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「僕たちは長い間二人だけだった」
「ええ」
ブルーの言葉にセレーネは頷いた。
彼らの周りにはいつも多くの仲間たちがいた。だが彼らは実質二人だけだった。他の仲間たちには戦う力はなかったから、ブルーとセレーネが代わりに戦い、守らなければいけなかった。長と副長という地位にある彼らの苦悩と孤独を誰も分かち合うことができなかったのだ。
「だけど今はそうではないね……。選んですまないとも思う」
「でもそれはあの子たちの決断への侮辱と同じよ」
「……そのとおりだね」
ブルーは選んだことに後悔はない、だがまだ若い彼らに重荷を負わせたことはすまないと思う。
あの子たちは謝罪なんか受け取らないだろう。そして自分で選んだ決断だときっぱりと言ってくるのだ。
「あの子はジョミーは太陽と同じだ……」
強烈な光をもってブルーのそしてミュウの心を温かくしてくれる存在だと。
「それならあの子、リリナは朝焼けと同じ」
長い夜が明けて朝がやってくることを知らせてくれる存在。新しい革新をミュウにもたらしてくれるのだとセレーネは言った。
「太陽と朝焼けか……。きっとあの子たちは故郷である地球(テラ)の地を踏むだろう」
それは予知ではない。そう確信しているだけだ。
「ええ……。そうね……」
セレーネが同意した時だった。
強烈な思念が彼らが話している場所まで届いた。
「またあの子たちね……」
長老たちの怒りの思念、ふてくされるジョミーとリリナの思念が届く。
「そのようだね」
ブルーはくすくすと笑う。
ジョミーとリリナを包む周りのものの思念はまたやったという呆れと仕方ないなという見守るような思念が半分半分だ。
「本当に君たちはミュウの太陽と朝焼けだよ……」
ジョミー・マーキス・シンとリリナ・アーリス・レイア。彼らが引き起こす騒動とともに今日も楽園の名を持つ船は賑やかに宙を航海している。


長編連載の番外編。ジョミーとミュウ側の主人公について語るブルーとセレーネ。
彼らはいるだけで周りを温かくしてくれる。騒々しさに目がいってしまうだけでそんな存在なのだと思います。
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