過去編
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私の部屋は、スペースから一番近い場所にある。
サボに食材運びを手伝ってもらったことはあるけど、内側に招き入れるのは初めてのはずだ。
椅子に掛けて、コーヒーを飲んで。
「で、なにから話せばいい?」
「マナから見て、赤髪は何なんだ?」
少し考えて口を開く。
「昔、家族だった人。今は、父が遺した物件を管理してくれてる人。」
「家族だった?」
「あ、私、戸籍はクリーンだよ」
目元だけで笑って話を続ける。
「私が生まれたと同時に母は他界していて、父以外に血縁者がいなかったのね。
父は高齢だったから、私が一人になることを危惧して、養子縁組をした。それが、シャンクス。
物心つく前だったから、私は本当のお兄ちゃんだと思ってた。」
そのまま大きくなって、そして。
「父が亡くなった時に初めて、私とシャンクスの血が繋がっていないことを知った。
しかもそのままシャンクスは、父との養子縁組を解消しようとしたのね。
でもそうなると、私は未成年のまま一人になるから、頼み込んで考え直してもらった。
で、私が成人した6年前に、シャンクスは父の戸籍を出て行った」
それは、あの人に、家族じゃないと言われたのと同じこと。
「ただ、もう相続は済んでて、実家はシャンクスのものなのね。
だから、よく戻って来いって言われるけど、なんか、複雑で」
確かに、自分の実家なのだけれど。
待っている人も、兄だと思ってる人なのだけれど。
相手は、自分のことを、家族だとは思っていないのなら。
「それで盆も正月も帰省しないんだな」
「それはサボも同じでしょう」
目線を合わせてふふ、と笑いあって。
「だから、私にとって何なのかって考えても、よくわからないんだよね」
あの人は。
「小さい頃からずっと見守ってくれてたし、兄だと思ってるけど、相手がそう思ってないなら、」
私はあの人にとってのなんなんだろう。
養子縁組を解消するって言いだしたあの日から、ずっと心に刺さった疑問。
まだ、恐くて、聞けない。
「そんな事情だから、どんな関係かって聞かれても一言では答えられないし、
私がこの物件の大家だってこと、できるだけ知られたくないから、みんなには言わないでね」
「わかった」
サボの目はいつもまっすぐだ。
「話してくれて、嬉しい」
「サボなら、秘密にしてくれるかなと思って」
私は、サボのことも、お兄ちゃんみたいに思ってるよ。
年下なのに不思議だけど。
そう、言おうとしたのに。
首に添えられる手が、
近づいてくるまっすぐな目が、
言葉を遮った。
サボに食材運びを手伝ってもらったことはあるけど、内側に招き入れるのは初めてのはずだ。
椅子に掛けて、コーヒーを飲んで。
「で、なにから話せばいい?」
「マナから見て、赤髪は何なんだ?」
少し考えて口を開く。
「昔、家族だった人。今は、父が遺した物件を管理してくれてる人。」
「家族だった?」
「あ、私、戸籍はクリーンだよ」
目元だけで笑って話を続ける。
「私が生まれたと同時に母は他界していて、父以外に血縁者がいなかったのね。
父は高齢だったから、私が一人になることを危惧して、養子縁組をした。それが、シャンクス。
物心つく前だったから、私は本当のお兄ちゃんだと思ってた。」
そのまま大きくなって、そして。
「父が亡くなった時に初めて、私とシャンクスの血が繋がっていないことを知った。
しかもそのままシャンクスは、父との養子縁組を解消しようとしたのね。
でもそうなると、私は未成年のまま一人になるから、頼み込んで考え直してもらった。
で、私が成人した6年前に、シャンクスは父の戸籍を出て行った」
それは、あの人に、家族じゃないと言われたのと同じこと。
「ただ、もう相続は済んでて、実家はシャンクスのものなのね。
だから、よく戻って来いって言われるけど、なんか、複雑で」
確かに、自分の実家なのだけれど。
待っている人も、兄だと思ってる人なのだけれど。
相手は、自分のことを、家族だとは思っていないのなら。
「それで盆も正月も帰省しないんだな」
「それはサボも同じでしょう」
目線を合わせてふふ、と笑いあって。
「だから、私にとって何なのかって考えても、よくわからないんだよね」
あの人は。
「小さい頃からずっと見守ってくれてたし、兄だと思ってるけど、相手がそう思ってないなら、」
私はあの人にとってのなんなんだろう。
養子縁組を解消するって言いだしたあの日から、ずっと心に刺さった疑問。
まだ、恐くて、聞けない。
「そんな事情だから、どんな関係かって聞かれても一言では答えられないし、
私がこの物件の大家だってこと、できるだけ知られたくないから、みんなには言わないでね」
「わかった」
サボの目はいつもまっすぐだ。
「話してくれて、嬉しい」
「サボなら、秘密にしてくれるかなと思って」
私は、サボのことも、お兄ちゃんみたいに思ってるよ。
年下なのに不思議だけど。
そう、言おうとしたのに。
首に添えられる手が、
近づいてくるまっすぐな目が、
言葉を遮った。