予感編
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土曜の夕方、スペースにゾロが顔を出す。
「今日、夕飯頼めるか」
「いいよー今日は何のお酒?」
「いや、酒ちょうど切らしててよ」
「あーじゃあ一緒に買いに行く?私銘柄とかよくわかんないし」
そのまま近くのスーパーまで買い出しに向かう。
「おっひやおろしあるじゃねえか」
「ひやおろし?」
「期間限定ってとこだ」
「どんな味?」
「これは辛口だな」
「じゃあつまみはは甘めにする」
特売の牛肉を発見してしぐれ煮を計画する。
これぞ和食、という主菜は、確かゾロに出したことはないはず。
副菜はシンプルに長いもをごま油で焼いて塩を振ろう。
もう一品、葉野菜のおかずあったほうがいいかな、と考えながら野菜を見回っていると。
「おい、勝手に居なくなんじゃねェ」
頭に置かれる手。
あれ以来、ゾロは事あるごとに頭を触ってくるようになった。
それも他の住人がいない時だけ。
そしてまさにそのタイミングで、
「あれ!?マナさん?」
研究室の同僚の女性と鉢合わせてしまった。
「ああ!こんばんはー」
「あれ?彼氏さんですか?」
「や、えっと、」
「こいつがいつも世話になってます」
「いえこちらこそ、マナさんの仕事の正確性には助けられてます!」
そんなにこやかな顔が出来たのかと驚くくらいの笑顔で応対しているゾロ。
少し目を疑う。
と、同僚が私の手を引いてゾロから離れたところに誘導する。
「素敵な彼氏さんじゃないですかー!」
「いや、それが」
「マナさんってプライベート明かさない感じでしたけど彼氏さんいたんですね!
でも私たちのお仕事って指輪とか出来ないですもんね!あ、ほかの人には内緒にするので安心してくださいね!!」
一方的にまくしたてると、ゾロに会釈して去っていく彼女。
呼応して近づいてくるゾロ。
「すげえヤツだったな」
「うん、っていうかそれよりゾロ!」
「あァさっきの話か?」
「誤解されてたでしょ絶対!」
「いいじゃねえか別に」
ニヤリと悪い笑い。
さっきの笑顔とはまるで別人。
…私の反応で遊んでるな。
撤回。おかずは増やさないで自分用のフルーツを買わせる。
会計は全部ゾロに任せた。
当たり前のように荷物はすべて持って、少し前を歩くゾロ。
着こんだ冬の服の上からでも、筋肉質なことがわかる背中のシルエット。
…彼氏さんではないけど。
たぶん、頼りになる人だ。間違いなく。
夜道の用心棒の意味合い以上に、
例えば、肉親を亡くしたりした時に、たぶんこの人がいれば、何かを誤ることはない気がする。
でも、この人と向き合うことは、自分にごまかしや曖昧さが許されないことだとも同時に感じる。
私に、出来るだろうか。
「ゾロ、曲がるのは次の角だよ」
「…ここからでも行けるだろ」
「遠回りになるからやめて」
なんか、逆だな。遠回りしてるのは私のほうじゃないか。
こぼれた苦笑いは白いもやになって消えた。
「今日、夕飯頼めるか」
「いいよー今日は何のお酒?」
「いや、酒ちょうど切らしててよ」
「あーじゃあ一緒に買いに行く?私銘柄とかよくわかんないし」
そのまま近くのスーパーまで買い出しに向かう。
「おっひやおろしあるじゃねえか」
「ひやおろし?」
「期間限定ってとこだ」
「どんな味?」
「これは辛口だな」
「じゃあつまみはは甘めにする」
特売の牛肉を発見してしぐれ煮を計画する。
これぞ和食、という主菜は、確かゾロに出したことはないはず。
副菜はシンプルに長いもをごま油で焼いて塩を振ろう。
もう一品、葉野菜のおかずあったほうがいいかな、と考えながら野菜を見回っていると。
「おい、勝手に居なくなんじゃねェ」
頭に置かれる手。
あれ以来、ゾロは事あるごとに頭を触ってくるようになった。
それも他の住人がいない時だけ。
そしてまさにそのタイミングで、
「あれ!?マナさん?」
研究室の同僚の女性と鉢合わせてしまった。
「ああ!こんばんはー」
「あれ?彼氏さんですか?」
「や、えっと、」
「こいつがいつも世話になってます」
「いえこちらこそ、マナさんの仕事の正確性には助けられてます!」
そんなにこやかな顔が出来たのかと驚くくらいの笑顔で応対しているゾロ。
少し目を疑う。
と、同僚が私の手を引いてゾロから離れたところに誘導する。
「素敵な彼氏さんじゃないですかー!」
「いや、それが」
「マナさんってプライベート明かさない感じでしたけど彼氏さんいたんですね!
でも私たちのお仕事って指輪とか出来ないですもんね!あ、ほかの人には内緒にするので安心してくださいね!!」
一方的にまくしたてると、ゾロに会釈して去っていく彼女。
呼応して近づいてくるゾロ。
「すげえヤツだったな」
「うん、っていうかそれよりゾロ!」
「あァさっきの話か?」
「誤解されてたでしょ絶対!」
「いいじゃねえか別に」
ニヤリと悪い笑い。
さっきの笑顔とはまるで別人。
…私の反応で遊んでるな。
撤回。おかずは増やさないで自分用のフルーツを買わせる。
会計は全部ゾロに任せた。
当たり前のように荷物はすべて持って、少し前を歩くゾロ。
着こんだ冬の服の上からでも、筋肉質なことがわかる背中のシルエット。
…彼氏さんではないけど。
たぶん、頼りになる人だ。間違いなく。
夜道の用心棒の意味合い以上に、
例えば、肉親を亡くしたりした時に、たぶんこの人がいれば、何かを誤ることはない気がする。
でも、この人と向き合うことは、自分にごまかしや曖昧さが許されないことだとも同時に感じる。
私に、出来るだろうか。
「ゾロ、曲がるのは次の角だよ」
「…ここからでも行けるだろ」
「遠回りになるからやめて」
なんか、逆だな。遠回りしてるのは私のほうじゃないか。
こぼれた苦笑いは白いもやになって消えた。