結末篇
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病院は自家発電機能があるから医療用電源は問題なかったが、水と飯には事欠いた。患者への食事も備蓄用缶詰を使うような有り様で、コンビニも品薄だった。マナが作った弁当がなければ一日なにも食わずに働くところだった。
帰宅は深夜2時を回っていた。
スペースのボードに「帰宅したらマナへ連絡!」と書いているのを見つけ、携帯を開いたが圏外だったので部屋をノックする。
「あ、ロー…おかえりなさい…」
「テメェ人が働いてたってのにいい度胸じゃねェか」
「…うん、お疲れさまでした」
目が半分しか開いてねェ。
不細工な顔に不意に笑いがこみ上げる。
「ローは、すごいよねぇ…あの時間から今までお仕事してたんだから…」
子供のように目をこすりながら言ったマナが、ようやくいつも通りの顔になっておれを見上げた。
「夕飯とか、食べられた?」
「いや、朝の弁当だけだった」
「そっか。じゃあなんか作るね」
5分前までは熟睡してただろうマナは、そこから5分の間に朝と同じような食事を用意して俺の向かいに座る。
「どうぞ」
「…あァ」
ごはん、味噌汁、漬物、鮭の塩焼き、青菜のお浸し。いつも通りの食事に箸をつけながら、いつも通りではなかった今日を思い返した。
多くの外傷、縫合に告ぐ縫合、たまにクラッシュ症候群。意外に高エネルギー外傷は少なかったように思う。ただ、電気が十分に使えない状況で、ペンライトで照らしながら処置をしていた時間帯はきつかった。
「ねえ」
声に目を上げる。
「帰ってくる途中に、空、見た?」
「…いや」
街灯がない道を車のヘッドライトを頼りに運転していた。空なんて見上げる余裕はない。
「…あとで外に椅子出してコーヒー飲もうか」
*
…言葉が出ない。
プラネタリウムでしか知らない、本当の星空。
それが、目の前にある。
星が降ってきそう、という比喩がぴったりだ。
自分が小さく感じる。
「…すごい星でしょ」
控えめなマナの声が耳に届いた。
「普段は町が明るいから見えないけど、こんなにたくさん星があったんだねえ」
「…あァ」
口に含んだコーヒーは、普段より深い味がした。
帰宅は深夜2時を回っていた。
スペースのボードに「帰宅したらマナへ連絡!」と書いているのを見つけ、携帯を開いたが圏外だったので部屋をノックする。
「あ、ロー…おかえりなさい…」
「テメェ人が働いてたってのにいい度胸じゃねェか」
「…うん、お疲れさまでした」
目が半分しか開いてねェ。
不細工な顔に不意に笑いがこみ上げる。
「ローは、すごいよねぇ…あの時間から今までお仕事してたんだから…」
子供のように目をこすりながら言ったマナが、ようやくいつも通りの顔になっておれを見上げた。
「夕飯とか、食べられた?」
「いや、朝の弁当だけだった」
「そっか。じゃあなんか作るね」
5分前までは熟睡してただろうマナは、そこから5分の間に朝と同じような食事を用意して俺の向かいに座る。
「どうぞ」
「…あァ」
ごはん、味噌汁、漬物、鮭の塩焼き、青菜のお浸し。いつも通りの食事に箸をつけながら、いつも通りではなかった今日を思い返した。
多くの外傷、縫合に告ぐ縫合、たまにクラッシュ症候群。意外に高エネルギー外傷は少なかったように思う。ただ、電気が十分に使えない状況で、ペンライトで照らしながら処置をしていた時間帯はきつかった。
「ねえ」
声に目を上げる。
「帰ってくる途中に、空、見た?」
「…いや」
街灯がない道を車のヘッドライトを頼りに運転していた。空なんて見上げる余裕はない。
「…あとで外に椅子出してコーヒー飲もうか」
*
…言葉が出ない。
プラネタリウムでしか知らない、本当の星空。
それが、目の前にある。
星が降ってきそう、という比喩がぴったりだ。
自分が小さく感じる。
「…すごい星でしょ」
控えめなマナの声が耳に届いた。
「普段は町が明るいから見えないけど、こんなにたくさん星があったんだねえ」
「…あァ」
口に含んだコーヒーは、普段より深い味がした。