それが、はじまり。
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「ねぇねぇ、ウチ、ダブルデートがしたいんだ!」
きっかけは、エマのそんな一言だった。
とある日曜日の午後。佐野エマ、龍宮寺堅、佐野万次郎の三人は、渋谷の駅前スクランブル交差点で信号が変わるのを待っていた。
「……はぁ?」
まず呆 れた声を上げたのは ”ドラケン“ こと龍宮寺堅で、 ”マイキー“こと佐野万次郎は完全に無視でエマを振り向きもしなかった。
信号が変わり、堅と万次郎は何事もなかったように歩き出そうとする。エマは二人の手を掴 んで言った。
「待って待って。ウチだってさ、たまには青春ぽいことしたいんだよ。高校生とかになったらさ、恥 ずいじゃん。今のうちにさ、しようよ、ダブルデート!」
普段を思えば中学生の今でも十分恥ずかしいであろうことはエマも理解していたが、こういうことは勢いありきだ。
エマに引っ張られて、堅と万次郎は足を止める。
「ダブルデートって、誰が誰とだよ。タケミっちでも呼ぶか?」
またしても答えたのは堅で、万次郎はただ『ごはん……』とつぶやいただけだった。
「違うって! ドラケンとウチと、マイキーで!」
堅は首を傾 げる。
「んなこと言ってもマイキー彼女 いねぇだろ。ダブルになんねーぞ」
「だーかーらー、女の子はその辺で引っかけようよ」
エマのとんでも発言に堅はぽかんとする。
「いやいや、ナンパとかダサすぎだろ。どうしてもダブルデートとやらがしたいんなら、エマの友達でも連れてくればいいだろ」
「ダメ! ウチの友達連れて来たら、ただの仲良し会になっちゃうじゃん」
「なんだ、仲良し会って」
「とにかく、ウチの知り合いとかはダメなの。二人ともご飯まだでしょ。公園通りで女の子つかまえて、ご飯にしよ」
エマは信号がまた青になったのを見て、堅の背中をぐいぐい押す。
「ほらぁ、ドラケンはウチと女の子探し! マイキーはここでちょっと待ってて!」
ここ、と地面を指 差 して、エマはマイキーを振り返りつつドラケンの背を押す。
わけも分からず待ってて、と言われた万次郎は、遠ざかる二人を見ながら、再び『ごはん……』とつぶやいた。
* * *
〈続く〉
きっかけは、エマのそんな一言だった。
とある日曜日の午後。佐野エマ、龍宮寺堅、佐野万次郎の三人は、渋谷の駅前スクランブル交差点で信号が変わるのを待っていた。
「……はぁ?」
まず
信号が変わり、堅と万次郎は何事もなかったように歩き出そうとする。エマは二人の手を
「待って待って。ウチだってさ、たまには青春ぽいことしたいんだよ。高校生とかになったらさ、
普段を思えば中学生の今でも十分恥ずかしいであろうことはエマも理解していたが、こういうことは勢いありきだ。
エマに引っ張られて、堅と万次郎は足を止める。
「ダブルデートって、誰が誰とだよ。タケミっちでも呼ぶか?」
またしても答えたのは堅で、万次郎はただ『ごはん……』とつぶやいただけだった。
「違うって! ドラケンとウチと、マイキーで!」
堅は首を
「んなこと言ってもマイキー
「だーかーらー、女の子はその辺で引っかけようよ」
エマのとんでも発言に堅はぽかんとする。
「いやいや、ナンパとかダサすぎだろ。どうしてもダブルデートとやらがしたいんなら、エマの友達でも連れてくればいいだろ」
「ダメ! ウチの友達連れて来たら、ただの仲良し会になっちゃうじゃん」
「なんだ、仲良し会って」
「とにかく、ウチの知り合いとかはダメなの。二人ともご飯まだでしょ。公園通りで女の子つかまえて、ご飯にしよ」
エマは信号がまた青になったのを見て、堅の背中をぐいぐい押す。
「ほらぁ、ドラケンはウチと女の子探し! マイキーはここでちょっと待ってて!」
ここ、と地面を
わけも分からず待ってて、と言われた万次郎は、遠ざかる二人を見ながら、再び『ごはん……』とつぶやいた。
* * *
〈続く〉
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