いつか朝焼けに会えるまで

育英惑星アルテメシア。
その惑星の雲の中にその船はあった。
白い曲線が優美な船、シャングリラ。楽園の名を持つ船の中には多くのミュウたちが暮らしていた。
サイオンという不思議な力を持つミュウたちは人類に迫害され、ひそかに暮らしていた。
人類との抗争はあるが、そこそこ平和に暮らていた彼らはある不安にさいなまれていた。
力強く彼らを率いてきた長、ソルジャー・ブルー。そして影からブルーを支え、ミュウたちを守護してきた副長、プロテクター・セレーネ。
彼らの指導者たちの調子がここのところよくないのだ。寿命が近づいてきたのだ。
「これから僕たちはどうなるのだろう……。ミュウの…我らの未来は……」
ブルーはぽつりとセレーネにこぼす。
「後継者も決まっていないのに……。指導者がいないと私たちに未来はない……」
セレーネも頷く。
「フィシスが言っていた黄金の獅子……我らの源流に力を注ぎこみ、宇宙そらへと羽ばたく力をくれるものはいつ現れるのだろう……」
フィシスの予言がされたのはずいぶん前の話だ。しかしその人物が現れる予兆はなく、日に日に力を自分たちは失っていく。
(せめて……せめて、後継者が見つかるまでは……死ねない……)
弱りゆく自身の身体に叱咤するようにセレーネは思った。
しかし努力もむなしく、倒れ込んでしまう。
「プロテクター!」
何人かが駆け寄る音がする。
「大丈夫よ。また私は死ねない……」
その言葉に何人かが悲痛な顔をした。
「そんな死ぬだなんておっしゃらないで下さい。我々にはまだあなたとソルジャーが必要なのです」
「ええ、そうね……」
まだ死ねない。しかし身体は弱っていく。その様が歯がゆく、呪わしい。
(せめて後継者が現れるまでは……)
ミュウにとっての長い夜はまだ明けそうにない。
1/4ページ
スキ