結末篇
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不意に目が覚める。
スマホを見ようと手を伸ばした瞬間、下から突き上げるような衝撃を感じた。
弾かれるように布団に潜りこむ。
地震だ。かなり大きい。
揺られながら改めてスマホに手を伸ばす。
緊急地震速報。隣県で地震発生。
すごく長く揺れていたように思うけど、実際は1分に満たない時間だったんだろう。
落ち着いてきたタイミングで慎重に布団から出る。
電気が付かない。停電かな。
ひとまず避難経路の確保、と考えながら玄関のドアを開けた。
同じタイミングでドアを開けたゾロが見えた。
「ゾロ、」
「マナ!」
ジャンプするように目の前に来たゾロが、私の顔を手で挟む。
「ケガねェか」
「大丈夫」
分厚くて体温の高い手。
急に全身の血が流れだした気がした。
「ゾロは?」
「おれも無傷だが、たぶんすぐ出動要請が来る」
そうか。
緊急事態に一番最初に駆け付けるべき人。
「わかった。私にできることある?」
「留守の間、部屋を頼みたい」
「了解。任せて」
「それから、停電すると断水することが多い。風呂に水溜めとけ」
「うん、そうする」
部屋に戻っていくゾロの背中をもどかしく見つめた。
こういう時、私にできることはとても少ない。
「ゾロ!」
私にできること。
「お弁当、持っていく?」
ゾロが呆気にとられたように止まった。
「…あァ、頼む」
「うん!」
部屋に戻ってスマホの光を頼りにお風呂にお湯を溜め始める。
スペースの棚から非常用持ち出し袋を引っ張り出す。
懐中電灯をつけて、冷蔵庫から昨日の夜詰めた自分用のお弁当を取り出す。全体にすごく冷えてるけど、ないよりまし。
使い捨ての容器にごはん、チャーシュー、煮卵、ブロッコリー、プチトマトを移し替える。
コンビニ袋に入れて持ち手を縛り、紙袋に入れた。
時計を見る。ゾロと話してから3分。
スペースに来たときはまだ弱い揺れが続いていた気がしたけど、ようやく完全に収まったみたいだ。
「マナ」
「出来てるよ」
着替えたゾロがスペースに来た。
業務用みたいな大きな懐中電灯を持っていることに感心した。
「じゃあ、頼むな」
「あっ待って」
紙袋を持った右手を両手でつかむ。
目を閉じた。
どうかケガをしませんように。ちゃんと帰って来られますように。
目を開けて薄明りの中でゾロの目を見る。
懐中電灯の光に反射された鳶色の瞳。
「気を付けて、頑張ってね」
「…ありがとう」
手を離す。
大きな背中を見送った。
スマホを見ようと手を伸ばした瞬間、下から突き上げるような衝撃を感じた。
弾かれるように布団に潜りこむ。
地震だ。かなり大きい。
揺られながら改めてスマホに手を伸ばす。
緊急地震速報。隣県で地震発生。
すごく長く揺れていたように思うけど、実際は1分に満たない時間だったんだろう。
落ち着いてきたタイミングで慎重に布団から出る。
電気が付かない。停電かな。
ひとまず避難経路の確保、と考えながら玄関のドアを開けた。
同じタイミングでドアを開けたゾロが見えた。
「ゾロ、」
「マナ!」
ジャンプするように目の前に来たゾロが、私の顔を手で挟む。
「ケガねェか」
「大丈夫」
分厚くて体温の高い手。
急に全身の血が流れだした気がした。
「ゾロは?」
「おれも無傷だが、たぶんすぐ出動要請が来る」
そうか。
緊急事態に一番最初に駆け付けるべき人。
「わかった。私にできることある?」
「留守の間、部屋を頼みたい」
「了解。任せて」
「それから、停電すると断水することが多い。風呂に水溜めとけ」
「うん、そうする」
部屋に戻っていくゾロの背中をもどかしく見つめた。
こういう時、私にできることはとても少ない。
「ゾロ!」
私にできること。
「お弁当、持っていく?」
ゾロが呆気にとられたように止まった。
「…あァ、頼む」
「うん!」
部屋に戻ってスマホの光を頼りにお風呂にお湯を溜め始める。
スペースの棚から非常用持ち出し袋を引っ張り出す。
懐中電灯をつけて、冷蔵庫から昨日の夜詰めた自分用のお弁当を取り出す。全体にすごく冷えてるけど、ないよりまし。
使い捨ての容器にごはん、チャーシュー、煮卵、ブロッコリー、プチトマトを移し替える。
コンビニ袋に入れて持ち手を縛り、紙袋に入れた。
時計を見る。ゾロと話してから3分。
スペースに来たときはまだ弱い揺れが続いていた気がしたけど、ようやく完全に収まったみたいだ。
「マナ」
「出来てるよ」
着替えたゾロがスペースに来た。
業務用みたいな大きな懐中電灯を持っていることに感心した。
「じゃあ、頼むな」
「あっ待って」
紙袋を持った右手を両手でつかむ。
目を閉じた。
どうかケガをしませんように。ちゃんと帰って来られますように。
目を開けて薄明りの中でゾロの目を見る。
懐中電灯の光に反射された鳶色の瞳。
「気を付けて、頑張ってね」
「…ありがとう」
手を離す。
大きな背中を見送った。