私が22歳だったころ
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空を歩く。
人に見つからない範囲で。
ローブで顔を隠して、背中にバックパック、ベルトに括った紐には小舟が繋がっている。
船の気配が近くなったら、引っ張ってきた小舟に降りて、オールで漕いできた風を装う。
なぜそんな面倒なことをしているかと言えば、それ以上の面倒ごとを避けるためだった。
流れに任せて船に近づいて、波の反動も使いながら手摺へジャンプ。
最初に気づいたのは船尾で喧嘩中の緑髪の男の子と金髪の男の子だった。
「…なんだよオイ」
「誰だテメェ、どっから来やがった!」
でも私の意識は見張り台から飛んでくるもう一人に向けられていた。
飛び込んでくる懐かしい気配。受け止めるときっと痛い。
衝突の瞬間に手刀を決めて避けた。
脇をすり抜ける衝撃、高く上がる水しぶき。
「おいルフィ!!!」
「てんめェ…!!!!」
金髪の男の子が海に飛び込み、緑髪の男の子が私に切りかかる。
腰から短剣を抜いて刀を受けた。その拍子にローブのフードが脱げる。
「女!?」
「おいおい、なんだ今の音!」
階段を上がって来た男の子を視界の端に捉えながら、目の前の刀に集中する。
重い太刀筋、実力者だ。
こんな人がいるなんて心強い。
後ろからザバっと水面に上がる音がする。
「おい、レイラじゃねえかァ」
ふにゃふにゃした声。
剣士から目を離して振り返る。
「久しぶりね、ルフィ」
*
「ルフィさん、誰なの?その人」
「ニシシ、オレのに」
兄ちゃんの、続きそうなところを、ルフィの唇に指を当てて制止した。
「なんて言えばいいんだっけ?」
ルフィは幼馴染という単語が苦手だ。
<おささなじみだ!>
<幼馴染だよ>
<おさなじじみだ!>
<遠ざかったね>
そんな遠い日のやり取りに目を細めていた時のこと。
「レイラはオレの初恋だ!」
…え。
「ルフィさんが恋!?」
「なんだって?」
「それは初耳だわ」
「こいつ恋の意味わかってんのか?」
「なァこの船に乗れよ!」
「…四皇が二人迎えにくるわよ」
「四皇!?」
凍り付く船内。
鼻の長い男の子、青い髪の女の子が絶望している。
金髪の男の子は目をハートにしたまま別の意味で凍っている。
緑髪の男の子だけが驚きながらも冷静に見える。
楽しそうな海賊団だ。
「次の島まで乗ってけよ!」
「この船はこれからどこに行くの?」
「そうよ、私達近くの島を探してるんです」
「仲間が一人病気で倒れちまったんだ」
「あんた、どっから来たんだよ」
「ドラム王国っていう、」
「どこにあるんだ!?」
「ここから南に2日…いや3日?」
「南!南ってどっちだ!?」
「えっと…誰か時計もってる?」
*
「へぇ、あんた赤髪の船に乗ってたのか」
「それはもうお世話になったわよ」
「オレの父ちゃんも赤髪海賊団のクルーなんだぜ!」
「え、…もしかして、ヤソップの子供!?」
「おおそうだ、分かるのか!?」
「もちろん!銃の撃ち方とか教えてもらったし!」
「なァゾロ、オメェあんまレイラと話さねえのな」
「…ほっとけ」
「ルフィ、そいつは自分の刀止められて悔しがってんだよ」
「なあんだとこのグル眉クソコック!!」
「あァンやんのかこの野郎!!」
「そりゃあレイラ強いからよ、オレ一回も勝てたことねェもん」
「ルフィが…一回も!?」
「子供のころはね。今やったらたぶん負けると思う」
*
案内された女部屋には高熱を出して寝込むオレンジ色の髪の女の子がいた。
頭に手を当てる。
40℃ってとこだろうか。
熱を下げると病原菌に負ける気もするけど、熱による脳へのダメージも心配だから、消耗した体力だけでも回復させないと。
「…だ…れ?」
死神よ、という答えが頭をよぎったけど、この状況では縁起でもないから、
「ルフィの幼馴染よ、またいずれ会いましょう」と話したら彼女は目をつぶった。
