夏目の従妹が主人公。原作設定。黒髪に翡翠の瞳の美少女です。
第四十一話 小さい頃の思い出、帰る家
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「こっちだったっけ……? あれ? あっち?」
一駅電車に乗って下りた後、歩きはじめたものの道に自信はなかった。そのため地図を見ながら美結花は首を傾げることになった。
「ちゃんと覚えておらんのか。お前は」
佐貝が呆れる。
「だってすごく小さい頃の話だったんだよ?」
言い訳するが、夏目の実家がどこにあるのかちゃんと覚えていなかったのは事実だった。
「まったく……」
佐貝がため息をついた時だった。
『ぎゃあああ!』
妖の悲鳴が聞こえた。
「……!」
美結花は思わず駆け出した。
「悲鳴が聞こえた!」
「あ、待ちなさい!」
佐貝が慌てて追いかける。
美結花が目にしたのは悲鳴を上げて逃げる黒い物体と本性になったニャンコ先生。
『阿呆め』
「ありがとう先生……。でも俺を家に入れてくれた人たちだったんだ。大事な家に入れてくれた人達だったんだよ」
そう夏目が寂しそうに呟くのが聞こえた。
美結花はしばらく待ってから夏目に声をかけた。
「貴志……」
「美結花……。ここで会えるとは思わなかったよ」
「うん。私も思わなかったよ。会えるとしても貴志の実家だと思っていたから……」
見つめあった二人は黙って歩き続けた。
やがて夏目が鍵を取り出し、「宝さがしみたいだ…」と呟いたのが聞こえた。
「それ、鍵?」
「ああ。受け取ってきたんだ」
「そう……」
美結花はそれだけを呟いた。
その後、地図を頼りに歩いたり、人に聞いたりして夏目の実家へと向かった。
「まだ着かんのか」
「ずいぶん遠いのね」
ニャンコ先生と佐貝がぼやく。
「ああ。あの家から結構な距離があったからな……」
夏目が呟いた。
「あまり遅くなると塔子の晩飯に間に合わなくなるぞ」
「そうよ。おいしいもの食べられなくなるもの」
「……そうね。帰らなくちゃね」
帰る家があるのは幸せなことなのだ。
「──そうだな。早く帰らないとな」
夏目も頷く。
「そういえば小さい頃一度だけ一人であの家に帰ろうとしたことあったな」
「え? そうなの?」
美結花は驚いた。
「ああ」
「ふ~ん。それでちゃんとたどり着けたのか?」
先生の質問に夏目は答えない。
「貴志?」
答えないことを疑問に思って美結花は振り向いた。
夏目が地面に倒れこむ。
「貴志!」
美結花は駆け寄った。
「!? どうした…夏目」
「何があったの!?」
ニャンコ先生と佐貝も駆け寄ってくる。
夏目は反応がなく、ただぼうっと宙を見つめているだけだった。
「夏目、夏目。しっかりしろ」
「貴志、貴志! しっかりして」
「しっかりしなさいよ」
一人と二匹で呼びかけるも反応がなかった。
ただ「帰らなくちゃ…」とだけ呟いていた。
「いったい何が起こったの?」
「ちっ。こんな低級に入り込まれおって」
先生が舌打ちする。
「低級?」
「ええ。低級の妖に中に入り込まれたのよ。不安定だったのね。隙を付かれた」
「どうにかならないの?」
「……こちらが下手なことをすれば心や記憶を壊されかねん」
「そんな……!」
美結花は口を手で覆った。
「あとは本人の意志に任せるしかないわね」
「しっかりしろ、夏目」
「──貴志。頑張って」
美結花はぎゅっと手を握りしめて夏目を応援するしかすることがなかった。
一駅電車に乗って下りた後、歩きはじめたものの道に自信はなかった。そのため地図を見ながら美結花は首を傾げることになった。
「ちゃんと覚えておらんのか。お前は」
佐貝が呆れる。
「だってすごく小さい頃の話だったんだよ?」
言い訳するが、夏目の実家がどこにあるのかちゃんと覚えていなかったのは事実だった。
「まったく……」
佐貝がため息をついた時だった。
『ぎゃあああ!』
妖の悲鳴が聞こえた。
「……!」
美結花は思わず駆け出した。
「悲鳴が聞こえた!」
「あ、待ちなさい!」
佐貝が慌てて追いかける。
美結花が目にしたのは悲鳴を上げて逃げる黒い物体と本性になったニャンコ先生。
『阿呆め』
「ありがとう先生……。でも俺を家に入れてくれた人たちだったんだ。大事な家に入れてくれた人達だったんだよ」
そう夏目が寂しそうに呟くのが聞こえた。
美結花はしばらく待ってから夏目に声をかけた。
「貴志……」
「美結花……。ここで会えるとは思わなかったよ」
「うん。私も思わなかったよ。会えるとしても貴志の実家だと思っていたから……」
見つめあった二人は黙って歩き続けた。
やがて夏目が鍵を取り出し、「宝さがしみたいだ…」と呟いたのが聞こえた。
「それ、鍵?」
「ああ。受け取ってきたんだ」
「そう……」
美結花はそれだけを呟いた。
その後、地図を頼りに歩いたり、人に聞いたりして夏目の実家へと向かった。
「まだ着かんのか」
「ずいぶん遠いのね」
ニャンコ先生と佐貝がぼやく。
「ああ。あの家から結構な距離があったからな……」
夏目が呟いた。
「あまり遅くなると塔子の晩飯に間に合わなくなるぞ」
「そうよ。おいしいもの食べられなくなるもの」
「……そうね。帰らなくちゃね」
帰る家があるのは幸せなことなのだ。
「──そうだな。早く帰らないとな」
夏目も頷く。
「そういえば小さい頃一度だけ一人であの家に帰ろうとしたことあったな」
「え? そうなの?」
美結花は驚いた。
「ああ」
「ふ~ん。それでちゃんとたどり着けたのか?」
先生の質問に夏目は答えない。
「貴志?」
答えないことを疑問に思って美結花は振り向いた。
夏目が地面に倒れこむ。
「貴志!」
美結花は駆け寄った。
「!? どうした…夏目」
「何があったの!?」
ニャンコ先生と佐貝も駆け寄ってくる。
夏目は反応がなく、ただぼうっと宙を見つめているだけだった。
「夏目、夏目。しっかりしろ」
「貴志、貴志! しっかりして」
「しっかりしなさいよ」
一人と二匹で呼びかけるも反応がなかった。
ただ「帰らなくちゃ…」とだけ呟いていた。
「いったい何が起こったの?」
「ちっ。こんな低級に入り込まれおって」
先生が舌打ちする。
「低級?」
「ええ。低級の妖に中に入り込まれたのよ。不安定だったのね。隙を付かれた」
「どうにかならないの?」
「……こちらが下手なことをすれば心や記憶を壊されかねん」
「そんな……!」
美結花は口を手で覆った。
「あとは本人の意志に任せるしかないわね」
「しっかりしろ、夏目」
「──貴志。頑張って」
美結花はぎゅっと手を握りしめて夏目を応援するしかすることがなかった。
