閑話休題編
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帰りの駅で少しマナから目を離した隙に、男に絡まれていた。
「…、俺とお茶しない?」
「いえ、もうすぐ来るので」
「こんなきれいなお姉さん一人でいたら危ないよ、俺と一緒に、」
聞き終わる前に後ろから引っ張って抱き留める。
「こいつになんか用か」
不機嫌さをあえて隠さず言葉にすれば、男は一目散に逃げて行った。
…もしこんなことが日常なんだとしたら、
夜一人で出かけるのも危ねえんじゃねえのか。
マナが予約していた店は日本酒の種類が多い穴場の居酒屋だった。
よくこんなとこ知ってるな、と言ったら、赤髪に聞いたんだという。
「ったくお前は隙がありすぎんだよ」
「普段はあんなことないんだけどなぁ」
「あァ?」
「…ゾロといると隙ができるのかもしれない」
どういう意味だ、と聞こうとしたが、先手を打つように出た笑顔に息を呑む。
白いワンピース、普段より濃い化粧。
最近こいつは髪を巻くようになった。
女がめかし込むのは無意味だと思っていたが、
こういう化け方はかなり効果的な気がする。
よく知っているはずが、全く違う女と話してるような。
誤魔化すように酒を呷って、
横目で盗み見ると同じように酒に口を付けている瞬間だった。
唇に載った赤。
こくりと動く喉元。
見れば見るほど、衝動が誤魔化せなくなっていく。
「なァ」
「ん?」
「トラ男に弁当作ってんだろ」
「うん」
「…」
「…あれは、前にお世話になったお返し、みたいなもので。
家事代行の仕事してるって言ったら、直接雇用を提案されて、私がそれに乗ったの」
「ってことは、金貰ってんのか」
「うん。会社通すより安く済むからね」
「やってんのって、弁当作りだけか?」
「あと、平日の昼に掃除とか洗濯とか」
「…部屋に入ってんのか」
不意に首をもたげる不快感を押し殺しながら言葉を重ねる。
「…ローがいない時にね」
マナも察したらしく、少し慎重に言葉を選んでいた。
その様子が一層の不快感を煽る。
「…ま、オレには関係のねェ話だ」
「…うーん」
首をかしげながら、マナが言葉を続ける。
「やっぱり、周りから見ると、あんまり良くないことに見える?」
「…さァな」
はぐらかそうとしても、永遠に逸らされないような強さで目が合い続ける。
溜息を一つ吐き出した。
「まァ、誤解する奴はいるんじゃねえのか。部屋に入るんだろ」
「うん、そうだよね」
「それを辞めさせられるのは彼氏ぐらいだろうが、いねえもんな」
「いないね」
「なら、自分でやりたいと思ったらやればいいんじゃねえのか」
「…うん」
「ただ、ひとつ覚えとけよ」
「なに?」
「男は自分の部屋に来る女は簡単にモノにできると思ってる。
あぶねえと思ったら、スペースで気まずいとか考えずにすぐ逃げろ」
マナがハッとした顔になって、そのあとに少し笑顔を浮かべて、小さく頷いた。
「心配してくれてありがと、ゾロ」
「…、俺とお茶しない?」
「いえ、もうすぐ来るので」
「こんなきれいなお姉さん一人でいたら危ないよ、俺と一緒に、」
聞き終わる前に後ろから引っ張って抱き留める。
「こいつになんか用か」
不機嫌さをあえて隠さず言葉にすれば、男は一目散に逃げて行った。
…もしこんなことが日常なんだとしたら、
夜一人で出かけるのも危ねえんじゃねえのか。
マナが予約していた店は日本酒の種類が多い穴場の居酒屋だった。
よくこんなとこ知ってるな、と言ったら、赤髪に聞いたんだという。
「ったくお前は隙がありすぎんだよ」
「普段はあんなことないんだけどなぁ」
「あァ?」
「…ゾロといると隙ができるのかもしれない」
どういう意味だ、と聞こうとしたが、先手を打つように出た笑顔に息を呑む。
白いワンピース、普段より濃い化粧。
最近こいつは髪を巻くようになった。
女がめかし込むのは無意味だと思っていたが、
こういう化け方はかなり効果的な気がする。
よく知っているはずが、全く違う女と話してるような。
誤魔化すように酒を呷って、
横目で盗み見ると同じように酒に口を付けている瞬間だった。
唇に載った赤。
こくりと動く喉元。
見れば見るほど、衝動が誤魔化せなくなっていく。
「なァ」
「ん?」
「トラ男に弁当作ってんだろ」
「うん」
「…」
「…あれは、前にお世話になったお返し、みたいなもので。
家事代行の仕事してるって言ったら、直接雇用を提案されて、私がそれに乗ったの」
「ってことは、金貰ってんのか」
「うん。会社通すより安く済むからね」
「やってんのって、弁当作りだけか?」
「あと、平日の昼に掃除とか洗濯とか」
「…部屋に入ってんのか」
不意に首をもたげる不快感を押し殺しながら言葉を重ねる。
「…ローがいない時にね」
マナも察したらしく、少し慎重に言葉を選んでいた。
その様子が一層の不快感を煽る。
「…ま、オレには関係のねェ話だ」
「…うーん」
首をかしげながら、マナが言葉を続ける。
「やっぱり、周りから見ると、あんまり良くないことに見える?」
「…さァな」
はぐらかそうとしても、永遠に逸らされないような強さで目が合い続ける。
溜息を一つ吐き出した。
「まァ、誤解する奴はいるんじゃねえのか。部屋に入るんだろ」
「うん、そうだよね」
「それを辞めさせられるのは彼氏ぐらいだろうが、いねえもんな」
「いないね」
「なら、自分でやりたいと思ったらやればいいんじゃねえのか」
「…うん」
「ただ、ひとつ覚えとけよ」
「なに?」
「男は自分の部屋に来る女は簡単にモノにできると思ってる。
あぶねえと思ったら、スペースで気まずいとか考えずにすぐ逃げろ」
マナがハッとした顔になって、そのあとに少し笑顔を浮かべて、小さく頷いた。
「心配してくれてありがと、ゾロ」