私が22歳だったころ
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エースの亡骸の近くに、黒い何かが落ちていた。
目にした瞬間、心臓が大きく音を立てる。
黒いマントを来た、女。
「っおい!」
抱き起こしてみれば、予想通り。
レイラだ。
息はある。が、顔面は蒼白なんてもんじゃない。
すぐさまレイラを抱えて走り出そうとした。
だが、あまり事を荒立てて、海軍がこいつに気づくのは避けたい。
「ベックマン」
「なんだ、お頭」
「こいつを船まで運べ」
「…まさか、居やがったのか」
「あァ」
「わかった。船医もつれていく」
「頼んだ」
白ひげとエースを回収して、全速力でレッドフォースへ戻る。
もともとあいつが使っていた部屋。
「どうだ、レイラは」
「…あまりよろしくないな、内臓のダメージが大きい。
あと、今回のことで心理面のダメージも相当なもんだろうな」
*
どのくらい、あの状態でいたかはわからないけど、
ある日突然、そうか、あれは現実なんだと思い知った。
全部夢だと思った。
思いたかった。
海に出たところから。
そうなると、10年以上ずっと夢を見ていた気分になって、
10歳で村を出てからのことを、ゆっくり思い出していた。
そして、思い出した記憶のあまりの鮮明さに、
改めてあれは現実なんだと思い知った時、
初めて涙が頬を伝った。
それでも懲りずに夢を見る。
初めて会ったところから、順番に。
今は、フーシャ村に戻ったころ、たぶん13歳くらいのころ。
夢の中で、本当にリアルに、エースに会う。
でも、夢は海のようなものだから、あまり長くは潜っていられない。
息継ぎをしなきゃならない。
あの人のいない、現実で。
「起きたかレイラ、今日はいい天気だぞ」
シャンクスの声がする。
でも、人の言葉に反応するエネルギーが、ない。
食べたら吐いてしまうし、いのちがごっそり抜け落ちたような感覚。
水を口にするのにも、気力を振り絞る。
それに、今の私には、天気がどうでもあまり変わりない。
潮の香りも、日差しも、嵐も、全部にあの人の記憶がある。
なにを意識しても、ずっとつらいのに変わりはない。
気を紛らわすのに、船内のクルーの様子に意識を集中させる。
誰がどこにいて、何をしているのか。
何を話して、…何を考えているのか。
皮肉なことに目が見えなくなってから、見聞色が鋭くなった。
その情報に潜っていくうち、また、夢の世界に墜ちている。
もしかしたらこのまま朽ちていくのかもしれない。
それはそれで、いいと思う。
目にした瞬間、心臓が大きく音を立てる。
黒いマントを来た、女。
「っおい!」
抱き起こしてみれば、予想通り。
レイラだ。
息はある。が、顔面は蒼白なんてもんじゃない。
すぐさまレイラを抱えて走り出そうとした。
だが、あまり事を荒立てて、海軍がこいつに気づくのは避けたい。
「ベックマン」
「なんだ、お頭」
「こいつを船まで運べ」
「…まさか、居やがったのか」
「あァ」
「わかった。船医もつれていく」
「頼んだ」
白ひげとエースを回収して、全速力でレッドフォースへ戻る。
もともとあいつが使っていた部屋。
「どうだ、レイラは」
「…あまりよろしくないな、内臓のダメージが大きい。
あと、今回のことで心理面のダメージも相当なもんだろうな」
*
どのくらい、あの状態でいたかはわからないけど、
ある日突然、そうか、あれは現実なんだと思い知った。
全部夢だと思った。
思いたかった。
海に出たところから。
そうなると、10年以上ずっと夢を見ていた気分になって、
10歳で村を出てからのことを、ゆっくり思い出していた。
そして、思い出した記憶のあまりの鮮明さに、
改めてあれは現実なんだと思い知った時、
初めて涙が頬を伝った。
それでも懲りずに夢を見る。
初めて会ったところから、順番に。
今は、フーシャ村に戻ったころ、たぶん13歳くらいのころ。
夢の中で、本当にリアルに、エースに会う。
でも、夢は海のようなものだから、あまり長くは潜っていられない。
息継ぎをしなきゃならない。
あの人のいない、現実で。
「起きたかレイラ、今日はいい天気だぞ」
シャンクスの声がする。
でも、人の言葉に反応するエネルギーが、ない。
食べたら吐いてしまうし、いのちがごっそり抜け落ちたような感覚。
水を口にするのにも、気力を振り絞る。
それに、今の私には、天気がどうでもあまり変わりない。
潮の香りも、日差しも、嵐も、全部にあの人の記憶がある。
なにを意識しても、ずっとつらいのに変わりはない。
気を紛らわすのに、船内のクルーの様子に意識を集中させる。
誰がどこにいて、何をしているのか。
何を話して、…何を考えているのか。
皮肉なことに目が見えなくなってから、見聞色が鋭くなった。
その情報に潜っていくうち、また、夢の世界に墜ちている。
もしかしたらこのまま朽ちていくのかもしれない。
それはそれで、いいと思う。