恋は戦争編
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仕事を終えて、買い物をして帰って来たら、玄関の前でいつかの女の子にばったり出くわした。
確か、遊園地で会った、サボを好きな女の子。
「…もしかして、遊園地の時の」
「…こんにちは」
あの時と同じように敵意のこもった視線を飛ばしてくる。
恋する女の子だなあ、かわいいなあ、とふっと笑いかけて。
「よかったらどうぞ?」
スペースへ案内した。
きっと、サボに連絡しても返信がないとかで心配になって押しかけた、という感じだろう。
サボが寝るときに機内モードにするってことを知らないんだろうなあ。
「ここ、本当はこのマンションの住人しか使えないスペースなの」
「…」
「サボ、たぶんまだ寝てると思うから」
「…そうですか」
「ね、コーヒーと紅茶ならどっちのほうがよく飲む?」
完全に訝しんでいる目でこちらを見ながら。
「コーヒー、ですかね」
「そっか」
コーヒーフィルターをセットする。
「…私別に、」
「サボ、まだしばらく起きてこないと思うから、良かったらお茶に付き合って?」
自分がこんなに“彼氏を訪ねてきた若い女の子に余裕綽々な年上の彼女”みたいな振る舞いができるとは思ってなかった。
「あ、カプチーノに出来るけど、どうする?」
「…じゃあ、お願いします」
最近買った100均のカプチーノミキサーの出番。
彼女の分と自分の分をマグカップに注いで、テーブルに出す。
「どうぞ」
「…どうも」
ゆっくりと口を付ける表情は、すごく幼く見える。
でも、その時期特有の意志の強さ、融通の利かなさのようなものも色濃い。
「私はマナって言います。あなたは?」
「…コアラです」
「…コアラさん、よろしくね」
本当はコアラちゃん、って呼びたくなるような印象だったけれど、嫌だろうからやめておいた。