番外編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あいつのとこじゃなくていいのか?」
「うん、いま鍛錬してるから」
「ここにいて何が楽しいんだか」
「フランキーあったかいもの」
「あァ、排熱か」
「あと宮大工さんを思い出して安心する」
「ミヤダイク?」
「神社っていう建物を直す専属の大工さんよ」
門や本堂の木の細工がすごいのだ、という話をすると、フランキーは目を輝かせた。
「へェ、そりゃあ面白そうだな。どんなデザインなんだ?」
「あ、部屋に神社の写真あるから持ってくるね」
階段を上がる。
船のドアは下から上に開けるタイプが多くて苦戦していたら、
フランキーがキャットスルーを作ってくれた。
女部屋ではロビンが読書している。
「あらミオ、どうしたの?」
「写真を取りに来たの。前いた世界の建築をフランキーに見せようと思って」
「へえ、どんなものか興味あるわ」
「ロビンも見る?」
私物は床に置いた箱に入れてある(ワンタッチで蓋が跳ねあがる便利な箱だ)。
今年の春、タカコおばさんが「ミオちゃんの勤続5年記念だから」と言って本堂をバックに取ってくれた写真を引っ張り出して見せる。
「私が働いていたところよ。神社って言って、神様を祀る場所」
「これは…とても古い建物に見えるけれど?」
「たぶん最初に建ててから数百年は経ってるよ。
火事とかで失われない限り、痛んだところを補修しながらずっと使っていくの」
「興味深いわね」
ロビンが写真をめくる。
「素敵な写真ばかり」
「取ってくれた人の腕がいいから」
数枚めくったロビンの手が止まった。
目が少し見開かれた後、スッと細められる。
「…この犬は?」
「あ、それ…」
「もしかしてこれはゾロ?」
「…よくわかったね」
「なんとなく、そうじゃないかと思って」
ロビンがこっちを向いてにっこり微笑んだ。
写真が入った布袋を体に括りつけてもらって、フランキーの元に戻る。
「おう、戻ったか」
「これがその写真」
「オウ、こりゃアなんだ龍を模してんのか?」
「そうみたい、後ろのは霞らしくて」
*
最近あいつがフランキーの肩や膝の上に載っているのを見かける。
乗りながら話しているときもあれば寝ているときもある。
フランキーといない時はたいていキッチンだ。
コックの足元に纏わりついて食べ物をねだっているか、長椅子で寝ているか。
「チッ」
オレの舌打ちに気づいたロビンが首を傾げた。
「言いたいことがあるなら言えばいいのに」
「あ?」
「きっと彼女もあなたに言わない考えや思いがあるわよ」
「…うるせえ」
おれはもともと夜型だったが、こっちに来てあいつがネコになってからは、日の出のぎりぎりまで起きていることがほとんどになった。
それなのにあいつは来たり来なかったりと一定しない。
今日の不寝番はおれだ。
ふだんは展望室に他の奴が来るが、今日はおれ一人。
夕食後、不寝番の時間に廊下であいつを見つけた。
「おい」
「あ、ゾロ」
「今日、展望室に来い」
「…えっと…うん」
「うん、いま鍛錬してるから」
「ここにいて何が楽しいんだか」
「フランキーあったかいもの」
「あァ、排熱か」
「あと宮大工さんを思い出して安心する」
「ミヤダイク?」
「神社っていう建物を直す専属の大工さんよ」
門や本堂の木の細工がすごいのだ、という話をすると、フランキーは目を輝かせた。
「へェ、そりゃあ面白そうだな。どんなデザインなんだ?」
「あ、部屋に神社の写真あるから持ってくるね」
階段を上がる。
船のドアは下から上に開けるタイプが多くて苦戦していたら、
フランキーがキャットスルーを作ってくれた。
女部屋ではロビンが読書している。
「あらミオ、どうしたの?」
「写真を取りに来たの。前いた世界の建築をフランキーに見せようと思って」
「へえ、どんなものか興味あるわ」
「ロビンも見る?」
私物は床に置いた箱に入れてある(ワンタッチで蓋が跳ねあがる便利な箱だ)。
今年の春、タカコおばさんが「ミオちゃんの勤続5年記念だから」と言って本堂をバックに取ってくれた写真を引っ張り出して見せる。
「私が働いていたところよ。神社って言って、神様を祀る場所」
「これは…とても古い建物に見えるけれど?」
「たぶん最初に建ててから数百年は経ってるよ。
火事とかで失われない限り、痛んだところを補修しながらずっと使っていくの」
「興味深いわね」
ロビンが写真をめくる。
「素敵な写真ばかり」
「取ってくれた人の腕がいいから」
数枚めくったロビンの手が止まった。
目が少し見開かれた後、スッと細められる。
「…この犬は?」
「あ、それ…」
「もしかしてこれはゾロ?」
「…よくわかったね」
「なんとなく、そうじゃないかと思って」
ロビンがこっちを向いてにっこり微笑んだ。
写真が入った布袋を体に括りつけてもらって、フランキーの元に戻る。
「おう、戻ったか」
「これがその写真」
「オウ、こりゃアなんだ龍を模してんのか?」
「そうみたい、後ろのは霞らしくて」
*
最近あいつがフランキーの肩や膝の上に載っているのを見かける。
乗りながら話しているときもあれば寝ているときもある。
フランキーといない時はたいていキッチンだ。
コックの足元に纏わりついて食べ物をねだっているか、長椅子で寝ているか。
「チッ」
オレの舌打ちに気づいたロビンが首を傾げた。
「言いたいことがあるなら言えばいいのに」
「あ?」
「きっと彼女もあなたに言わない考えや思いがあるわよ」
「…うるせえ」
おれはもともと夜型だったが、こっちに来てあいつがネコになってからは、日の出のぎりぎりまで起きていることがほとんどになった。
それなのにあいつは来たり来なかったりと一定しない。
今日の不寝番はおれだ。
ふだんは展望室に他の奴が来るが、今日はおれ一人。
夕食後、不寝番の時間に廊下であいつを見つけた。
「おい」
「あ、ゾロ」
「今日、展望室に来い」
「…えっと…うん」
3/3ページ