「落ち込まないでプロテクター」
ある日フィシスのところに行くとそう言われた。
「私、落ち込んでいるように見える？」
「ええ。あなたの心が泣いています。だけど大丈夫。あなたの憂はきっと晴れます。だから信じて待っていてください」
「フィシス……」
フィシスを見るとほほ笑んでいた。
「ねえ、地球（テラ）を見せてよ。あなたの美しい青き星を……」
「いいですわ。目を閉じて……波長を合わせて」
波長を合わせると美しい星が見えた。
（ああ。これが地球（テラ）……。青く美しい人類の故郷……。暗闇に浮かぶ一粒の真珠……。でも私はいけない……。だからそこ誰かに託したいの……）
セレーネはフィシスにお礼を言うと天体の間を辞した。
部屋に戻ってベッドに寝転がる。
最近体が重かった。
限界が近いのだろう。
「はあ……」
想い溜息を吐いた時だった。
強烈な光を感じた。
「……！？　これは……」
強力な思念だった。
しかも自分を超えるような強力な力……
「行かないと！」
セレーネは急き立てられるように思念を飛ばした。