人に見つからない範囲で。
ローブで顔を隠して、背中にバックパック、ベルトに括った紐には小舟が繋がっている。
船の気配が近くなったら、引っ張ってきた小舟に降りて、オールで漕いできた風を装う。
なぜそんな面倒なことをしているかと言えば、それ以上の面倒ごとを避けるためだった。
流れに任せて船に近づいて、波の反動も使いながら手摺へジャンプ。
最初に気づいたのは船尾で喧嘩中の緑髪の男の子と金髪の男の子だった。
「…なんだよオイ」
「誰だテメェ、どっから来やがった!」
でも私の意識は見張り台から飛んでくるもう一人に向けられていた。
飛び込んでくる懐かしい気配。受け止めるときっと痛い。
衝突の瞬間に手刀を決めて避けた。
脇をすり抜ける衝撃、高く上がる水しぶき。
「おいルフィ!!!」
「てんめェ…!!!!」
金髪の男の子が海に飛び込み、緑髪の男の子が私に切りかかる。
腰から短剣を抜いて刀を受けた。その拍子にローブのフードが脱げる。
「女!?」
「おいおい、なんだ今の音!」
階段を上がって来た男の子を視界の端に捉えながら、目の前の刀に集中する。
重い太刀筋、実力者だ。
こんな人がいるなんて心強い。
後ろからザバっと水面に上がる音がする。
「おい、レイラじゃねえかァ」
ふにゃふにゃした声。
剣士から目を離して振り返る。
「久しぶりね、ルフィ」
*
「ルフィさん、誰なの?その人」
「ニシシ、オレのに」
兄ちゃんの、続きそうなところを、ルフィの唇に指を当てて制止した。
「なんて言えばいいんだっけ?」
ルフィは幼馴染という単語が苦手だ。
<おささなじみだ!>
<幼馴染だよ>
<おさなじじみだ!>
<遠ざかったね>
そんな遠い日のやり取りに目を細めていた時のこと。
「レイラはオレの初恋だ!」
…え。
「ルフィさんが恋!?」
「なんだって?」
「それは初耳だわ」
「こいつ恋の意味わかってんのか?」
「なァこの船に乗れよ!」
「…四皇が二人迎えにくるわよ」
「四皇!?」
凍り付く船内。
鼻の長い男の子、青い髪の女の子が絶望している。
金髪の男の子は目をハートにしたまま別の意味で凍っている。
緑髪の男の子だけが驚きながらも冷静に見える。
楽しそうな海賊団だ。
「次の島まで乗ってけよ!」
「この船はこれからどこに行くの?」
「そうよ、私達近くの島を探してるんです」
「仲間が一人病気で倒れちまったんだ」
「あんた、どっから来たんだよ」
「ドラム王国っていう、」
「どこにあるんだ!?」
「ここから南に2日…いや3日?」
「南!南ってどっちだ!?」
「えっと…誰か時計もってる?」
*
「へぇ、あんた赤髪の船に乗ってたのか」
「それはもうお世話になったわよ」
「オレの父ちゃんも赤髪海賊団のクルーなんだぜ!」
「え、…もしかして、ヤソップの子供!?」
「おおそうだ、分かるのか!?」
「もちろん!銃の撃ち方とか教えてもらったし!」
「なァゾロ、オメェあんまレイラと話さねえのな」
「…ほっとけ」
「ルフィ、そいつは自分の刀止められて悔しがってんだよ」
「なあんだとこのグル眉クソコック!!」
「あァンやんのかこの野郎!!」
「そりゃあレイラ強いからよ、オレ一回も勝てたことねェもん」
「ルフィが…一回も!?」
「子供のころはね。今やったらたぶん負けると思う」
*
案内された女部屋には高熱を出して寝込むオレンジ色の髪の女の子がいた。
頭に手を当てる。
40℃ってとこだろうか。
熱を下げると病原菌に負ける気もするけど、熱による脳へのダメージも心配だから、消耗した体力だけでも回復させないと。
「…だ…れ?」
死神よ、という答えが頭をよぎったけど、この状況では縁起でもないから、
「ルフィの幼馴染よ、またいずれ会いましょう」と話したら彼女は目をつぶった。
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