白い船での話
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きっと傍から見たら文字通り血の海なんだろう。
そんな取り留めのないことを考えながら意識を現実に繋ぎとめる。
目の前には虫の息のサッチ。
力を振り絞って近寄ると、血だまりに頬ずりするようにサッチに口づけた。
強烈な痛みを引き受ける。
なのに「いのち」の量が増えない。
それどころか、どんどん漏れ出して減っていく。
サッチが私を押しやった。
「…キスはさァ…エースが、怒るだろ…」
「っ、サッチ、」
「抱きしめて…くんねぇかなァ…」
「…っわかった、」
ずるり、と近寄ってサッチの体に腕を回す。
腕と一緒にお互いの血がまじりあう気がした。
せめて、苦痛が減るように。
それだけを願いながら体に寄り添う。
「レイラ…ちゃんが、一緒で…嬉しいわ…」
「サッチ、もう、」
「…親父に、言っといて、くれよ…あんた、の、息子で…良かっ、たってな」
「うん、…伝える」
「…あと、…みんなに…ありがとな、って、」
「うん、わかった、」
「っは…」
サッチの呼吸が弱くなる。
命の灯が、消える。
「、サッチっ…!」
また、大切な人を、送ってしまった。
「っ、」
声を上げて泣けたら、どんなに楽だろう。
それができるだけの、力が、今の私には、ない。
目を開けているのも、大変に、なってきた。
遠くから、気配が近づいてくる。
あぁ、マルコだ。
これで、安心だ、と思った。
一緒に、エースも。
なんて、言おう。
エースは、きっと、追うだろう。
「ごめん」と言ったら、
守れなかった自分を、責める。
「行かないで」と言ったら、
彼は飛び出した自分を、責める。
どうしよう。
考えているうちに、食堂のドアが開く。
バタバタとこちらにかけてくる足音。
*
目に飛び込んできたのは床一面の赤。
真っ白な頭のまま、何かを抱き起して怒鳴っているマルコに近寄る。
「おい!!サッチ!嘘だろい!!!」
サッチ?そんなわけねェよ、服は確かに同じだけどよ、そんなボロ雑巾みたいになって、真っ白な顔してるのがサッチなわけねえだろ、よく似たなんかだって、奥の食糧室からまたいつもみたいに出てくるだろ、
不意に足元に何かが横たわっているのが見えた。
金色、白い布切れ、白い肌。
「っ、レイラ!!!??」
力任せに引き起こす。
短く弱い呼吸。
「おい、レイラ!!!」
薄く、目が開く。
「何があった!?誰がこんな、」
「、エース、」
聞き逃すまいと耳を寄せる。
「サッチが、みんなに、ありがとな、って」
「っレイラ、」
「ね、エース、…ぎゅって、して」
理解した瞬間、力任せに抱きしめた。
レイラの体がガタガタと震えるのはわかったのに、それが自分の体から起きているものだと気づくのにはだいぶ時間がかかった。
そんな取り留めのないことを考えながら意識を現実に繋ぎとめる。
目の前には虫の息のサッチ。
力を振り絞って近寄ると、血だまりに頬ずりするようにサッチに口づけた。
強烈な痛みを引き受ける。
なのに「いのち」の量が増えない。
それどころか、どんどん漏れ出して減っていく。
サッチが私を押しやった。
「…キスはさァ…エースが、怒るだろ…」
「っ、サッチ、」
「抱きしめて…くんねぇかなァ…」
「…っわかった、」
ずるり、と近寄ってサッチの体に腕を回す。
腕と一緒にお互いの血がまじりあう気がした。
せめて、苦痛が減るように。
それだけを願いながら体に寄り添う。
「レイラ…ちゃんが、一緒で…嬉しいわ…」
「サッチ、もう、」
「…親父に、言っといて、くれよ…あんた、の、息子で…良かっ、たってな」
「うん、…伝える」
「…あと、…みんなに…ありがとな、って、」
「うん、わかった、」
「っは…」
サッチの呼吸が弱くなる。
命の灯が、消える。
「、サッチっ…!」
また、大切な人を、送ってしまった。
「っ、」
声を上げて泣けたら、どんなに楽だろう。
それができるだけの、力が、今の私には、ない。
目を開けているのも、大変に、なってきた。
遠くから、気配が近づいてくる。
あぁ、マルコだ。
これで、安心だ、と思った。
一緒に、エースも。
なんて、言おう。
エースは、きっと、追うだろう。
「ごめん」と言ったら、
守れなかった自分を、責める。
「行かないで」と言ったら、
彼は飛び出した自分を、責める。
どうしよう。
考えているうちに、食堂のドアが開く。
バタバタとこちらにかけてくる足音。
*
目に飛び込んできたのは床一面の赤。
真っ白な頭のまま、何かを抱き起して怒鳴っているマルコに近寄る。
「おい!!サッチ!嘘だろい!!!」
サッチ?そんなわけねェよ、服は確かに同じだけどよ、そんなボロ雑巾みたいになって、真っ白な顔してるのがサッチなわけねえだろ、よく似たなんかだって、奥の食糧室からまたいつもみたいに出てくるだろ、
不意に足元に何かが横たわっているのが見えた。
金色、白い布切れ、白い肌。
「っ、レイラ!!!??」
力任せに引き起こす。
短く弱い呼吸。
「おい、レイラ!!!」
薄く、目が開く。
「何があった!?誰がこんな、」
「、エース、」
聞き逃すまいと耳を寄せる。
「サッチが、みんなに、ありがとな、って」
「っレイラ、」
「ね、エース、…ぎゅって、して」
理解した瞬間、力任せに抱きしめた。
レイラの体がガタガタと震えるのはわかったのに、それが自分の体から起きているものだと気づくのにはだいぶ時間がかかった。