起床してからずっと大騒ぎしていたマナが朝食で機嫌を直して、一旦部屋に戻ろうとしたところで大学の同期に鉢合わせた。

「あ、キャプテン！」
「シャチか」
「お前今回論文出したんだろ、聞きに行くからなー」
「下らねえ質問すんじゃねえぞ」
「おー任せとけ、重箱の隅つついてやるよ」

シャチがマナに目を留める。

「…なんだ、女連れで来たのかよ」
「違えよ。おいマナ、自己紹介」

驚愕と非難の混じった表情を一瞬浮かべた後、諦めた表情になってシャチに向き直る。
こいつは本当に表情がめまぐるしい。

「えっと…初めましてマナと申します。」
「あ、ご丁寧にどうも」
「…トラファルガー先生とは、うーん、ご近所さんというか…あ、でも広い意味では職場の同僚でもあります」
「女医さん？」
「いえ、胚培養士をしています」
「婦人科のほうのですか」
「はい、今日は私も学会で」
「こいつ成功率９０％のパートだからな」
「９０％！？で、パート！？」
「まあ、はい」

シャチが同僚のところに戻り際、夜の予定を聞いてきた。

「終わったら飲もうぜ。よかったらマナさんも一緒に」
「ああ、いいぜ」
「え、私お邪魔じゃないですか？」
「もちろん、女の子いたほうが華やぐんで」
「おっさん達連れてくんじゃねえぞ」
「わかってるって、上手く巻くからな！」

「終わったらラウンジで待ってろ」
「…ほんとにお邪魔じゃないかな」
「あいつは本心で言ってるぞ」
「…じゃあ、せっかくなので」