いつか朝焼けに会えるまで

その日は何かの予感があった。
ひかり輝く何かの力をふと感じるのだ。
「!」
強い力をふと感じたと思ったら消えた。
同胞なのだろうか。随分と強い力だった。
それと同時にブルーが船外にテレポートしたのを感じた。
「ブルー!」
思わず呟いてしまう。
あの力の持ち主を救いに行ったのだろうか。
「プロテクター、どうかしましたか?」
ハーレイが訊いてくる。
「いや。なんでもないわ」
ブルーが行ったのなら悪いことにはならないと思った。
30分後、ブルーは誰も伴わずに戻ってきた。
(いったいなぜ? 失敗したの?)
それにしてはブルーは嬉しそうだ。
「ブルー。どうしたの? 嬉しそうだけど」
「ああ、聞いてくれ! セレーネ! ついに見つけたんだ! 黄金の獅子を!」
ブルーは興奮気味にセレーネに言った。
「黄金の獅子? フィシスの?」
なぜ黄金の獅子が出てくるのだろうか。
「ついに見つかったんだ。僕の後継者が!」
その言葉にセレーネは驚いた。
「後継者? あなた、見つけたの?」
「うん、生まれたてだったけれど、強い力を持っていた。僕以上のね。それにね……。あの子はかけたところのない子なんだ。すごいだろう!」
ブルーは嬉しそうだった。
「見るかい?」
ブルーが手を差し伸べてくる。
「分かったわ」
セレーネもブルーが後継者と定めた子に興味があった。
手を差し伸べると映像が脳裏に映し出される。
太陽を集めたような金色の髪と翡翠のような瞳。柔らかくてバラ色の頬。男の子がベビーベッドに寝かされていた。
やがて養母らしき女性が入ってきてその子を抱き上げる。その優し気な瞳はどれだけその子が愛されているのかが分かってしまう。
「ブルーはこの子に愛を知ってほしかったのね……」
養父母とうまくいくミュウは多くはない。それに成人検査で愛されていた記憶を失ってしまうものがほとんどだ。つまりミュウは愛を知らないのだ。
ブルーは愛をしるこの子ならミュウと人類の懸け橋になれると思って養父母から引き離さないことを選択したのだろう。
「ああ。14年後に迎えに行くよ」
この子が成人検査を受けるとき。つまり養父母から引き離されるときになって迎えに行くと言っているのだ。
「ああ。僕はやっと休めるのだね……」
そうぽつりとつぶやいたブルーが印象的だった。
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