世界への門
プシューッ、と気の抜けたような音と共にバスが止まる。
中からゾロゾロ降りてきたのは今日本中を騒がせいている日本代表、イナズマジャパンの御一行。
「…あ、あれ?イナズマジャパンって発表当時、いない野坂除いて20人じゃなかったっけ…?」
一番乗りでバスを降りた稲森明日人が降りてくるメンバーをカウントしながらポツリ呟いた。
「……本当だ。誰がいないんだろう」
不審げに眉を顰めた氷浦 貴利名。
記憶力に自信があるのか、氷浦はメンバー発表の際に呼ばれていた名前を1人ずつ遡っていく。
「えっと……FWは順に豪炎寺、灰崎、吉良、剛陣……水月。ん?」
水月……?稲森、氷浦、そして近くにいた万作 雄一郎は揃って顔を合わせる。
たしかにFWにそんな選手の名前が……いたような気もする。
別に特別珍しくも聞き馴染みのある名前でも無いが、彼がいないとピンとくるものがあった。
「水月…大河の事だな」
唐突に会話に加わってきた鬼道 有人に伊那国メンバーは驚いて顔を上げる。
驚いてる3人を他所にゴーグルの奥で紅目を光らせながら「その彼の事だが」と続ける鬼道。
「俺もバスに乗った後もちょくちょく確かめてたんだがいるような気配がない。
まだ到着していないか、ボイコットか…」
「それに“水月”なんて名字、FFにはいなかったからな。見慣れない選手は1人しかいなかった」
と辺りを見回しながら鬼道は付け加えた。
「まさかのド、ドタキャンですか……!?日本代表を!?」
近くにいた坂野上 昇が唐突に素っ頓狂な声を上げる。
……ドタキャンよりはすっぽかしたと言った方がいいのであろう。
「……ああ、もしかして監督の手都合でメインスクリーンの試合中映像が流れなかった奴の話か」
灰崎 凌兵が「そいつがどうかしたのかよ」、とつまんなげに言い放ちながら会話に混ざって来た。
彼はとっては心惹かれる話題でもないらしい。
(水月大河……事前データ収集の時に唯一経歴が出てこなかった選手だ。ま、でもなんか素行不良感あるしいいか)
少し会話の輪から外れて静観していた一星 充は、メンバーは“水月”を楽観視していた。
やがて明日人に話しかけられ、猫の皮を被る一星を遥かに超える厄介な人物だと言うことをこの時の彼は、イナズマジャパンはまだ知らない。
中からゾロゾロ降りてきたのは今日本中を騒がせいている日本代表、イナズマジャパンの御一行。
「…あ、あれ?イナズマジャパンって発表当時、いない野坂除いて20人じゃなかったっけ…?」
一番乗りでバスを降りた稲森明日人が降りてくるメンバーをカウントしながらポツリ呟いた。
「……本当だ。誰がいないんだろう」
不審げに眉を顰めた氷浦 貴利名。
記憶力に自信があるのか、氷浦はメンバー発表の際に呼ばれていた名前を1人ずつ遡っていく。
「えっと……FWは順に豪炎寺、灰崎、吉良、剛陣……水月。ん?」
水月……?稲森、氷浦、そして近くにいた万作 雄一郎は揃って顔を合わせる。
たしかにFWにそんな選手の名前が……いたような気もする。
別に特別珍しくも聞き馴染みのある名前でも無いが、彼がいないとピンとくるものがあった。
「水月…大河の事だな」
唐突に会話に加わってきた鬼道 有人に伊那国メンバーは驚いて顔を上げる。
驚いてる3人を他所にゴーグルの奥で紅目を光らせながら「その彼の事だが」と続ける鬼道。
「俺もバスに乗った後もちょくちょく確かめてたんだがいるような気配がない。
まだ到着していないか、ボイコットか…」
「それに“水月”なんて名字、FFにはいなかったからな。見慣れない選手は1人しかいなかった」
と辺りを見回しながら鬼道は付け加えた。
「まさかのド、ドタキャンですか……!?日本代表を!?」
近くにいた坂野上 昇が唐突に素っ頓狂な声を上げる。
……ドタキャンよりはすっぽかしたと言った方がいいのであろう。
「……ああ、もしかして監督の手都合でメインスクリーンの試合中映像が流れなかった奴の話か」
灰崎 凌兵が「そいつがどうかしたのかよ」、とつまんなげに言い放ちながら会話に混ざって来た。
彼はとっては心惹かれる話題でもないらしい。
(水月大河……事前データ収集の時に唯一経歴が出てこなかった選手だ。ま、でもなんか素行不良感あるしいいか)
少し会話の輪から外れて静観していた一星 充は、メンバーは“水月”を楽観視していた。
やがて明日人に話しかけられ、猫の皮を被る一星を遥かに超える厄介な人物だと言うことをこの時の彼は、イナズマジャパンはまだ知らない。