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外に出ると少し生暖かい風が吹く。
――ああ。春なんだな……
すみれはそう思った。
「すみれ~。早く大福を買いに行こうよ~」
鞄の中からアップルティーアが急かす。
すみれは父に頼まれて大福を買うことになったのだ。
「そうだね」
すみれは頷くと歩き出した。
「そう言えばすみれは今度何年生になるんだっけ?」
「三年だよ。今年中にはリディアカード全部集まるといいな~」
「春休みと冬休みで少し集まったからね~」
アップルティーアが頷く。
「三年生か……。クラス、智世ちゃんと美空と一緒になるといいな……」
「何? どういうこと?」
「三年生になるとクラスが変わるから智世ちゃんや美空と違うクラスになる可能性があるの」
クラスが違うとこれまでの様にはいかないかもしれない。それが心配だった。
「そんなに心配しなくても美空も智世もクラスが違ったくらいでこれまでの生活を帰るとは思えないけどね~」
「そっか……。アップル、ありがとう」
アップルティーアの言葉に少しすみれは慰められた。
「ほら、すみれ。あそこに和菓子屋が!」
アップルティーアの指す方向には和菓子屋があった。
「本当だ。行こう」
自然と足が早まる。
「すみませ~ん!」
すみれは和菓子屋の中に入っていった。
もうすぐ四月。新しい出会いの季節。それは何をすみれにもたらすのだろうか。
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