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変な感じ……
キャロラインはそう思いながらテーブルの向こう側についている人物たちを見る。
キャロラインの姉となったミスティアとクリスティナである。
彼女たちは百年もの間、眠りについていた正統な青騎士伯爵の血筋である。
だが伯爵家を継ぐ気はないらしく新しい青騎士伯爵家を見守りたいと言った。
そのため世間に怪しまれないためにエドガーとキャロラインの兄妹の生き別れの姉としてこのアシェンバート邸で過ごしている。
キャロラインの血縁は兄のエドガーしか残っていない。他はすべてプリンスに殺された。だから姉という存在に少し緊張する。
「どうしたの? キャロライン。そんなに私を見つめて」
ミスティアが翡翠色の瞳をこっちに向けて訊いてきた。
「なんでもないですわ」
お姉さま。という言葉は飲み込んだ。
なんだか照れくさくて言えなかったのだ。
「ふふっ。なんだか妹っていいわね……」
クリスティナが呟く。
キャロラインは不思議そうな顔をした。
「私、ずっと妹だったから、お姉さんになりたかったの。だから願いがかなってうれしい」
「私も……私もずっとお姉さんが欲しかったです」
そう言ってキャロラインは下を向いた。
そして数十秒後にお姉さまとよんでミスティアとクリスティナをすごく喜ばせるのはその時の彼女には預かり知らぬ事だった。
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