夏目の従妹が主人公。原作設定。黒髪に翡翠の瞳の美少女です。
第四十話 両親の写真
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「貴志の実家か……」
部屋でふうと美結花はため息をついた。
「知っているの? 夏目の実家」
「うん。数年だったけど私も暮らしてたから……」
「え⁉ 暮らしてた!?」
佐貝が驚く。
「だって私のお父さんは産まれる前に亡くなっているし、お母さんは私を産んですぐになくなったのよ? 一番近い親戚である貴志のお父さんに引き取られたの。男一人で子供二人育てるの大変だっただろうな……」
今だからこそ夏目の父の苦労を思う。
「とっても優しい人だった……」
自分の子供と姪っ子を分け隔てなく育てて愛情をくれた人だった。
『見てごらん。あの辺りに貴志のお母さんは美結花のお母さんと一緒に花の種を植えたんだ。僕と和樹君を喜ばせようと庭があるってはしゃいで植えたんだよ。今年も咲くといいな。貴志、美結花』
膝の上に二人を抱っこして話しかけてくれたことだけは覚えている。
「美結花ちゃん。お電話よ。檜山さんから。話したいことがあるって」
塔子が話しかけてくる。
「え……。今行きます」
美結花は受話器を取りに行った。
「代わりました。美結花です」
『美結花? 元気?』
「はい、はい元気です……」
美結花は言った。
『あなたが幼い頃過ごした貴志君の家が売りに出されるって話は聞いた?』
「はい。貴志から聞きました……」
『もし売り出す前に見に行くならなんだけど……渡したいものがあるのよ』
「え? 私にですか……?」
『ええ。ずいぶん前に渡しそびれちゃったんだけどね。貴方のお父さんの…遺品なの……。家を見に行くときに寄って行ってくれない? どう?』
「それは……私だけじゃ決められないです。貴志が見に行きたいかどうか……」
『それはそうよね。なら見に行くときになったら寄って行ってくれる? 渡すから』
「そうですね……。分かりました。ありがとうございます……」
『ええ。じゃあ』
そこで電話が切れた。
「美結花ちゃん? どうだった……?」
「家をもし見行くんだったら渡したいものがあるそうです。父の……遺品だそうです」
「まあ……」
「家を見に行くかどうかは私だけじゃ決められないですし……。またの機会がありますから」
美結花は無理に笑って部屋に戻った。
「お父さんの遺品か……」
いったい何なのだろう。ふうとため息をついた。
「その夏目の家に住んでいたころの記憶ってないの?」
「少ししか覚えてない……。でも楽しかった記憶ってつらいから忘れていったのよね……。だからこのまま見に行かなくても大丈夫」
自分に言い聞かせるように美結花は言った。
家なんて見に行かなくても大丈夫だと。
「馬鹿ね……」
それが本心ではないと知っている佐貝はふんと鼻を鳴らした。
部屋でふうと美結花はため息をついた。
「知っているの? 夏目の実家」
「うん。数年だったけど私も暮らしてたから……」
「え⁉ 暮らしてた!?」
佐貝が驚く。
「だって私のお父さんは産まれる前に亡くなっているし、お母さんは私を産んですぐになくなったのよ? 一番近い親戚である貴志のお父さんに引き取られたの。男一人で子供二人育てるの大変だっただろうな……」
今だからこそ夏目の父の苦労を思う。
「とっても優しい人だった……」
自分の子供と姪っ子を分け隔てなく育てて愛情をくれた人だった。
『見てごらん。あの辺りに貴志のお母さんは美結花のお母さんと一緒に花の種を植えたんだ。僕と和樹君を喜ばせようと庭があるってはしゃいで植えたんだよ。今年も咲くといいな。貴志、美結花』
膝の上に二人を抱っこして話しかけてくれたことだけは覚えている。
「美結花ちゃん。お電話よ。檜山さんから。話したいことがあるって」
塔子が話しかけてくる。
「え……。今行きます」
美結花は受話器を取りに行った。
「代わりました。美結花です」
『美結花? 元気?』
「はい、はい元気です……」
美結花は言った。
『あなたが幼い頃過ごした貴志君の家が売りに出されるって話は聞いた?』
「はい。貴志から聞きました……」
『もし売り出す前に見に行くならなんだけど……渡したいものがあるのよ』
「え? 私にですか……?」
『ええ。ずいぶん前に渡しそびれちゃったんだけどね。貴方のお父さんの…遺品なの……。家を見に行くときに寄って行ってくれない? どう?』
「それは……私だけじゃ決められないです。貴志が見に行きたいかどうか……」
『それはそうよね。なら見に行くときになったら寄って行ってくれる? 渡すから』
「そうですね……。分かりました。ありがとうございます……」
『ええ。じゃあ』
そこで電話が切れた。
「美結花ちゃん? どうだった……?」
「家をもし見行くんだったら渡したいものがあるそうです。父の……遺品だそうです」
「まあ……」
「家を見に行くかどうかは私だけじゃ決められないですし……。またの機会がありますから」
美結花は無理に笑って部屋に戻った。
「お父さんの遺品か……」
いったい何なのだろう。ふうとため息をついた。
「その夏目の家に住んでいたころの記憶ってないの?」
「少ししか覚えてない……。でも楽しかった記憶ってつらいから忘れていったのよね……。だからこのまま見に行かなくても大丈夫」
自分に言い聞かせるように美結花は言った。
家なんて見に行かなくても大丈夫だと。
「馬鹿ね……」
それが本心ではないと知っている佐貝はふんと鼻を鳴らした。
