進展編
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どうするんだろう、この人。
朝起きて、ローの寝顔を見ながら、途方に暮れた気分になる。
穏やかな表情だった。
私がいなかったら、今この人はどんな表情だったんだろう。
これから夜寝るとき、一人で大丈夫なのかしら。
付き合っているわけでもないのに、そんな心配するのも変な話なのだけれど。
「迷ったらタクシーを捕まえるか、大通って書いてあるほうに行けば大体正解だからな」
「わかった!大丈夫、GPSがあるから」
「3時までにはホテルに居ろよ」
「うん、がんばるね」
私のほうの学会は昨日で閉会していて、ローたち心臓外科学会はまだ今日一日残っている。
一日分暇ができてしまった。
ずっと部屋にいるのももったいなく感じて、初日にローに連れて行ってもらった市電に乗ってみようと思った。
当然のようにローには大反対されたけど、こういう時の譲らなさは負けない。
結局ローが折れて、時間の条件付きで散歩を許可された。
南に向かう市電に乗っているうち、初日の記憶がよみがえる。
今思えば何を話しかけても上の空だった。
それを、疲れが溜まっているせいだと思っていたけど、今ならわかる。
あの時のローは昔の時間の中にいたんだ。
*
「降りるぞ」
「はーい」
ただの住宅街のような場所で市電を降りる。
「こっちだ」
「なにがあるの?」
「いや、なにもない」
「・・・そうなの?」
なんでわざわざそんなとこで降りるんだろう、と思った。
ただ、無言で歩く横顔を見て、話しかけるべきじゃないと思った。
少し歩いて、ふいに立ち止まって、目の前の建物を見上げたローは、見たことがない表情をしていた。
*
今思えばそれでよかったと思う、ローの時間を壊さないで、よかったと。
そのあとローはカフェとか駅ビルの展望台とか、女の子が喜びそうなところに連れて行ってくれて、
私はかなり楽しんだけど、そういえば本人はずっとぼんやりしていた。
ローにとっていいことだったのだろうか、私が着いてきたことは。
もし、シャチさんの言うように、私がいたからそこに行けたのだとしたら。
私がいなくなったり、もしほかの人と付き合ったりしたら、この人はどうなるんだろうか。
今の関係性でそこまで深く関わってしまうのは、すこし、恐怖を感じる。
そんなに深く必要とされてしまったら、たとえ私の気持ちがどうであれ、応えずにはいられなくなりそうだった。
朝起きて、ローの寝顔を見ながら、途方に暮れた気分になる。
穏やかな表情だった。
私がいなかったら、今この人はどんな表情だったんだろう。
これから夜寝るとき、一人で大丈夫なのかしら。
付き合っているわけでもないのに、そんな心配するのも変な話なのだけれど。
「迷ったらタクシーを捕まえるか、大通って書いてあるほうに行けば大体正解だからな」
「わかった!大丈夫、GPSがあるから」
「3時までにはホテルに居ろよ」
「うん、がんばるね」
私のほうの学会は昨日で閉会していて、ローたち心臓外科学会はまだ今日一日残っている。
一日分暇ができてしまった。
ずっと部屋にいるのももったいなく感じて、初日にローに連れて行ってもらった市電に乗ってみようと思った。
当然のようにローには大反対されたけど、こういう時の譲らなさは負けない。
結局ローが折れて、時間の条件付きで散歩を許可された。
南に向かう市電に乗っているうち、初日の記憶がよみがえる。
今思えば何を話しかけても上の空だった。
それを、疲れが溜まっているせいだと思っていたけど、今ならわかる。
あの時のローは昔の時間の中にいたんだ。
*
「降りるぞ」
「はーい」
ただの住宅街のような場所で市電を降りる。
「こっちだ」
「なにがあるの?」
「いや、なにもない」
「・・・そうなの?」
なんでわざわざそんなとこで降りるんだろう、と思った。
ただ、無言で歩く横顔を見て、話しかけるべきじゃないと思った。
少し歩いて、ふいに立ち止まって、目の前の建物を見上げたローは、見たことがない表情をしていた。
*
今思えばそれでよかったと思う、ローの時間を壊さないで、よかったと。
そのあとローはカフェとか駅ビルの展望台とか、女の子が喜びそうなところに連れて行ってくれて、
私はかなり楽しんだけど、そういえば本人はずっとぼんやりしていた。
ローにとっていいことだったのだろうか、私が着いてきたことは。
もし、シャチさんの言うように、私がいたからそこに行けたのだとしたら。
私がいなくなったり、もしほかの人と付き合ったりしたら、この人はどうなるんだろうか。
今の関係性でそこまで深く関わってしまうのは、すこし、恐怖を感じる。
そんなに深く必要とされてしまったら、たとえ私の気持ちがどうであれ、応えずにはいられなくなりそうだった。