「なァ」
「うん？」
「前に飯連れてった時、お返しするって言ってたよな」
「…言ったね」

なんとなく嫌な予感が胸をよぎる。

「ならこれから毎日弁当作れ」
「え、毎日？」
「こないだみたいなのでいい、金は払う」
「それじゃあお返しにならないから、…一カ月無償でやるわ」

ローにお弁当を作るのなら、自分ひとりに対して作るのよりもずっと頭を使う。
朝ごはんや夜ご飯と被らないようにと考えると、かなりの計画性が必要だ。

「ロー、お昼ご飯っていつも何分くらいで食べるの？」
「15分取れたらいいほうだな、短ければ5分だ」
「…毎日お疲れ様です。」

次の週からお弁当作りが始まった。

持って帰ってくる手間とか、食べる時間とかを考えると、
おかずだけお弁当箱に入れて、おにぎりは別でラップにくるんでおいたほうがいい。
最悪おにぎりだけでも食べられるように。

おかずも、炒め物みたいにばらばらなものより、肉巻きみたいにひとくちで食べられる物のほうがいい。
私自身のお弁当は、一口で食べられるおかずはあまりないから、
夕飯のアレンジとか常備菜を駆使して乗り切ろう。

洗ってる時間はないだろうから、同じサイズの弁当箱を二つ用意して、
帰ってきた時にスペースに置いておいてもらうことにした。