夏目の従妹が主人公。原作設定。黒髪に翡翠の瞳の美少女です。
第三十七話 春を呼ぶ妖
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ここが……」
美結花は佐貝に乗って燐火が言った場所へと向かった。
そこは先ほどまでいた村を見渡すことができ、見晴らしのいい場所だった。
「まさかこことはね……」
水崎が意外そうに言った。
彼らがいるのは山の頂上。
春風は土地を豊かにするとここにきて自分の成果をよく見つめていたという。
人々が種をまき、それが芽を出すのを見るのが彼女は好きだったという。
彼女が土地を豊かにするのは春先。植物を芽吹かせるほどの力。
その二つのことで『春を呼ぶ妖』とも呼ばれることもあったらしい。
「『春を呼ぶ妖』か──。とっても素敵ね……」
美結花は準備をしながら呟いた。
『ありがとう、美結花。春風様も喜ぶ』
燐火は微笑んだ。
「よしっ!」
水崎は枝を使って陣を描く。
「あとは春風様が来るだけだ……。本当に来るんだろうね?」
『ええ。来ると思います。ほら』
燐火はある方向を指した。
そこは頂上よりちょっと下でそこの木々が不自然に揺れているのが見える。
その揺れはだんだんと近づいてくる。
『ぐおおおお!』
大きな声とともに黒い塊がこちらにやってきた。
「夏目! 美結花!」
「ええ。こっちだ!」
夏目がその塊を呼ぶ。
二人はそこから陣の場所まで塊─春風を呼ぶ。
春風は夏目たちに目を止めるとものすごいスピードで追ってきた。
「早い……!」
美結花は冷や汗をかいた。
(あと少し……!)
春風が陣の中に入った。
「水崎さん!」
「水はすべてを流す。闇より生まれたものを浄化する」
水崎の声とともに水が出てきて春風を縛る。
『ぎゅるうううううう!』
春風は怒って黒い霧をまき散らす。
「うっ!」
「きゃっ……!」
美結花は悲鳴を上げる。
そんな中、ある光景を目にする。
『僕、明日からここに来れなくなるんだ……』
寂しそうに少年が言った。
『そうか……』
春風は少しそっけなく言った。
『寂しくなるな……』
『うん。また引っ越しだよ。何回目だろうね』
少年の言葉には諦めが含まれているように思えた。
『お前も自分の思うままには動けないのだな』
『……春風もそうなの? 前に言っていたよね。みんなに春を見せるためにここにいるって』
『ああ』
『なら約束してよ。今度ここに来た時には君の春を見せてほしいって』
少年はまだ春風の春を見ていなかった。
だからその希望を込めて約束をした。
『ああ。約束だ』
春風は少し微笑んだ。
そしていくつか季節が立った。
少年は大人になりほとんど妖を目に映さなくなっていた。
だが覚えているものがあるのだろう。願い事を吊るしながらある言葉を呟く。
『今度は僕の子供にも春を見せてほしいな。一緒に見に行きたい』
『ああ。見せてあげよう。お前にもお前の子供にも』
聞えないと分かりつつも春風は頷いた。
しかし彼は二度と来なかった。
そのことに少しの寂しさを感じていたころ、封印された。
それが悔しくて苦しくて──。
(なんで私がこんな目に! これでは春を見せてあげられないではないか! それにあの子は! 彼女は一人になってしまう……!)
誰に春を見せたかったのか、燐火のことも忘れていく中、ここから出たいと思いつつも出られない日々。
(苦しい、苦しい! 出たい! おのれ──!)
そして恨みばかりが募っていった──。
美結花は佐貝に乗って燐火が言った場所へと向かった。
そこは先ほどまでいた村を見渡すことができ、見晴らしのいい場所だった。
「まさかこことはね……」
水崎が意外そうに言った。
彼らがいるのは山の頂上。
春風は土地を豊かにするとここにきて自分の成果をよく見つめていたという。
人々が種をまき、それが芽を出すのを見るのが彼女は好きだったという。
彼女が土地を豊かにするのは春先。植物を芽吹かせるほどの力。
その二つのことで『春を呼ぶ妖』とも呼ばれることもあったらしい。
「『春を呼ぶ妖』か──。とっても素敵ね……」
美結花は準備をしながら呟いた。
『ありがとう、美結花。春風様も喜ぶ』
燐火は微笑んだ。
「よしっ!」
水崎は枝を使って陣を描く。
「あとは春風様が来るだけだ……。本当に来るんだろうね?」
『ええ。来ると思います。ほら』
燐火はある方向を指した。
そこは頂上よりちょっと下でそこの木々が不自然に揺れているのが見える。
その揺れはだんだんと近づいてくる。
『ぐおおおお!』
大きな声とともに黒い塊がこちらにやってきた。
「夏目! 美結花!」
「ええ。こっちだ!」
夏目がその塊を呼ぶ。
二人はそこから陣の場所まで塊─春風を呼ぶ。
春風は夏目たちに目を止めるとものすごいスピードで追ってきた。
「早い……!」
美結花は冷や汗をかいた。
(あと少し……!)
春風が陣の中に入った。
「水崎さん!」
「水はすべてを流す。闇より生まれたものを浄化する」
水崎の声とともに水が出てきて春風を縛る。
『ぎゅるうううううう!』
春風は怒って黒い霧をまき散らす。
「うっ!」
「きゃっ……!」
美結花は悲鳴を上げる。
そんな中、ある光景を目にする。
『僕、明日からここに来れなくなるんだ……』
寂しそうに少年が言った。
『そうか……』
春風は少しそっけなく言った。
『寂しくなるな……』
『うん。また引っ越しだよ。何回目だろうね』
少年の言葉には諦めが含まれているように思えた。
『お前も自分の思うままには動けないのだな』
『……春風もそうなの? 前に言っていたよね。みんなに春を見せるためにここにいるって』
『ああ』
『なら約束してよ。今度ここに来た時には君の春を見せてほしいって』
少年はまだ春風の春を見ていなかった。
だからその希望を込めて約束をした。
『ああ。約束だ』
春風は少し微笑んだ。
そしていくつか季節が立った。
少年は大人になりほとんど妖を目に映さなくなっていた。
だが覚えているものがあるのだろう。願い事を吊るしながらある言葉を呟く。
『今度は僕の子供にも春を見せてほしいな。一緒に見に行きたい』
『ああ。見せてあげよう。お前にもお前の子供にも』
聞えないと分かりつつも春風は頷いた。
しかし彼は二度と来なかった。
そのことに少しの寂しさを感じていたころ、封印された。
それが悔しくて苦しくて──。
(なんで私がこんな目に! これでは春を見せてあげられないではないか! それにあの子は! 彼女は一人になってしまう……!)
誰に春を見せたかったのか、燐火のことも忘れていく中、ここから出たいと思いつつも出られない日々。
(苦しい、苦しい! 出たい! おのれ──!)
そして恨みばかりが募っていった──。
