日常編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
彼と一緒に住んで3年になる。
途中から、自分だけの空間を渇望するようになったのは、自分のかわいげのなさだと思う。
それで、このワンルームを借りた。
初めは、安さと交通の便と、職場から彼の家の中間にあるという理由で決めたのだけど。
スペースという、住人が集う場所に、最初は苦手意識を持ったものの、いざ入ってみると思いのほか居心地がよくて。
その居心地を作っているのが、住人のうちの一人だと、何度か通って気が付いた。
マナと呼ばれる彼女は、朝も夜もスペースにいる。
いつも何か料理をしているが、決して忙しくは見えない。
ゆったりと作業そのものを楽しみ、慈しむような表情で手を動かして、住人と話し、時にソファでテレビを見ている。
ある日、講義も休みで予定もない午前中、自室からスペースへ向かうと、徐々に強くなる甘い香り。
「あ、おはようロビン!」
「おはようマナ。何の香り?」
「クッキー!ちょうど焼けたところなの。食べてみて?」
彼女が皿に載せて出してきたのは、レモンピールが中央に乗ったクッキー。
「これ、意外とコーヒーに合うよ」
「あら、じゃあ一緒に飲もうかしら?」
「うん!!」
コーヒーを落として、お互いのカップに注ぐ。
クッキーを口に入れると、ふわりと立ち上るレモンの香り、あとからほどけるバターの香り。
「甘すぎなくていいわね」
「コーヒーにはこれくらいがちょうどいいよね」
視線を合わせて微笑みあって、またクッキーをつまむ。
記憶にはあまりない、「家庭」や「愛情」は、もしかしてこういう感じなのかしら、とぼんやり思う。
「ロビンの淹れたコーヒー、おいしい」
「そう?・・・お菓子がおいしいからかしらね」
「ふふ、ありがとう」
クッキーを口に入れる彼女を横目に見ながら、小さな声で。
「-ここに決めてよかったわ」
「え?」
「これ、本当においしいわって言ったの」
途中から、自分だけの空間を渇望するようになったのは、自分のかわいげのなさだと思う。
それで、このワンルームを借りた。
初めは、安さと交通の便と、職場から彼の家の中間にあるという理由で決めたのだけど。
スペースという、住人が集う場所に、最初は苦手意識を持ったものの、いざ入ってみると思いのほか居心地がよくて。
その居心地を作っているのが、住人のうちの一人だと、何度か通って気が付いた。
マナと呼ばれる彼女は、朝も夜もスペースにいる。
いつも何か料理をしているが、決して忙しくは見えない。
ゆったりと作業そのものを楽しみ、慈しむような表情で手を動かして、住人と話し、時にソファでテレビを見ている。
ある日、講義も休みで予定もない午前中、自室からスペースへ向かうと、徐々に強くなる甘い香り。
「あ、おはようロビン!」
「おはようマナ。何の香り?」
「クッキー!ちょうど焼けたところなの。食べてみて?」
彼女が皿に載せて出してきたのは、レモンピールが中央に乗ったクッキー。
「これ、意外とコーヒーに合うよ」
「あら、じゃあ一緒に飲もうかしら?」
「うん!!」
コーヒーを落として、お互いのカップに注ぐ。
クッキーを口に入れると、ふわりと立ち上るレモンの香り、あとからほどけるバターの香り。
「甘すぎなくていいわね」
「コーヒーにはこれくらいがちょうどいいよね」
視線を合わせて微笑みあって、またクッキーをつまむ。
記憶にはあまりない、「家庭」や「愛情」は、もしかしてこういう感じなのかしら、とぼんやり思う。
「ロビンの淹れたコーヒー、おいしい」
「そう?・・・お菓子がおいしいからかしらね」
「ふふ、ありがとう」
クッキーを口に入れる彼女を横目に見ながら、小さな声で。
「-ここに決めてよかったわ」
「え?」
「これ、本当においしいわって言ったの」