りかねたということか。
「とんだアホンダラだなァ、お前」
オヤジが身をかがめてレイラを覗き込む。
「息子の嫁ってぇのは、俺の娘だろ」
普段から何かに驚いているような目をさらに大きく見開いたかと思うと、そこに一気に涙を溜めて、レイラは一度大きく頷いた。
*
「エース、やっぱり飛び出しちゃったか」
「…わかってたような言い方だねい」
「長い、付き合いだからね」
医務室のベッドに横たわったレイラが言う。
さっき無理に動こうとしたせいで傷が開きかけ、俺と船医にこってり絞られた後だ。
「…早く、良くならなくちゃ」
「焦んなよい」
「うん、そうなんだけど、」
気だるげに落ちていた瞼がゆるりと閉じる。
「私にしか…できないこと…あるから」
「ならさっさと寝るこったな」
「うん…まず…フィのなかま…」
切れ切れになる言葉に溜息をついて、布団を直して灯りを落とした。
こいつも見張っとかねぇと、いつ飛び出すか分かったもんじゃねェ。
「おいマチルダ、レイラのことしっかり見張っとけよい」
「見張りですか?」
「あァ。傷が癒えたらすぐにでも船飛び出すぞありゃ」
「…わかりました。伝達しておきます」
後ろ手に医務室のドアを閉めながら、何番隊をレイラに着けるか考えていた。
これ以上、家族を失う訳にはいかねぇもんでな。
「…助け、られなくて、ごめんなさい」
「オメェが謝ることじゃねえだろ」
「でも、」
「オレが腹立ててんのはよォ、レイラ」
オヤジの目がわずかに細められる。
「なんですぐオレ達に言わなかった」
「…」
「どうして一人で乗り込んだ」
「…時間が、なかったの。それと、…」
視線を床に縫い付けたままレイラがつぶやく。
「…私は、私の立場を、わかってるつもり。」
嫁は、家の外の女。
このモビーで前例のない“息子の嫁”の立場を、レイラ自身が測りかねたということか。
「とんだアホンダラだなァ、お前」
オヤジが身をかがめてレイラを覗き込む。
「息子の嫁ってぇのは、俺の娘だろ」
普段から何かに驚いているような目をさらに大きく見開いたかと思うと、そこに一気に涙を溜めて、レイラは一度大きく頷いた。
*
「エース、やっぱり飛び出しちゃったか」
「…わかってたような言い方だねい」
「長い、付き合いだからね」
医務室のベッドに横たわったレイラが言う。
さっき無理に動こうとしたせいで傷が開きかけ、俺と船医にこってり絞られた後だ。
「…早く、良くならなくちゃ」
「焦んなよい」
「うん、そうなんだけど、」
気だるげに落ちていた瞼がゆるりと閉じる。
「私にしか…できないこと…あるから」
「ならさっさと寝るこったな」
「うん…まず…フィのなかま…」
切れ切れになる言葉に溜息をついて、布団を直して灯りを落とした。
こいつも見張っとかねぇと、いつ飛び出すか分かったもんじゃねェ。
「おいマチルダ、レイラのことしっかり見張っとけよい」
「見張りですか?」
「あァ。傷が癒えたらすぐにでも船飛び出すぞありゃ」
「…わかりました。伝達しておきます」
後ろ手に医務室のドアを閉めながら、何番隊をレイラに着けるか考えていた。
これ以上、家族を失う訳にはいかねぇもんでな。
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