公爵家の子供たち

まただ。とアルヴィンは思った。アルヴィン・アシェンバートは11歳のシルヴァンフォード公爵の嫡男だ。
うちの両親は仲がいいとアルヴィンは思う。ほかの貴族たちより断然いいと思うのだ。
それに父の独占欲は半端ない。
こんなエピソードがある。
アルヴィンは妹のイブリンと弟のサイラスとともに父の書斎にいた。
「旦那さま。手紙でございます」
トムキンスがそう言って父の前のテーブルに何束かの手紙を置いた。
その中に母宛の手紙があるのをアルヴィンはしっかりとみた。
父は母宛の手紙の中を見ると眉根を寄せた。そしてそれを暖炉にくべた。
「まったく・・・・・・。僕の妖精はどうして男を誘惑してしまうんだろうね。あんな奴らに微笑む必要なんてひとかけらもないのに」
そのときの父の微笑みはすごくこわかった。
それに母と一緒に寝ようとするとすごい勢いで反対される。子供にまでやきもちを焼くなんてどうなんだ。とアルヴィンは思う。
「お兄さま。これ読んで」
つらつらと両親のいちゃいちゃぶり(おもに父が母にかまっている)を見ながらそんなことを考えていると妹のイブリンが絵本を差し出しながら言った。
「お母さまに読んでもらえばいいじゃないか」
「だってお母さまのところに行くとお父さまがすごい勢いで睨んでくるんだもの」
とイブリンの双子の弟のサイラスが言った。
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