ひとりで海に出てから
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床の固さが背中に伝わる。
揺さぶられるたび、どうしても逃げてしまう体を、
エースが上から押さえているからだ。
汗が私の鎖骨へ落ちる。
目の前の、苦しそうとも思える顔に、ゆっくり手を伸ばす。
頬に手を添える。ちょっと笑えただろうか。
ふいにエースの動きが止まる。
じっ、と、密度の濃い視線。
「エー…ス?」
上体がゆっくりと倒れ込んでくる。
鼻先の触れる距離まで顔が近づいてから、エースが少し目を逸らした。
何かをためらうような表情。
一度目を閉じて、表情が変わる。
次の瞬間、一気に距離がゼロになった。
唇に、柔らかい感触。
そうか、私。
よく考えたら初めてのキスだ。
*
朝起きたらエースはいなかった。
お互いにまだ子供といえる年なのに、そういうとこだけ大人みたいだ。
今日も行かなきゃ、二人の国へ。
どんな顔をされるか分からないけど。
朝ごはんを食べて、お部屋を掃除して、マキノさんに今日の予定を聞いて、
いつも通りに二人のところへ着く。
ルフィが一人でいた。
「レイラ、来たな!」
「おはようルフィ」
「エースがよ、朝からどっか行って帰って来ねんだ」
「そうなんだ」
「レイラなら探せるだろ?一緒に行こう!」
「…」
どうなんだろう、会いたくないって思ってるかもしれないし。
と、遠くから聞きなれた足音と気配が近づいてくるのが分かった。
大きな何かを引きずる音もする。
「…あれ。帰って来たかも」
「ほんとか!?」
「たぶん。ワニかなんか獲ったみたい」
帰ってきたエースは一瞬目を見開いた後、少し眉間にしわを寄せた。
威嚇されているように見える。
「おいルフィ!これさばいとけ!」
「エース、今日一人で狩りしたのか!?」
エースは答えないまま、また森へ向かって歩き出した。
一瞬振り返り、ちらっと視線を合わせて去っていく。
たぶん、一緒に来いって意味だ。
ルフィがワニに気を取られてるのを背中で確認して、静かに後を追った。
開けた場所へ出る。
その先にエースが前から使っている木のくぼみがある。
近づくとくぼみに引きずり込まれた。
「…!」
「…」
「おはよう、エース」
「…」
「…今日は狩り早かったね?」
エースはそれには答えずににらむようにこっちを見た。
「こんなとこ来てていいのかよ」
「え?」
「…痛かったり!ツラかったりしねぇのかって聞いてんだよ!!」
…なんて内容と合ってない口調。
「だいじょうぶだよ。心配してくれたの?」
「…」
もしかしてこんな早くから狩りに行ったのも、私が来る前に終わらせようとしたから?
「…ありがとう、エース」
揺さぶられるたび、どうしても逃げてしまう体を、
エースが上から押さえているからだ。
汗が私の鎖骨へ落ちる。
目の前の、苦しそうとも思える顔に、ゆっくり手を伸ばす。
頬に手を添える。ちょっと笑えただろうか。
ふいにエースの動きが止まる。
じっ、と、密度の濃い視線。
「エー…ス?」
上体がゆっくりと倒れ込んでくる。
鼻先の触れる距離まで顔が近づいてから、エースが少し目を逸らした。
何かをためらうような表情。
一度目を閉じて、表情が変わる。
次の瞬間、一気に距離がゼロになった。
唇に、柔らかい感触。
そうか、私。
よく考えたら初めてのキスだ。
*
朝起きたらエースはいなかった。
お互いにまだ子供といえる年なのに、そういうとこだけ大人みたいだ。
今日も行かなきゃ、二人の国へ。
どんな顔をされるか分からないけど。
朝ごはんを食べて、お部屋を掃除して、マキノさんに今日の予定を聞いて、
いつも通りに二人のところへ着く。
ルフィが一人でいた。
「レイラ、来たな!」
「おはようルフィ」
「エースがよ、朝からどっか行って帰って来ねんだ」
「そうなんだ」
「レイラなら探せるだろ?一緒に行こう!」
「…」
どうなんだろう、会いたくないって思ってるかもしれないし。
と、遠くから聞きなれた足音と気配が近づいてくるのが分かった。
大きな何かを引きずる音もする。
「…あれ。帰って来たかも」
「ほんとか!?」
「たぶん。ワニかなんか獲ったみたい」
帰ってきたエースは一瞬目を見開いた後、少し眉間にしわを寄せた。
威嚇されているように見える。
「おいルフィ!これさばいとけ!」
「エース、今日一人で狩りしたのか!?」
エースは答えないまま、また森へ向かって歩き出した。
一瞬振り返り、ちらっと視線を合わせて去っていく。
たぶん、一緒に来いって意味だ。
ルフィがワニに気を取られてるのを背中で確認して、静かに後を追った。
開けた場所へ出る。
その先にエースが前から使っている木のくぼみがある。
近づくとくぼみに引きずり込まれた。
「…!」
「…」
「おはよう、エース」
「…」
「…今日は狩り早かったね?」
エースはそれには答えずににらむようにこっちを見た。
「こんなとこ来てていいのかよ」
「え?」
「…痛かったり!ツラかったりしねぇのかって聞いてんだよ!!」
…なんて内容と合ってない口調。
「だいじょうぶだよ。心配してくれたの?」
「…」
もしかしてこんな早くから狩りに行ったのも、私が来る前に終わらせようとしたから?
「…ありがとう、エース」