夏目の従妹が主人公。原作設定。黒髪に翡翠の瞳の美少女です。
第五話 蛍の妖
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『──あいつは…あの人は章史さんっていうんだ。初めて出会ったのはあの蛍の沼。妖を見るから家族からも周りからも奇異の目で見られてあの人が一人沼に泣きに来るのをそっと隠れていつも見ていた』
二人が釣りをしている横でキヨは話をしてくれた。
だけどある日、夜中にやって来た。焦って隠れたけど闇に光る体のせいで見つかってしまった。
『…妖か』
そう言って章史さんは去ろうとしたようだ。焦ったキヨは引き留めようとした。
『待って。お前人の子だろ? 私は人間に興味があるんだ。少し話さないか?』
『俺は妖なんかに興味はない』
そう冷たく言ったけど次の日も来てくれたようだ。
『私たちは色々話をした。いっぱいいっぱい話して、時々一緒に遊びに行って、触って。でもある日、あの人の目は私をうつさなくなった。私が触れても気づかなくなった。あの人は沼に来て私を何度も呼んだけど目の前に立つ私が見えなかった。それっきりだ。──お前たちもいつか見えなくなるだろうか』
(見えなくなる……。それは私にとって解放なのか……? でも……)
ずっと怖い思いをしていた。だけど人以上に優しい妖達もいることに気付いた。そんな妖たちが見えなくなることは良い事なのだろうか。答えを美結花はまだ出せないでいる。
それからしばらくして章史さんによりそうキヨの姿を見た。
だから聞いてみたいと思った。
「…そうかあ。…そうか…。君たちも妖が視えるのか…」
「──はい。最近あった妖にあなたも妖を視ていたと…」
「友人だったと言っていました」
「そうか…。今となっては何もかも夢のようだ」
そこには少しの寂しさが込められているような気がした。
「つらいかい?」
章史さんが訊いてくる。それには即答できなかった。すべてが辛かったわけではないからだ。
章史さんは夏目の頭をなでて言った。
「僕はつらかったよ。いつもひとりだったから。でもね、一人の妖と仲良くなってね。好きになった。言えなかったけれど愛していたんだ」
(章史さん、キヨのこと好きだったんだ……)
「──それがある日突然妖のことが全く見えなくなってしまってそれっきりだった。それからは何人かの女性と付き合ったけど、あの子のことが忘れられず。今まで結婚もせずにいたんだけれど。──やっと…心から愛することができる女性に出会えた。心優しい女性に」
幸せそうな微笑みだった。
「三日後に式を挙げるんだ。結婚したら、もうあの沼へは行かない」
「章史さ~ん!」
目元に笑いじわがある女性が章史さんを呼ぶ。二人は帰っていった。幸せそうだと感じた。
二人は夜道を歩く。キヨがその途中でいた。彼女は仮面をしていなかった。
「「──キヨ」」
『もう暗い。私が夜道を照らそう』
「──キヨ、今の話…」
夏目が言った。
『聞いていたよ。大切な人を見つけたんだな。よかった。あの人はもうひとりではないんだな。よかった──』
本当に相手の幸せを願っている柔らかい微笑みだった。
『佐貝。山神と人間も娘の恋は上手くいったのかしら。あの妖みたいなことにならなかったのかな』
『それは知らないわ。だけど蛍たちが応援したんだもの。山神は人間の娘が死んだ後も思い出を抱えて生きていった。そう私は信じたい』
『そうね。そうだよね』
美結花はそう信じたかった。
二人が釣りをしている横でキヨは話をしてくれた。
だけどある日、夜中にやって来た。焦って隠れたけど闇に光る体のせいで見つかってしまった。
『…妖か』
そう言って章史さんは去ろうとしたようだ。焦ったキヨは引き留めようとした。
『待って。お前人の子だろ? 私は人間に興味があるんだ。少し話さないか?』
『俺は妖なんかに興味はない』
そう冷たく言ったけど次の日も来てくれたようだ。
『私たちは色々話をした。いっぱいいっぱい話して、時々一緒に遊びに行って、触って。でもある日、あの人の目は私をうつさなくなった。私が触れても気づかなくなった。あの人は沼に来て私を何度も呼んだけど目の前に立つ私が見えなかった。それっきりだ。──お前たちもいつか見えなくなるだろうか』
(見えなくなる……。それは私にとって解放なのか……? でも……)
ずっと怖い思いをしていた。だけど人以上に優しい妖達もいることに気付いた。そんな妖たちが見えなくなることは良い事なのだろうか。答えを美結花はまだ出せないでいる。
それからしばらくして章史さんによりそうキヨの姿を見た。
だから聞いてみたいと思った。
「…そうかあ。…そうか…。君たちも妖が視えるのか…」
「──はい。最近あった妖にあなたも妖を視ていたと…」
「友人だったと言っていました」
「そうか…。今となっては何もかも夢のようだ」
そこには少しの寂しさが込められているような気がした。
「つらいかい?」
章史さんが訊いてくる。それには即答できなかった。すべてが辛かったわけではないからだ。
章史さんは夏目の頭をなでて言った。
「僕はつらかったよ。いつもひとりだったから。でもね、一人の妖と仲良くなってね。好きになった。言えなかったけれど愛していたんだ」
(章史さん、キヨのこと好きだったんだ……)
「──それがある日突然妖のことが全く見えなくなってしまってそれっきりだった。それからは何人かの女性と付き合ったけど、あの子のことが忘れられず。今まで結婚もせずにいたんだけれど。──やっと…心から愛することができる女性に出会えた。心優しい女性に」
幸せそうな微笑みだった。
「三日後に式を挙げるんだ。結婚したら、もうあの沼へは行かない」
「章史さ~ん!」
目元に笑いじわがある女性が章史さんを呼ぶ。二人は帰っていった。幸せそうだと感じた。
二人は夜道を歩く。キヨがその途中でいた。彼女は仮面をしていなかった。
「「──キヨ」」
『もう暗い。私が夜道を照らそう』
「──キヨ、今の話…」
夏目が言った。
『聞いていたよ。大切な人を見つけたんだな。よかった。あの人はもうひとりではないんだな。よかった──』
本当に相手の幸せを願っている柔らかい微笑みだった。
『佐貝。山神と人間も娘の恋は上手くいったのかしら。あの妖みたいなことにならなかったのかな』
『それは知らないわ。だけど蛍たちが応援したんだもの。山神は人間の娘が死んだ後も思い出を抱えて生きていった。そう私は信じたい』
『そうね。そうだよね』
美結花はそう信じたかった。
