夏目の従妹が主人公。原作設定。黒髪に翡翠の瞳の美少女です。
第三十八話 蔵に封じられたもの
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(やっぱりあの着物……気になる……)
美結花はなかなか寝付けなかった。
(大事なものが増えれば増えるほど言えないことが増えていく……)
どうすればいいんだろうと美結花は思った。
「また変なこと考えているわね……」
佐貝がため息をつく。
「佐貝」
「早く寝なさい」
「うん……」
あまりにも優しい声だったので寝付こうとしたときだった。
ずる、ずる、ずる……
廊下を何かが這いずる音が聞こえた。
「……!」
その音に眠気は吹っ飛んだ。
「何、今の……」
「何かが入り込んだわね」
佐貝が呟く。
美結花は起き上がって障子を少しだけ開けてその隙間からのぞき込む。
そこから視えたのは多軌の家にあったはずの3枚目の着物だった。
(やっぱりあの着物……!)
たまらず廊下に飛び出すが、それより早く夏目が廊下にいた。
「うわあ!」
一番近かった夏目が悲鳴を上げる。
「貴志を離して!」
パンチするもすかっとよけられてしまう。
「私の縄張りで何をしとる! 去れ!」
「この小物! 去りなさい!」
二匹の光で着物は去っていった。
「ゲホ、ゲホ」
気道を塞がれていた夏目がせき込む。
「貴志、大丈夫?」
美結花は背中をさすって心配そうに顔をのぞき込む。
「まったく何を連れてきたんだ。阿呆め!」
「警戒心なさすぎよ。二人とも」
ぷんすかと二匹が怒る。
「といってもあんなの出てくるとは思わないじゃない。もしかしてあれは─」
「タキの家にあった着物だな」
二人は頷きあう。
「どういうこと? 話して」
二人は交互に佐貝と先生に事情を話した。
「─ふむ。タキの蔵から出てきた妖か」
「…それにしてもザルすぎないか先生」
「そうだよ。さっきの何あれ」
先生に二人して文句を言う。
「阿呆。思いっきり小物な気配すぎていちいち構っていられるか」
「斑の結界はちょっと荒いものね。ぎゃん!」
佐貝がからかうと先生はげしっと佐貝をちょっとだけ蹴って睨む。言われるのは腹が立つのだ。
「そんなに小物なのか……」
佐貝と先生のやり取りを無視して夏目が呟く。すこしだけほっとしたのだ。
「ああ。まあ、今のところはな」
「そうそう。今のところは、ね」
「今のところって……」
これからはどうなるか分からないと言っているのと同じじゃないかと美結花は思った。
その懸念通り、多軌の家を何かがずるずると徘徊していた。
どこだ。どこだ。どこだ……
まるで何かを探しているかのように。
美結花はなかなか寝付けなかった。
(大事なものが増えれば増えるほど言えないことが増えていく……)
どうすればいいんだろうと美結花は思った。
「また変なこと考えているわね……」
佐貝がため息をつく。
「佐貝」
「早く寝なさい」
「うん……」
あまりにも優しい声だったので寝付こうとしたときだった。
ずる、ずる、ずる……
廊下を何かが這いずる音が聞こえた。
「……!」
その音に眠気は吹っ飛んだ。
「何、今の……」
「何かが入り込んだわね」
佐貝が呟く。
美結花は起き上がって障子を少しだけ開けてその隙間からのぞき込む。
そこから視えたのは多軌の家にあったはずの3枚目の着物だった。
(やっぱりあの着物……!)
たまらず廊下に飛び出すが、それより早く夏目が廊下にいた。
「うわあ!」
一番近かった夏目が悲鳴を上げる。
「貴志を離して!」
パンチするもすかっとよけられてしまう。
「私の縄張りで何をしとる! 去れ!」
「この小物! 去りなさい!」
二匹の光で着物は去っていった。
「ゲホ、ゲホ」
気道を塞がれていた夏目がせき込む。
「貴志、大丈夫?」
美結花は背中をさすって心配そうに顔をのぞき込む。
「まったく何を連れてきたんだ。阿呆め!」
「警戒心なさすぎよ。二人とも」
ぷんすかと二匹が怒る。
「といってもあんなの出てくるとは思わないじゃない。もしかしてあれは─」
「タキの家にあった着物だな」
二人は頷きあう。
「どういうこと? 話して」
二人は交互に佐貝と先生に事情を話した。
「─ふむ。タキの蔵から出てきた妖か」
「…それにしてもザルすぎないか先生」
「そうだよ。さっきの何あれ」
先生に二人して文句を言う。
「阿呆。思いっきり小物な気配すぎていちいち構っていられるか」
「斑の結界はちょっと荒いものね。ぎゃん!」
佐貝がからかうと先生はげしっと佐貝をちょっとだけ蹴って睨む。言われるのは腹が立つのだ。
「そんなに小物なのか……」
佐貝と先生のやり取りを無視して夏目が呟く。すこしだけほっとしたのだ。
「ああ。まあ、今のところはな」
「そうそう。今のところは、ね」
「今のところって……」
これからはどうなるか分からないと言っているのと同じじゃないかと美結花は思った。
その懸念通り、多軌の家を何かがずるずると徘徊していた。
どこだ。どこだ。どこだ……
まるで何かを探しているかのように。
