結末篇
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ルフィが実家から大量のジャガイモを持って帰ってきて、最近その処理に追われている。
いくら取っても芽が出てきてしまう。
イモだから仕方ないんだけど。
まあでも、ジャガイモの皮むきはいい。
考え事をしながらでもできるし、無心になってもできる。
地震から今日で8日目。
昨日の夜、スペースから部屋に戻ろうとしたら、ローに引き留められた。
「この間の話なんだが」
「…うん」
「1ヶ月経った」
「…ごめん、地震で気ぜわしくて」
「それはわかるが、こっちも待つのは得意じゃない」
「わかった。ごめん、あと1週間だけちょうだい」
…結婚したい職業No.1。
たぶん大学時代の友達に話したら「断る意味が解らない」って言われると思う。
2週間前の金曜日に夕飯を奢ってもらいながら話した時には、家事代行も変わらず続けて欲しいと言われたからタダ働きになることはなさそうだ。
”もし、半年ぐらい付き合ってお互いに大きな問題がなければ、おれはその先も考えるつもりだ”
…この年頃の女の子たちが、喉から手が出るほど欲しい言葉だろうな、と思った。
皮むきしたジャガイモを切っていく。
ちょっと多かったかもしれない。
もしそのまま結婚になったとしても、すごく、イメージもしやすい。
私に与えられる役割は明確だ。
きっとそれは「家を守る」みたいな前時代的な価値観だけど、私の特性とあの人のライフスタイルがきれいに合致して、円滑な家庭運営が出来そう。
例えば開業医になりたいとか言い出して自営業リスクが生まれても、私自身の不労所得があるから万が一でも食べては行ける。
考えれば考えるほど、いい組み合わせだ。
玉ねぎの皮を剥く。
これもルフィが実家から持ってきてくれたもの。
だけど。
それをいま自分のこととして考えられない。
私はまだ災害の途中に居る。
どうしてみんな、もう地震がなかったことみたいに通常営業に戻っているんだろう。
新鮮な玉ねぎだったのか、目を強烈な痛みが襲う。
失敗した、メガネにすればよかった。
「…何泣いてんだ」
弾かれたように顔を上げた。
随分懐かしく感じる、その声。
「…ゾロ」
涙は止まらない。
「何かあったのか」
「ないよ。玉ねぎのせい」
何もなかった。ただずっと、地震後だっただけ。
どさり、とゾロがカバンをソファに置く。
動きに疲労がにじんでいた。
「おかえりなさい、ゾロ。お疲れさま」
「…あァ。ただいま」
ようやく、私の”地震”が終わった。
いくら取っても芽が出てきてしまう。
イモだから仕方ないんだけど。
まあでも、ジャガイモの皮むきはいい。
考え事をしながらでもできるし、無心になってもできる。
地震から今日で8日目。
昨日の夜、スペースから部屋に戻ろうとしたら、ローに引き留められた。
「この間の話なんだが」
「…うん」
「1ヶ月経った」
「…ごめん、地震で気ぜわしくて」
「それはわかるが、こっちも待つのは得意じゃない」
「わかった。ごめん、あと1週間だけちょうだい」
…結婚したい職業No.1。
たぶん大学時代の友達に話したら「断る意味が解らない」って言われると思う。
2週間前の金曜日に夕飯を奢ってもらいながら話した時には、家事代行も変わらず続けて欲しいと言われたからタダ働きになることはなさそうだ。
”もし、半年ぐらい付き合ってお互いに大きな問題がなければ、おれはその先も考えるつもりだ”
…この年頃の女の子たちが、喉から手が出るほど欲しい言葉だろうな、と思った。
皮むきしたジャガイモを切っていく。
ちょっと多かったかもしれない。
もしそのまま結婚になったとしても、すごく、イメージもしやすい。
私に与えられる役割は明確だ。
きっとそれは「家を守る」みたいな前時代的な価値観だけど、私の特性とあの人のライフスタイルがきれいに合致して、円滑な家庭運営が出来そう。
例えば開業医になりたいとか言い出して自営業リスクが生まれても、私自身の不労所得があるから万が一でも食べては行ける。
考えれば考えるほど、いい組み合わせだ。
玉ねぎの皮を剥く。
これもルフィが実家から持ってきてくれたもの。
だけど。
それをいま自分のこととして考えられない。
私はまだ災害の途中に居る。
どうしてみんな、もう地震がなかったことみたいに通常営業に戻っているんだろう。
新鮮な玉ねぎだったのか、目を強烈な痛みが襲う。
失敗した、メガネにすればよかった。
「…何泣いてんだ」
弾かれたように顔を上げた。
随分懐かしく感じる、その声。
「…ゾロ」
涙は止まらない。
「何かあったのか」
「ないよ。玉ねぎのせい」
何もなかった。ただずっと、地震後だっただけ。
どさり、とゾロがカバンをソファに置く。
動きに疲労がにじんでいた。
「おかえりなさい、ゾロ。お疲れさま」
「…あァ。ただいま」
ようやく、私の”地震”が終わった。